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  • 公開日:2022.04.27

『腎臓病薬物療法認定薬剤師』とは?取得方法やメリットを紹介【薬剤師の資格入門】

『腎臓病薬物療法認定薬剤師』とは?取得方法やメリットを紹介【薬剤師の資格入門】

医療技術の進歩や薬物療法の高度化などに伴って、薬剤師にも専門分野の深い知識や技術が求められる時代になりました。病院や薬局などの医療機関において、さまざまな認定・専門薬剤師が活躍していますが、腎臓病・透析・慢性腎臓病(CKD)などの専門的な知識を身につけた「腎臓病薬物療法専門・認定薬剤師」が注目を集めています。

この記事では、腎臓病薬物療法認定薬剤師の役割や取得方法について、解説していきます。関連のある、腎臓病薬物療法単位履修修了薬剤師と腎臓病薬物療法専門薬剤師についても、あわせてみていきましょう。

専門性の高い薬剤師の需要は高まる

専門性の高い薬剤師の需要は高まる

診療科が細分化され高い専門性が求められることの多い医師とは異なり、幅広い診療科の処方箋を扱う薬剤師は、ジェネラリストとしての側面が強い職業であると考えられてきました。しかし、医療技術の進歩に伴う薬物療法の高度化により、薬剤師には調剤という役割にとどまらず、専門性の高い知識、そして技術が求められています

なかでも、「認定薬剤師」や「専門薬剤師」という、日本病院薬剤師会などの団体から認定を受けた資格を有する薬剤師は、特定の専門分野において大きな役割が期待されています。チーム医療の進展に伴い、専門性を有する薬剤師の活用を目指す病院も増えているため、今後も需要は高まると考えられています。

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腎臓病薬物療法専門(認定)薬剤師認定制度とは

腎臓病薬物療法専門・認定薬剤師認定制度とは

腎臓病薬物療法専門(認定)薬剤師認定制度とは、日本腎臓病薬物療法学会(JSNP)が認定を行う資格で、腎臓病・透析・慢性腎臓病(CKD)などの腎臓に関わる病気の病態を熟知した薬剤師を養成するための制度です。関連する以下の3種類の資格は、認定条件や難易度が異なります。

【日本腎臓病薬物療法学会が認定する薬剤師】

①腎臓病薬物療法専門薬剤師
腎臓病薬物療法専門薬剤師とは、腎臓病薬物療法に関する十分な知識と技術を持ち、質の高い腎臓病薬物療法を提供するために実務・教育・研究に従事する者をいい、認定に必要な資格を有し本学会の専門薬剤師認定審査に合格したものとする。

②腎臓病薬物療法認定薬剤師
腎臓病薬物療法認定薬剤師とは、腎臓病における薬物療法に関する十分な知識と技術を用いて、各医療機関において質の高い業務を実践する者をいい、認定に必要な資格を有し、本学会の認定薬剤師認定審査に合格したものとする。

③腎臓病薬物療法単位履修修了薬剤師
腎臓病薬物療法単位履修修了薬剤師とは、腎臓病薬物療法に関する自己研鑚を積んだ薬剤師をいい、認定に必要な資格を有し、本学会の単位履修修了薬剤師認定審査に合格したものとする。

出典:日本腎臓病薬物療法学会 腎臓病薬物療法専門(認定)薬剤師認定制度

『腎臓病薬物療法認定薬剤師』の役割と取得のメリット

腎臓病薬物療法認定薬剤師の役割と取得のメリット

腎臓病薬物療法専門(認定)薬剤師認定制度には3種類の資格がありますが、ここでは代表的な腎臓病薬物療法認定薬剤師の役割や取得するメリットについて解説していきます。

『腎臓病薬物療法認定薬剤師』の役割

腎臓病薬物療法認定薬剤師の役割として、透析や腎移植を含めた慢性腎臓病(CKD)や、急性腎障害や腎臓が未発達の未熟児、CKD患者の大半を占める高齢者の薬物療法など、幅広い腎臓に関わる薬物適正使用の実践を推進することが求められています。2021年1月時点で、139名の薬剤師が認定を受けています。

