- 公開日:2022.05.23
薬剤師研修・認定手続きの電子化が決定へ!そのメリット・デメリットは?
2022年4月1日より「PECS(薬剤師研修・認定電子システム)」を使用し、研修や認定手続きが行われることになりました。この電子化によって、薬剤師はどのような方法で手続きを行わなくてはならないのでしょうか。
今回は、電子化の概要と共に、メリットやデメリット、実際に行う手続きの方法などについて解説します。
薬剤師研修・認定電子システムとは?何が変わる?
日本薬剤師研修センターが稼働開始した「薬剤師研修・認定電子システム(PECS)」によって、研修受講シールや薬剤師研修手帳が廃止となりました。今後は、Web上で研修受講管理や申請手続きなどを行う必要があります。
電子化の認定対象となる研修は以下の8種類です。研修自体が従来の5種類から数が増えているので、この点も確認しておきましょう。
- 1.集合研修
- 2.学術集会
- 3.e-ラーニング研修
- 4.ウエブ利用研修(集合研修の即時配信)
- 5.ウエブ利用研修(学術集会)
- 6.自己研修
- 7.学術集会等発表
- 8.学術雑誌論文掲載
対象は集合研修と実習研修のみで、通信講座研修は廃止となりました。開始時と終了時に、読み取り機にQRコードをかざして受講管理を行います。
従来は集合研修に含まれていましたが、ここから分離されました。開始時と終了時に、読み取り機にQRコードをかざして受講管理を行います。
随時提供されるコンテンツを受講するものです。研修実施機関の定める方法で受講します。
即時配信された座学の集合研修を受講するものです。なお、録画したものの受講は対象外です。研修実施機関の定める方法で受講します。
即時配信された学術集会の内容を受講するものです。一部は録画したものの受講も可能ですが、提供は一定期間内で開催申請を行って承認された範囲内です。研修実施機関の定める方法で受講します。
自己研修やグループ研修を受講するものです。定められた方法で、薬剤師が自身でPECSを用いて研修センターに申請します(1申請1単位)。
研修会講師や、学術集会など(範囲指定)における発表者を行った場合に申請可能です。定められた方法で、薬剤師が自身でPECSを用いて研修センターに申請します(1申請1単位)。
筆頭執筆者として指定学術雑誌に論文を掲載した場合に申請可能です。定められた方法で、薬剤師が自身でPECSを用いて研修センターに申請します(1申請1単位)。
日本薬剤師研修センター「薬剤師研修・認定電子システム(PECS)の概要」
電子化によるメリット
薬剤師研修・認定手続きが電子化することで、どんなメリットがあるのか確認しておきましょう。
認定者の処理能力向上
近年、薬剤師の認定者数は大幅な増加傾向にあります。新規・更新を含めた認定者数は2019年に5万人を超え、従来の書面での処理には限界が来ていました。電子化によってその処理能力を向上させることが可能です。
申請処理の迅速化
従来の申請は書類の郵送によって行われており、手続きに多くの時間が必要でした。具体的には研修協議会に郵送された申請書が研修センターに送付され、審査を経てその結果をはがきで合否を通知します。その後、認定証が研修協議会に送られ、やっと認定者の手元へ送付される流れです。電子化することで郵送による書類のやり取りがなくなり、申請処理が迅速化します。
単位管理の簡便化
これまで研修受講後は受講シールが配布され、薬剤師研修手帳に貼付することで記録していました。しかし受講シールの紛失などで研修受講記録が明確に管理できないといった問題点がありました。電子化によって受講シールや薬剤師研修手帳が廃止されシステム管理となることで、紛失によるトラブル防止に繋がります。
不正行為の防止
2019年、受講シールがインターネットオークションで売買される事案が発生しました。購入者は不正に入手した受講シールにより、認定取得しようと考えたのでしょう。売る側と買う側いずれも不正行為であり、電子化はこうした事案の防止にも繋がります。
電子化によるデメリット
薬剤師研修・認定手続きの電子化には、薬剤師にとってデメリットとなる要素もあります。具体的に3つ取り上げて解説しますので、あらかじめ把握しておきましょう。
PECSの登録・利用手続きが必要
PECSを利用するためには薬剤師が自身で登録や利用手続きをしなければなりません。初回のみとはいえ、パソコンやスマートフォンから手続きを行うのは一定の労力が必要でしょう。
ログインID/パスワードの管理
登録手続きが完了すると、PECSにログインするためのユーザIDがメールで届きます。また、手続きの際には自分でパスワードの設定も必要です。このユーザIDとパスワードは、以後もPECSの利用で必須となります。これらの管理を煩わしく感じる方もいるでしょう。
システムセキュリティへの懸念
電子化によって、薬剤師研修・承認手続きに関する情報はすべてシステム管理となります。これには薬剤師の個人情報も含まれるため、セキュリティ面で懸念がついて回ります。
PECSの登録方法
2022年4月から本格稼働となるPECSによる電子化ですが、実際の登録方法についても確認しておきましょう。登録はパソコンやスマートフォンから行えます。なお、研修会等を受講する際には、その前にPECSへの登録が必須です。PECSに登録していないと研修受講単位が交付されないため、忘れずに行いましょう。
- 1.日本薬剤師研修センターのホームページを開く
- 2.画面右上にある「薬剤師研修支援システム」をクリック/タップする
- 3.「薬剤師のPECS登録・ログインはこちらからです」にある「薬剤師用入口」をクリック/タップする
- 4.「ユーザID・パスワード入力」画面で「新規登録の方はこちら」をクリック/タップし、手順にしたがって必要事項を入力
- 5.PECSへの登録が完了すると、メールでユーザIDが送信
これらの手順で登録申請が完了するため、従来からあった書類での手続きと比べて大きく簡略化されたといえます。なお、ユーザIDがメールで届いたら、紛失したり忘れたりしないよう管理しておきましょう。
PECSへの早めの登録とID・パスワード管理が必要
薬剤師研修・認定電子システムPECSによる、薬剤師の研修や認定手続きの電子化について詳しく解説しました。これによって研修の実施方法や申請・認定手続きの流れが変わるため、薬剤師はあらかじめ理解しておく必要があるでしょう。
PECSによって申請処理が迅速化し、受講シール紛失や不正行為などの防止に繋がります。一方で、PECSへの登録は薬剤師自身が個別に行わなければならず、これを手間に感じる方は多いかもしれません。また、システム利用には登録時に発行するユーザIDとパスワードが必要となり、この管理も薬剤師の責任です。
研修を受講する際には事前にPECSに登録しないと、受講単位が交付されない点も覚えておきましょう。
ファルマラボ編集部
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