- 公開日:2016.08.09
薬剤師の資格を活かせる「CRO」での仕事
薬剤師の調剤薬局・病院・ドラッグストア以外の就職先として、CROが検討できます。CROで働く薬剤師の仕事内容・年収を見てみましょう。
新薬開発をサポートして医療の発展に貢献
CROとは治験をサポートする機関のことで、モニタリングや検証データ報告のために薬剤師資格を持った人材が必要とされます。 新しい医薬品の安全性・効能を調べることで医療の発展に貢献するやりがいのある仕事と言えます。
平均として給与水準が極めて高いというわけではないものの、産休や育休がとりやすく充実した福利厚生を期待できます。 もちろん、大手CRO・高収入の職場を選んで転職した場合には、年収アップも可能です。
CROから製薬メーカーへの転職もさかんで、長い目で見たキャリアプランが立てやすい職種と言えます。 将来的な希望年収・仕事のやりがいを考慮したうえで、CROの仕事を検討しましょう。
治験をサポートする外部検査機関がCRO
新しい医薬品を開発して、そのまま市場に出したらどうでしょう。
重要な副作用がある場合、取り返しがつかないことになります。 商品として発売するには、有効性や安全性を人の身体で検証する必要があり、実際に人を交えて行う試験のことを臨床試験と呼んでいます。
臨床試験のうち、厚生労働省の承認を得るために行うものが治験です。 製薬会社が独自で行う他、専門の外部機関に委託する方法もあります。
治験業務を受託する外部機関がCRO(Contract Research Organization)と呼ばれる企業です。 依頼された検査を速やかに行い、必要なデータの回収・解析を終えて、製薬会社にフィードバックしていきます。
国際的な医薬品競争の激化を受けて開発スパンの短縮が急務になるにつれて、CROの役割がますます重要になりつつあります。 新しい有用なお薬の開発に欠かせない行程が治験であって、治験をサポートする外部機関がCROと考えてください。
CROで働く薬剤師の仕事内容・職場環境
CROで働く薬剤師の仕事は、大きく2つの職種に分類できます。
- CRA(Clinical Research Associate)
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CROに所属して、治験のモニタリングを行います。
計画に沿って滞りなく治験が進んでいることを確認して、結果の回収・報告や治験終了に伴う諸手続きを実施します。 報告のために病院に出向いたり医薬品管理機関に出かけたりするため、外回りが多くなる傾向があり、営業的な側面も有しています。 - DM(Data Management)
- CRAが集めたデータを解析して報告できる状態にする仕事で、広い薬学知識とデータ処理能力が問われる専門度の高い職種と言えるでしょう。 試験データを入力・管理する事務作業が多く、室内で落ち着いて働きたい薬剤師に適しています。
一般的な薬剤師のように、患者さまと接する機会はありません。 患者さまとのコミュニケーションが苦手な薬剤師の転職先としても検討できます。
CROで働く薬剤師の年収目安と考え方
年収の参考に、標準的な待遇の大手CRO給与テーブルを見てみましょう。
- キャリア2年〜3年の新入社員:年収450万円程度
- キャリア3年〜5年の中堅社員:年収520万円程度
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ディレクター職:年収800万円程度以上
基本給を押さえて、残業代とインセンティブ比率を高める実力主義の会社もあります。 - キャリア1年〜2年の新入社員:年収450万円〜540万円程度
- キャリア3年〜10年の中堅社員:年収500万円〜700万円程度
- マネージャー職:年収780万円〜840万円程度
会社によって給与テーブルの変更スパン・基本給の水準などが異なるため、自分にあったシステムを選ぶ必要があります。 あと何年その企業で働き、5年後・10年後にどの程度の年収を希望するかという将来的なキャリアプランも不可欠です。
応募企業の給与体制について不安があれば、担当コンサルタントに相談しましょう。 過去の事例や該当企業の現状をふまえたうえで、適切なアドバイスを受けられます。
まとめ〜薬剤師の資格を活かせる「CRO」での仕事
- 1.新薬開発をサポートして医療の発展に貢献
- モニタリングや検証データ報告などの治験サポートの仕事には、薬剤師資格を持った人材が必要です。 CROの仕事は、新しいお薬の安全性・効能を調べることであり、医療の発展に貢献することができます。 また、大手CROを選べば、年収アップも可能です。
- 2.治験をサポートする外部検査機関がCRO
- 厚生労働省の承認を受けるための治験をサポートする外部機関がCROです。 国際的な医薬品競争の激化を受けて開発スピードが加速するにつれて、CROの役割が重要になりつつあります。
- 3.CROで働く薬剤師の仕事内容・職場環境
- CROで働く薬剤師の仕事内容としては、治験モニタリング・データ解析の2種類があります。 担当業務や働く環境が異なるため、自分に合った職種の求人を探しましょう。
- 4.CROで働く薬剤師の年収目安と考え方
- CROに就職すると、年収450万円くらいからスタートして管理職になるあたりで800万円くらいになります。 企業によって基本給のベースアップのペースや給与システムが異なるので、事実関係を明確にしたうえで転職しましょう。
ファルマラボ編集部
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