- 公開日:2019.12.27
薬剤師の転職先にはどんな職場があるの? 薬剤師の働く業種・職種まとめ【薬剤師のお仕事ガイド】
薬剤師が活躍できる職場はさまざまです。その中でも、「薬局」が全体の約6割を占めています(参考:「平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」)。しかし、病院やドラッグストアで働く薬剤師もいれば、公務員として働く薬剤師も少なくはありません。
そこでこの記事では、【"薬局以外"に薬剤師が活躍できる職場や働き方】をご紹介します。これまで経験のない分野にチャレンジしたい薬剤師の方、要チェックです。
薬剤師が活躍できる職場や働き方-基礎編-
本項目以降、"薬局以外"に薬剤師が活躍できる職場や働き方を、<基礎編><企業編><公務員編>に分けて簡単にご紹介します。詳しく書かれた記事と合わせてご確認ください。
ドラッグストア
一般用医薬品、衛生用品、介護用品、化粧品などの販売業務を担います。薬剤師だけが販売できる、要指導医薬品や第一類医薬品といった商品も多く、セルフメディケーションにおいて中心となり活躍することが期待されています。医療や介護など健康に対するさまざまな相談を受ける機会もあり、やりがいを感じられる職場です。
調剤併設型として保険調剤の取り扱いがある店舗もあるため、そうした店舗への配属を希望すれば、処方箋調剤に携わることも可能でしょう。
病院
大学病院や市民病院などの薬剤部や薬剤科に所属して、臨床の現場で働きます。急性期や入院を要するなど不安定な状態にある患者さまの治療に参加するのが特徴です。臨床の第一線で治療の段階から携われることや、医師や看護師などと一緒にチーム医療を経験できることは、病院で働くメリットと言えるでしょう。
一方で、患者さまの状態によっては、長時間残業が発生したり、夜勤や当直など不規則な働き方になったりとデメリットもあるため、しっかりと調べておくことをおすすめします。
薬剤師が活躍できる職場や働き方-企業編-
コールセンター
製薬会社や医薬品卸など医薬品を扱う企業は、医師や薬剤師などの専門家から問い合わせを受けることが珍しくありません。取り扱う医薬品の情報を適切に提供するためにも、専門的な知識をもった薬剤師が必要とされています。症例報告や副作用情報、臨床試験データなど、求められた情報を適切に提供するのが主な業務です。
最新の論文や学術ニュース、競合品のデータなどを収集し、医薬品情報の管理・収集・提供を行う、「DI業務」を任されることもあるでしょう。
化粧品メーカー
化粧品メーカーも、薬剤師が活躍できるフィールドです。化粧品に用いる新規有効成分の研究や高機能な新素材の開発に加え、新しい製品の薬事申請、広告表現の薬事チェックといった薬事関連の法規に携わるケースもある点が特徴です。
最近では、「低刺激性」や「敏感肌向け」の商品など、皮膚科医と共同開発を行う機会も増えているため、薬剤師としての臨床経験を活かせる場面も増えています。
治験コーディネーター(CRC)
治験コーディネーターは、「CRC(Clinical Research Coordinator)」とも呼ばれ、治験を実施する施設や機関をサポートします。治験関連の書類作成や検査の立ち合い、プロジェクトチームの調整、実施調査などの多岐にわたる仕事を担当します。
「院内CRC」として医療機関で働く方法と、「SMO(Site Management Organization)」と呼ばれる治験施設支援機関に所属し、派遣先で働く方法があります。
臨床開発モニター(CRA)
臨床開発モニターは、「CRA(Clinical Research Associate)」と呼ばれる治験に携わる職業で、製薬企業など依頼者側をサポートします。治験を行う医師や医療機関の選定をはじめ、モニタリングや関連書類の作成など、幅広い業務を担当します。
