- 公開日:2020.05.11
薬剤師に多くみられる転職理由とは?面接での受け答えと志望動機の作り方
入社当初はやる気に満ち溢れていたはずが、働いていくうちに職場の嫌なところばかりが目につくようになってしまった......。そんなこともあるのではないでしょうか。薬剤師は他の仕事と比べて転職率が高い職業だといわれますが、その裏には様々な理由があります。
今回は、薬剤師に多い4つの転職理由について詳しく掘り下げていくとともに、転職希望の方に向け、マイナスイメージな転職理由を、いかに上手く伝えるかをご紹介します。
薬剤師に多い転職理由とは?
薬剤師の主な転職理由は、「人間関係」「労働環境」「収入アップ」「スキル&キャリアアップ」の4つです。ここでは、どのようなことに悩み転職を考えるのか、具体的にみていきましょう。
1.人間関係を理由に転職を考える場合
人間関係の悩みは多くの人が抱える問題ですが、薬剤師はそれが解決できずに職場を辞めるパターンが多い傾向にあります。
■調剤薬局
調剤薬局は、少ない人員と限られたスペースのなかで長時間にわたり働くことが多いため、人間関係が深くなりがちです。また、相性が悪い人と距離を置くのもなかなか難しく、ストレスが溜まりやすいのも理由の一つです。
■病院
病院では、様々な医療関係者との連携や、複雑な人間関係に悩むことがあります。調剤薬局と同じく薬局内や病院の限られた空間で仕事をするため、「息が詰まる」と感じる方も多いようです。さらに、医師や看護師長などへ立場的な気遣いをしなければならないこともあり、医師と看護師の板挟みになって悩んでしまうことも珍しくありません。
■ドラッグストア
薬剤師以外にも、店長・登録販売者・レジスタッフ・パート・アルバイト・美容スタッフなど、多種多様なスタッフと働くため、高いコミュニケーションスキルが必要になります。雇用形態が異なると理解が及ばないことも多く、パートスタッフと正社員の間で人間関係に悩まされるケースも少なくありません。
2.労働環境が理由で転職を考える場合
患者さまの命にも関わる薬剤師の仕事は、速さと正確さを求められるため、現場は常に緊張感に包まれています。ミスが許されない状況の中、患者さまへの配慮を欠かさずに行うことは決して容易ではありません。また、残業の多さや休日出勤、夜間対応、異動やヘルプなどによって、精神的・身体的にも疲労が蓄積しがち。薬剤師は資格さえあれば様々な労働環境への転職が可能なので、少しでも整った環境に転職しようと考えることがよくあるのです。
3.収入・待遇が理由で転職を考える場合
金銭的な条件や待遇に不満を持って辞める人は、薬剤師業界に関わらず多くいるでしょう。しかし、薬剤師の場合、職場を変えても仕事の内容が大きくは変わらないため、より効率よく収入が得られる勤め先を求める傾向があります。人手不足の薬局では高収入の求人が出ている場合も多いので、薬剤師にとっては転職=収入アップのチャンスになりやすい特徴があるのです。
4.スキル&キャリアアップを目指して転職を考える場合
同じ薬局や病院で長く働いていると、同じような処方せん内容を繰り返し調剤している感覚に陥ります。そのため、知識が広がらず、もっとスキルアップしたいと考え転職に踏み切る人も多いようです。 そのほか、管理薬剤師や専門薬剤師などのキャリアアップを目指して転職するパターンもあります。仕事の幅を広げ、薬剤師として高いレベルを目指したい方にとって、転職はキャリアアップのチャンスでもあるのです。
転職理由の伝え方
伝え方によってはマイナスイメージにもなりかねない転職理由。では、面接でどのように伝えるのが正しいのでしょうか。転職理由を聞かれたときのタブーは、「人間関係が辛かった」「給与が不満だった」などのように、ありのままを正直に話してしまうこと。面接官に「採用したい!」と思わせるには、ネガティブに語るのではなくポジティブな表現で答える必要があります。
人間関係
人間関係の不満をそのまま伝えてしまうと、「うちの会社でも同じことを繰り返してしまうのではないか」と面接官に疑念を抱かせてしまいます。前職で感じた人間関係の不満の裏には、"自分が周りとどのように関わりながら働きたいのか"という理想があるはず。「周りと円滑なコミュニケーションを取りながら仕事を進めたい」「よいチームワークの中で働きたい」という気持ちを伝えるようにしましょう。
収入アップ
「年収に不満があった」と正直に伝えてしまうと、「この人は給与が高ければどこの職場でもよいのでは?」と思われてしまいます。給与への不満があるというのは、自分の仕事に自信があり、向上心をもって仕事をしたい気持ちのあらわれでもあります。「努力が正当に評価される職場で、自信を持って働きたい」こと、さらには正当な評価のもと自己研鑽を重ね「結果的に会社に利益を還元できる」ことも伝えるとなおよいでしょう。
キャリア&スキルアップ
「スキルアップしたい」「キャリアアップしたい」という言葉は、一見向上心があって聞こえはいいですが、会社からは「自分のスキルアップしか考えていない」ととられてしまう可能性もあります。自分の利益だけを考えているのではなく、その先で必ず会社に還元できることを伝えましょう。-
▼参考記事はコチラ>転職理由をどう伝えるかが薬剤師転職のポイント!
