- 公開日:2010.05.10
《話題のニュース》 病院へのフリーアクセス、制限は必要?
薬剤師の皆さん、こんにちは。
日本の医療の大きな特徴として、「国民皆保険」の他に、
誰もが自分のかかる医療機関を選択できる「フリーアクセス」があります。
日経メディカルオンラインに、“医療機関へのフリーアクセスを制限すべきか”というテーマで
医療従事者・患者の両立場からの意見が掲載されていました。
“医療従事者”の視点からは、軽症であるのに高機能の大病院に患者が押し寄せ、
勤務医の疲弊を招き、医療資源の効率的な活用につながらないなど
フリーアクセスを評価しない指摘が多くあります。
しかし、医療機関への自由なアクセス権に恵まれている“患者”の立場においても、
同様に「制限すべき」という意見が多かったことが興味深い結果でした。
大きな理由としては、医療従事者と同様に「ちょっとした症状で大病院に来院する患者が多い」
ことへの懸念であり、大病院の混雑状況の改善を望む声もありました。
ただ、大病院へのアクセスの制限については、
「医師の免許更新制度や新たな資格制度の導入など、
開業医の質を担保するシステムの構築が前提」といった意見が多く、
イギリスのように地元の家庭医からの紹介がなければ専門医・大病院が受信できない制度は
望んでおらず、そこには開業医の診療能力への不安があるようです。
医療資源の適切な活用のことは分かっていても、自分や家族のこととなれば、
「自分自身で納得のできる医者を探したい」とまず願うのが
時に心配症を指摘される日本人の心理なのでしょうか。
日本には大病院志向の医療文化があり、これを変えていくのは非常に難しいと言われています。
「発想を変えてむしろそういう患者の志向を理解したうえで、
対策を打ち出すべきなのではないでしょうか」といった意見もありました。
フリーアクセスの制限には、日本の様々な医療の課題が絡んでいます。
医療従事者だけなく、患者の立場も巻き込んだ裾野の広い議論が必要ですね。
ファルマラボ編集部
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