服薬指導に活かす医薬品情報

キャブピリン配合錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

適応症は狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)・心筋梗塞虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)、冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制です。ただし、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往がある患者に限ります。初回に既往歴を確認し、プロフィールにも記載しましょう。

潰瘍既往歴と低用量アスピリン投与
消化性潰瘍診療ガイドライン2020では、低用量アスピリンによる上部消化性潰瘍の再発抑制にはプロトンポンプ阻害薬(PPI)、ボノプラザンの投与が推奨されています。「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」で保険適用となっている薬剤は、ランソプラゾール(タケプロン)15mg、エソメプラゾール(ネキシウム)10mg・20mg、ラベプラゾール(パリエット)5mg・増量時10mg、ボノプラザン(タケキャブ)10mgです。本剤は、アスピリン100mg・ランソプラゾール15mgを含有するタケルダ配合錠に次ぐ、2番目の低用量アスピリン・PPI配合製剤です。

Q

用法・用量は?

A

通常、成人には1日1回1錠を経口投与します。

Q

作用機序は?

A

アスピリンは、低用量で血小板シクロオキシゲナ-ゼ-1(COX-1)活性を阻害することでトロンボキサンA2の生成を抑制し、血小板凝集能抑制作用を示します。 ボノプラザンは、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)と呼ばれるPPIで、酸による活性化を必要とせず、カリウムイオンに競合的な様式でプロトンポンプを阻害します。塩基性が強く酸性環境下でも安定なため、胃壁細胞に長時間残存して胃酸を抑制することで、消化管上部の粘膜損傷を強く抑えます。

Q

禁忌は?

A

本剤の成分又はサリチル酸系製剤に対し過敏症の既往歴のある患者、消化性潰瘍のある患者、出血傾向のある患者、アスピリン喘息又はその既往歴のある患者、出産予定日12週以内の妊婦には禁忌です。

Q

併用禁忌は?

A

ボノプラザンの胃酸分泌抑制作用により、アタザナビル硫酸塩(レイアタッツ)は溶解性が低下し血中濃度が低下する可能性があり、リルピビリン塩酸塩(エジュラント)は吸収が低下し血中濃度が低下する可能性があるためどちらも併用禁忌です。

Q

出血に注意

A

服用中は、脳出血等の初期症状(頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、片麻痺等)への注意喚起や、あざや出血、血痰、血尿など出血傾向がないか確認します。鼻を強くかまない、歯はやさしく磨く等生活上の注意点の指導も適宜行いましょう。 他病院受診、特に抜歯や手術の際はお薬手帳を提示し、アスピリン服用の旨を伝えてもらいます。最近では、抗血小板薬の中断により脳梗塞など血栓・塞栓症のリスクが高まることから服用を継続することが多いですが、その際も適切な止血処置を行う必要があります。処方医にも、抜歯や手術を行う際は事前に伝えてもらいます。

配合剤のメリットと注意点
複数の薬剤を服用している場合、配合剤にすることで錠数が減り、服薬アドヒアランスの向上につながります。しかし、成分を把握していないと重複や禁忌、相互作用等の恐れがあります。 また、単剤に後発医薬品が存在する場合は、配合剤への変更により薬価が高くなってしまう場合があります。

Q

使用上の注意は?

A

内核は腸溶錠のため、分割、簡易懸濁、粉砕等はできません。そのままかまずに服用するよう指導します。

掲載日: 2022/12/22
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります