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  • 公開日:2016.06.20

薬剤師の「がん患者さま」との正しい接し方

がん患者さまとの接し方において薬剤師が意識すべき点と仕事内容についてご紹介します。 薬剤師はがん患者さまと家族をケアできる立場にあるのです。

観察し感情を受け止め気持ちに寄り添った接し方をしましょう

薬剤師ががん患者さまと接する際には、相手をよく観察し、言葉だけでは表しきれない感情を理解し、共感する接し方が大切です。 薬剤師の仕事内容は、単に薬事に関する知識を提供するだけではありません。 患者さまと接し、不安を和らげ、病気の回復に向けて前向きになれるように、患者さまはもちろんそのご家族の心のケアをすることも含まれます。 がん患者さまだからといって、薬剤師の側が壁を作ってしまっては、十分なコミュニケーションは期待できません。 とりわけ末期のがん患者さまの場合、根本的な回復が見込めないために言葉を失うこともあるでしょう。 しかし、薬剤師という立場だからこそ、がん患者さまに寄り添い、ご家族を励まし、力になる事ができるのです。

患者さまの気持ちを理解する

がんはその言葉だけでも死を意識する言葉です。 患者さまは、死に対する恐怖や家族と別れなければいけないさみしさで多くの苦痛を経験されます。 薬剤師は患者さまに薬を提供するだけにとどまらず、患者さまのそばに寄り添い、気持ちを軽くしてあげるような接し方が重要です。 そのためにはまずは患者さまがどのような気持ちなのか、できる限り理解するように努めることが大切です。 患者さまの抱く苦痛は、身体的、精神的、社会的、そして生きるということに対する漠然とした疑問や不安を含むスピリチュアルな痛みを併せ持っています。 とりわけ、スピリチュアルな部分はネガティブな思考にどんどん自分を陥れてしまうため目に見えない大きな苦痛でもあり、そうした苦痛を素早く察知する接し方がケアの一歩となります。 具体的には人生に意味があったのかとか、何か悪い事をしたからこんな苦痛を味わうのかなどの漠然とした疑問です。 もちろん、そうした疑問についての答えを持ち合わせてはいないとしても、まずはそうした話を聞いて、理解しようという姿勢が大切なのです。

コミュニケーションの取り方

自分の感情もコミュニケーションの仕方が悪いと上手く伝わりません。 薬剤師ががん患者さまと接する際にも、単に仕事内容にだけ気を配るのでは十分なコミュニケーションは図れないでしょう。 基本的なコミュニケーションの技術として覚えておきたい最初の点は、相手をよく観察する事です。 患者さまはいろいろと話をしてくれるかもしれません。 前向きな事を話す事もあるかもしれませんが、背後にはもっと別の感情が隠れている事もあります。 表情や目の動き、声の調子や話し方などをよく観察する事で、そうした患者さまの本心を察する事ができるように話を聞きましょう。 言葉尻だけを捉えて安易に提案や励ましの言葉をかけると、かえって患者さまを傷つけてしまうことにもなりかねません。 そして、自分の意見に同調させようとするのではなく、患者さまの気持ちを全て受け止めるつもりで接しましょう。 患者さまは自分でも整理しきれない様々な気持ちを受け止めてくれる存在がいるだけで、心が落ち着くでしょう。

どのように患者さまをケアするか

がん患者さまとのコミュニケーションを考える上で、忘れてはいけないのがそのご家族との関係です。 薬剤師の立場でももちろん患者さまにとって励みとなるケアを行うことはできますが、患者さまにとって一番そばに寄り添っていてほしいのはご家族でしょう。

薬剤師の仕事内容のひとつは、その専門的な知識と経験を生かし、患者さまとそのご家族の架け橋となるような役割をする事とも言えるでしょう。 患者さまだけではなく、そのご家族も数多くの苦痛を経験します。 愛する家族を失うさみしさを抱えながらも、気丈にふるまって患者さまを励ましているかもしれず、患者さまのどうしようもできない感情をぶつけられて辛い思いや無力感を味わっているかもしれません。 そうしたストレスはご家族をさらに辛くさせます。 そこで薬剤師としての立場で、ご家族がいかに患者さまにとって大切で有用な存在かを伝えてあげましょう。 薬剤師は家族としても一番つらい時期に、家族の絆を深めることに貢献できるのです。

まとめ〜薬剤師の「がん患者さま」との正しい接し方

1. 観察し感情を受け止め気持ちに寄り添った接し方をしましょう
観察し感情を受け止め、気持ちに寄り添った接し方をしましょう。 薬剤師は患者さまに十分に感情移入して接する事で力になる事ができます。 単に知識だけではなく、人と人とのコミュニケーションの上でも薬剤師が果たせることは少なくありません。
2.患者さまの気持ちを理解する
患者さまの気持ちを全て理解する事は不可能なことかもしれません。 しかし薬剤師は患者さまの様々な苦痛を和らげる事に貢献できます。 まずは、患者さまの話をしっかりと聞いてあげることです。
3.コミュニケーションの取り方
患者さまへの接し方は決して高度なコミュニケーションスキルが必要なわけではありません。 心がけることはよく話を聞き、観察し、相手の感情を受け止めるように努めることです。
4.どのように患者さまをケアするか
患者さまのケアはもちろん、忘れてはいけないのはそのご家族のケアです。 ご家族のケアをすることで、患者さま本人のケアにも大きな貢献ができるでしょう。 薬剤師は家族の絆を強めるお手伝いもできるのです。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2016/06/20

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