ロケルマ懸濁用散
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
効能・効果は「高カリウム(K)血症」です。効果発現が緩徐であるため、緊急の治療を要する高K血症には使用できません。 |
Q |
用法・用量は? |
A |
通常、成人には、開始用量として1回10gを水で懸濁して1日3回、2日間経口投与します。血清K値や患者の状態に応じて、最長3日間まで経口投与できますが、その場合、3日目の投与前に血清K値が治療目標値に達していないことを確認します。以後は、1回5gを水で懸濁して1日1回経口投与し、増量を行う場合は5gずつ、1週間以上の間隔を空けます。血液透析施行中の場合は、1回5gを水で懸濁し、非透析日に1日1回経口投与します。いずれも、最高用量は1日1回15gまでです。 |
Q |
作用機序は? |
A |
ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物は、均一な微細孔構造を有する非ポリマーの無機結晶で、K+イオンを選択的に捕捉してH+イオン及びNa+イオンと交換します。Kを捕捉して糞中に排泄させ、消化管内腔における遊離K濃度を低下させることにより、血清K濃度を低下させ高K血症の改善をもたらします。 |
Q |
注意すべき副作用は? |
A |
重大な副作用に低K血症、うっ血性心不全があります。低K血症により不整脈等が生じるおそれがあるので、投与中は定期的に血清K値を測定し、また、血清K値に影響を及ぼすレニン-アンジオテンシン系阻害剤、抗アルドステロン剤、利尿剤等の用量に変更が生じた場合、血清K値の変動に注意します。浮腫や便秘もあります。 |
Q |
注意すべき患者さまは? |
A |
妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳婦には、治療上の有益性を考慮します。小児等を対象とした臨床試験は行われていません。 |
Q |
相互作用は? |
A |
H+イオンを吸着して一時的に胃内pHを上昇させる可能性があるため、抗HIV薬(アタナザビル等)、アゾール系抗真菌剤、チロシンキナーゼ阻害剤は溶解性が低下し、吸収低下の可能性があります。併用する場合は本剤投与の2時間前後あける必要があります。また、臨床的に問題ないようですが、クロピドグレル、ダビガトランは併用によるAUCの低下が、アトルバスタチン、フロセミド、ワルファリンはCmaxの増加が報告されています。 |
他のカリウム吸着剤との違いは?
表:カリウム吸着薬比較
有機ポリマー樹脂であるポリスチレンスルホン酸ナトリウム/カルシウムと異なり、本剤は水分による膨潤がないため便秘の副作用が少ないです。また、本剤はK選択性が高いため、アルミニウム、カルシウム、マグネシウムを含有する薬剤と併用しても影響はほとんどありません。いずれも体内に吸収されず、糞中排泄されます。
一般名(商品名) | 吸着イオン | 放出イオン |
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ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ケイキサレート) | Ca²⁺/Mg²⁺/K⁺ | Na⁺ |
ポリスチレンスルホン酸カルシウム(カリメート) | K⁺ | Ca²⁺ |
ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(ロケルマ) | K⁺ | H⁺/Na⁺ |
Q |
使用上の注意点は? |
A |
分包内の薬剤を容器に空け、約45mLの水に懸濁します。本剤は溶解しないため、十分に懸濁して沈殿する前に服用しますが、沈殿した場合は、再び懸濁し、全て服用する必要があります。 |
掲載日: 2022/07/21
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります
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