志望動機の考え方
転職活動では、退職理由を自分の中で明確にしたうえで、つじつまの合う志望動機を考えましょう。ここでは、「志望動機を作成する際の気をつけるべきポイント」と「良い印象を与える志望動機の作り方」について紹介します。
志望動機を作成する際の気をつけるべきポイント
履歴書や面接で聞かれる志望動機を伝えるときには、いくつかの注意点があります。せっかくのアピールの場で、マイナスな印象を与えることがないように確認しておきましょう。
■どこの職場にも通用する志望動機を使わない
志望動機を考えるときにインターネットの文例や他人の事例などを使うのは確かに便利です。でも、そのまま使ってしまうと話に具体性がなくなり、「なぜこの職場を選んだのか」という熱意が伝わりにくくなります。
■プライベートな自己都合の理由を中心に伝えない
「保育園の送迎時間があるから」「家庭と仕事を両立させたいから」という理由では、都合さえつけばほかの職場でもよいと思われれたり、自己都合を優先しがちで会社への貢献度が低いと判断されてしまったりする可能性も。聞かれたら答えるのはよいですが、自ら積極的に伝えるべきではないでしょう。
面接担当者に響く志望動機の作り方
志望動機を考えるときに大切なのは、「なぜその職場を選んだか」と「自分の価値をどうアピールするか」です。では、採用側に「この人材を雇いたい!」と思わせるには、どんな志望動機にすればよいのでしょうか。
■転職先の特徴と絡めて応募を決めた理由を伝える
「困っている患者さんを助けたい」「医療に貢献したい」では、応募した職場を選んだ理由にはならないので、必ず希望先の特徴を志望動機に盛り込みましょう。そのためには情報収集や企業分析は欠かせません。「こんなことまで調べてくれたのか」「本当にうちで働きたいのだな」と思わせられるかがポイントです。
■人事担当者に共感を与える内容を盛り込む
面接は実際のところ、人と人のお見合いのようなもの。礼儀正しさも大事ですが、自分の個性が伝わるような志望動機を考えましょう。特に希望先の経営方針や運営方針、社風などで自分が気に入った点とその理由を伝えると、採用側にも共感されやすいのでおすすめです。
たとえば、「『患者第一、親切丁寧』という方針と自分が大事にしている患者ファーストな考え方に共感し、御社で働きたいと思いました!」などと伝えると、「この人と一緒に働きたい」「会社に貢献してくれそう」という強い印象を与えられるでしょう。
■思い描くキャリアプランと会社への貢献を伝える
過去の話を伝えるだけではなく、「今後どんな薬剤師になりたいのか」「どう働いていきたいか」を伝えることも忘れてはいけません。キャリアプランを明確に伝えることで、「この分野で活躍できる人材だ」と面接官に思わせることができます。また、キャリアプランが明確であればより長く働く意欲があると認識してもらえるので、人手が欲しい職場からすれば理想的な人材になります。将来のビジョンを転職の志望動機に組み込んでみましょう。
成功のカギは、「前向きに捉える」こと
今回は、薬剤師の転職理由とそれを踏まえた志望動機の考え方を紹介しました。参考になりましたか?
まずは転職理由を深く掘り下げて、自分が本当に求めているものが何なのかを明確にすることが転職活動での第一歩です。転職理由はネガティブな印象になりかねませんが、自分を前進させるための転職活動であることを忘れずに。ポイントは、希望先の職場をよく研究して面接トークを準備し、当日はどんな質問でも前向きに捉えて受け答えをすることです。
あなたの価値と思いがしっかりと伝わる志望動機を考えたなら転職活動も怖いものなし。ただし、自分ひとりでつくると独りよがりな志望動機になりがちなので、薬剤師専門のキャリアコンサルタントに相談してみるのもおすすめです。
ファルマラボ編集部
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