- 公開日:2019.10.04
病院薬剤師の夜勤は大変って本当?仕事内容や勤務体制などを徹底解説
「病院薬剤師」の仕事に興味はあるものの、夜勤があることに対して不安を抱き、一歩踏み出せない。そんな覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
とは言え、実態を知らず、過度に心配し過ぎている方もいるでしょう。なにより、病院薬剤師は必ずしも夜勤があるとは限りません。病院によって異なるため、事前にしっかりとリサーチしておけば、夜勤の少ない病院で働くことも可能です。
そこでこの記事では、【病院薬剤師の夜勤の仕事内容/スケジュールや勤務体制/求められるスキルなど】について解説します。病院薬剤師を志す方、または就職・転職に悩んでいる方はぜひお読みください。
救急医療に対応する医療機関は夜勤が多い?
医療機関にはいくつかの区分があります。たとえば、病床がない、または20床未満は診療所。病床が20床以上は病院とされています。病床が多いほど夜勤がある可能性も高まるため、ひとつの判断材料として覚えておくと良いでしょう。
また、病院にも2種類あり、基本的に夜勤があるのは入院患者を受け入れる「総合病院」です。国立・公立病院、大学の付属病院、急性期病院など、救急医療に対応している病院が挙げられます。
一方で、救急医療に対応していない「慢性期病院」は夜勤がほとんどありません。夜勤の有無を知りたい時は、救急医療に対応しているかどうかをチェックしましょう。
「夜勤」と「当直」の違いは?仕事内容や手当について
夜間帯の勤務形態はいくつかあります。たとえば、夕方から出勤して翌朝まで働く「夜勤」と、朝から出勤して翌日の朝や昼まで働く「当直(宿直)」などです。ここでは、その違いを見ていきましょう。
夜勤
17時頃に出勤して、翌朝9時頃まで働くのが夜勤です。日中に対応できなかったカルテを確認したり、救急で来院した患者さまの薬物治療について医師や看護師と共に計画したりします。また、内服調剤や注射剤の混注も夜勤の業務です。
夜勤で働く時間は法定労働時間としてカウントされるため、深夜割増賃金が加算されます。ただし、病院によって割増額は異なるので、事前に確認しておきましょう。
当直(宿直)
朝から出勤して、翌日の朝や昼まで通して働くのが当直です。業務内容は夜間に発生した緊急事態の対応が中心となります。他にも、入院患者さまの薬が急に必要になれば調剤したり、医師や看護師からの質問に対応したりします。
当直は付帯業務と見なされ、仕事の内容が軽いことから手当が付かないケースがほとんどです。法定労働時間には含まれず、時間外労働が増えることになります。
夜勤と当直のタイムスケジュール例と勤務体制の違い
夜勤・当直のタイムスケジュール例
【夜勤】Aさんの場合
▼日中:お休み。家事や買い物など
▼17時:出勤。日勤薬剤師から引き継ぎを受ける
▼22時:救急対応
▼深夜0時:仮眠
▼深夜3時:救急対応
▼翌朝9時:日勤薬剤師に引き継ぎを行い、業務終了
【当直】Bさんの場合
▼9時:出勤。朝礼
▼11時:退院患者への退院時処方の服薬指導
▼13時:休憩
▼15時:入院患者への服薬指導
▼17時:夜勤開始
▼21時:調剤業務やカルテチェックなど
▼深夜0時:仮眠
▼深夜3時:救急患者への薬物療法計画に参加
▼翌朝8時:日勤薬剤師に引き継ぎを行い、業務終了
「2〜3人体制」を取る急性期病院も
夜間帯勤務にあたる薬剤師数は病院によって異なります。一人当直制度を取っている病院も少なくはありません。しかし、業務量が比較的に多い急性期病院では、2〜3人体制を取り入れているところも増えてきています。薬剤師の業務は正確性と安全性が重視です。本来であれば、ダブルチェック可能な体制が望ましいでしょう。
2〜3人体制の場合、夜勤経験の浅い薬剤師は、ベテラン薬剤師と一緒になるように工夫してもらえることが多いです。たった一人で対応にあたるケースは稀でしょう。
あらかじめ、「急性期病院かどうか」「夜間帯の勤務体制について」などを確認し、いざ働く場合はどうなのかを把握しておくことが大切です。
「緊急時に対応できる柔軟さ」が欠かせないスキル
24時間体制の医療現場で求められるのは次のようなスキルです。
薬に関する十分な知識
少人数で対応するため必須と言えるでしょう。特に一人当直の場合、一人ですべての判断と対応を行うための知識と経験が求められます。
急性期の病気に関する知識
救急で来院した患者さまの薬物治療を計画する際に、適切な提案が求められます。急性期の病院に関する知識を深めておくと良いでしょう。
スピード感のある対応や判断
急性期病院の場合、夜間帯は救急の患者さまが多く来院されます。どの患者さまから対応するか優先順位を付けるなどの判断力も求められるでしょう。
他にも、医師や看護師と意見を交えるコミュニケーション能力、体調面や精神面を崩さない自己管理能力も求められます。加えて、緊急時に対応できる柔軟さを身につけることも必要です。薬剤師として、そして人として成長も促してくれるはずです。
知識収集を続けること、経験を積み重ねていくことで、確実に今後のキャリアアップに繋がるでしょう。最初は一人ですべて対応できずとも、先輩や同僚などの協力を仰ぎながら、十分に活躍できるだけのスキルを身につけていけば問題ありません。
病院薬剤師の夜勤は大変。しかし、やりがいは十分
夜勤に関する、疑問や不安は解消されたでしょうか。病院薬剤師の仕事の中でも、夜間帯に勤務し業務にあたることは、薬剤師としての職能を最大限に発揮できる機会とも言えるでしょう。精神的・体力的に負担を感じることもあるかもしれませんが、"医療の最前線"で働く魅力があります。緊急性の高い場面では、患者さまから感謝されることも多く、大きなやりがいを感じられるでしょう。
病院勤務を希望している方は、事前にしっかりと情報収集を行うことが大切です。あなたが思い描くような働き方を実現できる理想の職場を見つけてくださいね。
ファルマラボ編集部
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