- 公開日:2016.08.19
薬剤師の重要な仕事「服薬指導」とは?
インフォームドコンセントの実践において、服薬指導が重要です。どうして薬剤師による服薬指導が必要なのか・どんなことに気をつければいいのか考えてみましょう。
お薬を渡すときに行うコミュニケーションの総称
服薬指導とは、患者さまにお薬を渡すときに薬剤師が行う、薬についての説明やアドバイスなどを総称した呼び名です。 お薬の効能や飲み方はもちろん、副作用のリスクや注意点も伝えていきます。
患者さまが安心してお薬を飲めるように必要な情報を網羅する必要があり、薬剤師と患者さまの間のコミュニケーションの基本です。 体調が優れないときはどんな人でも不安になるものなので、ちょっとした心の変化も汲み取って丁寧に対応する必要があります。
一方的に話を進めるだけでなく、薬の効果や体調などの面で気になっている事を聞き出すのも服薬指導の一環です。 お薬に関する知識だけでは対応できない部分も多く、経験を積みながらコミュニケーションの取り方を習得していく必要があります。
お薬が変わらない場合も服薬指導が必要
調剤薬局勤務の薬剤師だと、ずっと同じお薬が続いているから細かい服薬指導は不要ではないかと思うこともあるかもしれません。 効能・副作用などの説明は済ませていて、新規に提供する情報に乏しいためです。 儀礼的に同じ話だけを繰り返すと、その話は何度も聞いたからもういい、と言われてしまうこともあるでしょう。
そんなときには、お薬の効果や症状の変化について、患者さまの状態や感じていることをいつもより深く聞いてみましょう。 患者さまの状態の変化に敏感になると、ケアをより円滑に進めるヒントが見つかるものです。
薬のために服薬指導をするわけではなく、治療のサポートをするために服薬指導をしていると考えるといいでしょう。 治療がうまくいっているかどうかを確かめるだけでも、立派な服薬指導と言えます。
重要なのは、患者さまに寄り添う気持ちです。 薬中心の指導から患者さま中心の対話へと、意識を変えていきましょう。
服薬指導がうまくできない時の対処法
患者さまとの会話が苦手で服薬指導がうまくできない場合の対処法を考えてみます。
患者さまの立場になったと仮定して、無愛想な薬剤師が出てきたらどうでしょう。 聞きたいことが聞けず、恐縮してしまいます。 話し上手・下手に限らず、まずは明るくハキハキと受け答えすることからスタートしましょう。
説明するときは専門用語をなるべく使わず、具体的かつ一般的な表現を意識します。 患者さまが本当にわかってくれているか確かめながら、ゆっくりと要点を伝えましょう。
長く話すほど良い服薬指導というわけではなく、様子を見ながら早めに切り上げるのも気配りです。 説明事項がたくさんある時には「○○分くらいかかります」などと伝えるのもいいでしょう。
最適な服薬指導の形は患者さま一人ひとり異なるため、画一的な知識として学習できるものではありません。 実際に現場に立って相手の反応を見つつ、どんなあり方が良いのか考えてみましょう。
正しい情報が伴ってはじめて「薬」である
患者さまの中には、医師の前に行くとかしこまってしまって、上手にお話できない方もいます。
身体に発疹が出た・飲むとお腹がはって苦しくなる・喉がイガイガする・苦くて飲みにくいなど、気になることがあるのに質問できないケースです。 重篤な副作用の場合、取り返しがつかない事態も想定されます。
そこで必要になるのが、薬剤師による服薬指導と考えられます。 医師には言えなかった懸念点を薬剤師に伝え、副作用や飲み合わせの不安を解消します。 薬剤師が適宜質問をすることで、患者さまが話しやすい雰囲気を作りましょう。
お薬は、医師や薬剤師の説明が伴ってはじめて価値があります。 正しい情報との組み合わせではじめて「薬」として役割を果たすとも言えるでしょう。
服薬指導は、患者さまがお薬と安心して付きあうために不可欠です。 薬剤師自身が重要性を再認識し、適切なコミュニケーションに挑戦しましょう。
まとめ〜薬剤師の重要な仕事「服薬指導」とは?
- 1.お薬を渡すときに行うコミュニケーションの総称
- 服薬指導とは、患者さまにお薬を渡すときに薬剤師が行う説明などの総称です。 患者さまが安心してお薬を飲めるように必要な情報を網羅する必要があり、薬剤師と患者さまの間のコミュニケーションの基本といえます。 お薬に関する知識だけでは対応できない部分も多く、経験を積みながらコミュニケーションの取り方を習得していきましょう。
- 2.お薬が変わらない場合も服薬指導が必要
- 薬ありきの指導から患者さま中心の対話へと考えを変えると、服薬指導への取り組みが変わります。 患者さまに寄り添う気持ちを持ち、コミュニケーションのあり方を考えてみましょう。
- 3.服薬指導がうまくできない時の対処法
- 服薬指導のコツは、まずは明るくハキハキと話すことです。 説明するときは、専門用語をなるべく使わず、具体的・一般的な表現を意識します。 現場に立って相手の反応を見つつ、どんなあり方が良いのか考えてみましょう。
- 4.正しい情報が伴ってはじめて「薬」である
- 薬剤師の服薬指導があるからこそ、薬が真価を発揮します。 患者さまの気持ちをふまえた適切な質問・分かりやすい説明・話しやすい雰囲気作りなどを通して、ケアを主体的にサポートしましょう。
ファルマラボ編集部
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