CRAの働き方は、製薬企業の社員として働く方法と、「CRO(Contract Research Organization)」と呼ばれる医薬品開発受託機関に所属し、派遣先で働く方法があります。
MR
「MR(医薬情報担当者)」の主な仕事は、医薬品の品質や有効性・安全性などに関する、情報の提供・収集・伝達です。薬剤師の資格は必須ではありませんが、薬物治療が高度化している現代では、医薬品の適正使用のためにも、薬剤師の資格を持つMRが増えつつあります。
薬局で働く薬剤師とは異なり、直接患者さまと接することはありませんが、医師などの医療従事者のサポートを通して、患者さまの健康維持に貢献できます。
薬剤師が活躍できる職場や働き方-公務員編-
公務員薬剤師(国家公務員薬剤師/地方公務員薬剤師/麻薬取締官)
都道府県や地方自治体などに所属して、公務員として働く薬剤師もみられます。
厚生労働省など国の機関に所属して薬事行政に携わる「国家公務員」や、都道府県や市区町村などの地方自治体に所属して業務を行う「地方公務員」がいます。加えて、厚生労働省地方厚生局麻薬取締部に所属して、麻薬や不正薬物の取り締まりを行う「麻薬取締官」も代表的な公務員薬剤師です。公職に従事するには公務員採用試験の合格が必須となりますが、役所や保健所に加え衛生研究所など、さまざまな活躍の場が期待できます。
食品衛生監視員
食品衛生監視員は、行政警察活動として、食品衛生法に規定された職務および食品衛生に関する指導を行います。国家公務員として港湾で輸入食品の検疫を行う働き方と、地方公務員として日本国内の監督を行う働き方があります。
国家公務員は、全国の主要な海・空港の検疫所で、輸入食品監視業務や検査業務、検疫衛生業務などに従事します。地方公務員は、市町村の保健所などで、飲食店の許可や監視、食中毒の原因追求、食品の相談、衛生教育などを行います。
学校薬剤師
「学校薬剤師」として、大学以外の学校で働く薬剤師もみられます。学校教育の現場での薬品類使用や保管だけでなく、健康相談や保健指導、学校環境衛生(採光、照明、換気など)の維持管理に関する指導・助言者としての役割が求められます。
都道府県知事の許可を受けることで、通常は法律で副業が禁止されている管理薬剤師も兼任が認められているため、薬局薬剤師が学校薬剤師を任せられるケースもあります。
薬剤官
薬剤師のなかには、自衛隊の衛生分野(病院勤務など)で活躍する「薬剤官」と呼ばれる薬剤師もみられます。陸・海・空の病院や部隊で、所属する隊員の健康管理が主な業務です。
自衛隊病院などに配属され、通常の病院薬剤師と同じように調剤や服薬指導を行います。自衛隊は海外で活動する場合もあり、衛生環境の悪い場所で任務を余儀なくされることも。その際は、医薬品の在庫管理や代替薬の提案など、さまざまな役割が期待されています。
転職の際はしっかりとした準備を
国民の健康意識の高まりにつれて、薬剤師はより広範な業種での活躍が期待されています。どのような業種であっても、採用における大きなカギとなるのは、薬剤師としての調剤経験やマネジメント経験。あなたが経験から身につけた知識やスキルを、異業種においても活用して展開していくことが求められているのです。
転職の際は、「転職先でどのようなスキルが求められるのか」をしっかり分析することが大切です。自分の適性を知り、どの分野が向いているのかを考えるようにしましょう。
自分に合った業種を探しましょう
この記事では、【"薬局以外"に薬剤師が活躍できる職場や働き方】を紹介しました。薬剤師が力を発揮できる場所は多岐にわたります。調剤薬局にとどまらず、薬剤師が活躍できる場所は増えているので、興味を持った分野には積極的に挑戦していきましょう。
また、転職を検討する際には、自らの適性を見つめ直すことが重要です。転職コンサルタントを活用するなどして、知識やスキルを活かせる職場を見つけることをおすすめします。
ファルマラボ編集部
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