『腎臓病薬物療法認定薬剤師』を取得するメリット

腎臓病薬物療法認定薬剤師の資格を取得することにより、腎臓に関する薬物療法において、チーム医療の中で活躍することが期待されています。また、専門性の証明となるため、他の医療従事者からの信頼を得やすいだけでなく、専門分野のスペシャリストとして高い需要が見込めるため、転職時に他の薬剤師に比べ有利となることもあります。

『腎臓病薬物療法認定薬剤師』になるには?

腎臓病薬物療法認定薬剤師になるには?

腎臓病薬物療法認定薬剤師になるためには、以下の6つの条件をすべて満たした上で、専門薬剤師認定制度認定委員会の審査を受け、理事会で承認を得ることが求められています。

(1) 日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師としての優れた人格および識見を備えていること。
(2) 薬剤師歴5年以上、申請時において3年以上本学会会員であること。薬剤師歴は医療機関での 常勤並み勤務の通算とする。また、直近2年間は常勤並みの継続勤務を必要とする。
(3) 日本腎臓病薬物療法学会が示す単位基準の修得単位が、受験年の直近3年間で12単位以上ある こと。
(4) 日本腎臓病薬物療法学会(日本腎と薬剤研究会も含む)、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本 医療薬学会、日本薬剤師会学術大会などの全国レベルの学会や関連する国際学会において、腎 臓病薬物療法に関する学会発表が、申請年の直近10年間で3回以上(うち,少なくとも1回 は筆頭発表者)あること。
(5) 申請時に、直近5年間の30自験例を提出できること。
(6) 認定試験(筆記試験)に合格した者

出典:認定資格と更新資格|専門薬剤師認定制度対策委員会

認定期間は5年ごとで、更新のためには以下の7つの条件をすべて満たした上で専門薬剤師認定制度認定委員会の審査を受け、理事会で承認を得ることが求められています。

(1) 日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師としての優れた人格および識見を備えていること。
(2) 継続的に本学会会員であること
(3) 認定薬剤師として腎臓病薬物療法に貢献した活動履歴を提出すること。
(4) 日本腎臓病薬物療法学会が示す単位基準の修得単位が、更新年の直近5年間で20単位以上ある こと。ただし、20単位のうち、本学会主催の学術集会への参加に係る単位の合計として6単位 以上必要であり、かつ毎年1単位以上履修すること。
(5) 本会が指定する指定講演を2回以上受講していること。
(6) 日本腎臓病薬物療法学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本医療薬学会、日本薬剤師会学 術大会などの全国レベルの学会や関連する国際学会において、腎臓病および透析患者の薬物療 法に関する学会発表が、更新年の直近5年間で1回以上(筆頭発表者)あること。
(7) 直近5年間の30自験例を提出すること。
※更新は5年毎

出典:認定資格と更新資格|専門薬剤師認定制度対策委員会

専門性の高い薬剤師が求められている

腎臓病薬物療法認定薬剤師は、透析や移植などを含む腎臓に関わる病気の薬物治療における知見や技術を持ち、専門性を生かして働く薬剤師を認定する制度です。腎臓病薬物療法について研鑽している薬剤師との交流や、学会誌による最新情報の入手などの機会が得られるため、継続学習にも役立ちます。

薬剤師にも専門性が求められるようになったことにより、資格の重要性が高まっています。資格を取得するための道のりは大変ですが、認定薬剤師や専門薬剤師として働きはじめれば、多くのメリットを実感することができるでしょう。

執筆者:ヤス(薬剤師ライター)

新卒時に製薬会社にMRとして入社し、循環器や精神科からオンコロジーまで、多領域の製品を扱う。

現在は患者さまと直に接するために調剤薬局チェーンに勤務しながら、後進の育成のために医薬品のコラムや医療論文の翻訳など、多方面で活躍中。

記事掲載日: 2022/04/27

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