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  • 公開日:2019.10.29

「食品衛生監視員」とは?仕事内容や気になるポイントなどを解説【薬剤師のお仕事ガイド】

「食品衛生監視員」とは?仕事内容や気になるポイントなどを解説【薬剤師のお仕事ガイド】

世界には、食中毒や食品由来の感染症などに悩む国々があります。しかし、日本に暮らしていると、そうした問題に直面することは殆どないはず。この背景には、私たちが口にする食品の安全と安心を守る「食品衛生監視員」がいることをご存知でしょうか。

実は、薬剤師にも門戸が開かれている「食品衛生監視員」。今回は、【食品衛生監視員について/職場別の仕事内容/資格取得の方法】をご紹介します。

「食品衛生監視員」とは?

食品衛生に関わる仕事はいくつかあります。その中でも重要な役目を担っているのが、「食品衛生監視員」。国民の健康のために、食品衛生法などの法令に基づいて食の安全と安心を守る仕事です。残留農薬、基準値を超える添加物、放射性物質などの悪影響が注目されている昨今、国民の健康を守るための意義ある仕事と言えるでしょう。

食の安全を監視することが役割

食品衛生法などの法令に基づいて食の安全と安心を守る仕事です。また、海外から輸入した食品をチェックしたり飲食店に正しい食品の扱い方を指導したりすることもあります。保健所がある自治体には食品衛生監視員を置くことが義務付けられています。彼らは、様々な検査と指導を通して、私たちが口にする食べ物の安全を守っているのです。

検疫所や保健所などで活躍する

食品衛生監視員は、【国家公務員】か【地方公務員】に分けられます。主に国家公務員は空港や港などの検疫所で働くことになります。輸入食品由来の感染症を防いだり、食中毒の危険性がある汚染食品の流通を防いだりすることが役割です。また地方公務員は自治体の保健所で働くことになります。地域の飲食店における食品衛生などを監視することが役割です。

ほかにも、厚生労働省や都道府県庁、さらに卸売市場の検査所など様々な活躍の場があります。いずれも、『食品衛生監視員』以外に、国家公務員/地方公務員の資格が必要です。

<職場別>食品衛生監視員の仕事

検閲所のイメージ

空港や港などの検疫所での仕事とは?

日本の食卓に並ぶ食品の約6割が輸入食品。毎日大量の輸入食品が海外から届いているのです。それらの監視を、空港や港で行うことが食品衛生監視員の役割。日本の食の安全を守る仕事であると言えるでしょう。検疫所での仕事は主に次の3つに分けられます。

①輸入食品監視業務

輸入業者は輸入届出が義務付けられており、全国の検疫所に配置された輸入食品届出窓口に届けなければなりません。それを受理した検疫所で働く食品衛生監視員は、「食品衛生法に適合しているか」「準拠した検査が行われているか」などをチェックします。日本で禁止の添加物が使用されている場合などがあれば、必要に応じて業者に指導します。

「輸入食品監視指導計画」に基づくモニタリング検査のためのサンプリングも行います。倉庫で梱包を開封してサンプリングすることもあるので、比較的体力も必要でしょう。

②検査(試験分析)業務

食品衛生監視員の仕事は机上だけの業務ではありません。精密機器を用いた検査分析も担当し、輸入食品のモニタリング検査などの試験分析や検疫衛生業務に係る検査を行います。主に、微生物検査と理化学検査があり、微生物による汚染されていないか検査したり、残留農薬や添加物をはじめ、有毒有害物質などが含まれていないか検査します

③検疫衛生業務

13の本所と14の支所がある検疫所では、検疫衛生業務を行います。国内に常在しない感染症・検疫感染症の病原体の侵入を防ぐため、海外から来る船舶や飛行機はもちろんのこと、乗客や乗組員などを対象に検査します。感染患者を発見したら、隔離や消毒などの防疫措置を行う場合も。微生物の侵入を防ぐべく、輸入する動物を検査するのも大切な業務です。

自治体の保健所における仕事とは?

①飲食店等の営業施設の許可事務

飲食店の営業や食品の製造・販売には、食品衛生法や自治体の条例により営業許可や届出が必要です。食品衛生監視員は営業施設が法令に準拠しているかを厳しく確認します。

②飲食店等に対する監視と指導

監視・指導・調査・検査などを行う「立ち入り権限」必要最小量の食品や添加物などをサンプリングする「収去権限」が食品衛生監視員には与えられています。これらを行使して、「基準に従って製造されているか」「温度管理が衛生的に行われているか」を検査します。

③食中毒などの調査や対策

食中毒や事故が発生した場合、関係者や医師の協力のもとで検査を行います。その上で、該当食品の販売中止を決定したり営業停止の行政処分を決定したりする大切な仕事です。さらに再発防止と被害拡大防止を目指し、対策を検討・実施します。

④食品の検査

飲食店等の営業施設からサンプリングした食品を検査し、規格や基準が遵守されているか確認します。規格に適していない、基準を満たしていない場合は、販売停止・営業停止などの行政処分を決定することもあるでしょう。

⑤食品に関する苦情や相談への対応

「スーパーで買った食品にカビが生えていた」などの苦情が寄せられたときに、原因調査や再発防止対策を行います。また、事業者を対象にした講習会を開き、知識や技術の普及に努めることで、地域住民に安全な食品が提供されるよう取り組みます。

食品衛生監視員を目指すには

食品衛生監視員は誰もが就職できる仕事ではありません。資格を取得した上で、国家公務員または地方公務員になる必要があります。医師や薬剤師などの国家資格保有者であることも条件なので、具体的な条件と方法について確認しておきましょう。

受験資格

「食品衛生監視員」は厚生労働省認定の任用資格です。「21歳以上30歳未満」の年齢制限があり、下記の条件を満たした方に受験資格が与えられます。

  • 都道府県知事の登録を受けた食品衛生監視員の養成施設において所定の課程を修了した者
  • 医師、歯科医師、薬剤師又は獣医師
  • 大学又は専門学校において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学又は農芸化学の課程を修めて卒業した者
  • 栄養士で2年以上食品衛生行政に関する事務に従事した経験を有する者
  • ▼引用元はコチラ>東京都福祉保健局「食品衛生の窓」

    試験内容と難易度

    上記の受験を満たし、試験を受けて合格することで晴れて食品衛生監視員になれます。その上で、検疫所勤務を目指すのであれば国家公務員試験を、保健所勤務を目指すのであれば地方公務員試験を受ける必要があるでしょう。試験内容はそれぞれ異なるため事前にしっかりと確認することをおすすめします。また、令和元年度は食品衛生監視員を45名採用予定。倍率は7.7倍(平成29年度)であり、競争率の高い資格と言えるでしょう。

    ▼参考記事はコチラ>厚生労働省「食品衛生監視員採用試験」
    ▼参考記事はコチラ>2019年度 国家公務員「食品衛生監視員採用試験」

    薬剤師の資格を生かして挑戦しよう

    私たちが口にする食品の多くは、「食品衛生監視員」のおかげで安全と安心が確保されています。身近な存在ではないものの、国民の健康と衛生状態を管理するために欠かせない責任ある役割を担っているのが食品衛生監視員なのです。

    また、食品衛生監視員は国家公務員/地方公務員であり安定した職業と言えます。初任給は低い傾向にありますが、昇給やボーナスなどが安定していたり、有給休暇や特別休暇などが充実していたり、ワークライフバランスを大切にして働けることができるでしょう。

    食品衛生監視員は、薬剤師資格があれば目指すことができます。意義ある仕事に、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?

    ファルマラボ編集部

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    記事掲載日: 2019/10/29

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