服薬指導に活かす医薬品情報

アジマイシン点眼液1%

Q

何のお薬?処方目的は?

A

適応菌種は「アジスロマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、コリネバクテリウム属、インフルエンザ菌、アクネ菌」、適応症は結膜炎、眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎です。

唯一のマクロライド系抗菌点眼液
眼科領域における感染症の点眼治療では、患者背景、感染経路、臨床上の特徴的所見等から起因菌を推測し、抗菌スペクトルの広い抗菌点眼剤による治療が多く実施されます。近年、眼科領域においても起因菌の各種抗菌薬に対する耐性化が懸念されていますが、抗菌点眼剤は内服薬と比べて系統の選択肢が限られていました。アジスロマイシンは内服薬の成分としてはなじみがありますが、日本で唯一のマクロライド系抗菌点眼液として開発され、眼感染症に対する新たな抗菌点眼剤の選択肢の1つとなっています(エリスロマイシンを含む点眼液は2017年に販売中止、現在眼軟膏のみ)。

Q

用法・用量は?

A

結膜炎の場合、成人及び7歳以上の小児に、1回1滴、1日2回2日間、その後、1日1回5日間点眼します。眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎の場合、 成人に1回1滴、1日2回2日間、その後、1日1回12日間点眼します。処方箋に用法の記載があるか確認します。 既存の抗菌点眼薬に比べ、少ない点眼回数での治療が可能です。耐性菌の発現等を防ぐため、用法用量を守るよう指導します。指導箋を用いる等わかりやすく説明しましょう。

Q

作用機序は?

A

細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し、細菌のタンパク合成を阻害することにより抗菌作用を示します。

Q

注意すべき副作用は?

A

重大な副作用として、角膜障害、ショック、アナフィラキシーが起こることがあります。霧視、異物感、眼痛等や、紅斑、発疹、呼吸困難、血圧低下、眼瞼浮腫等の自覚症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し受診するよう指導します。主な副作用は、眼刺激、眼そう痒症(1~5%未満)です。

Q

保管は?

A

未開封時は2〜8℃に保存し、開栓後は高温、直射日光を避け室温で保存します。指示された点眼期間終了後、残った薬液は廃棄するよう指導しましょう。

Q

使用上の注意は?

A

結膜、角眼、眼瞼への移行性及び滞留性を高める為、添加剤としてポリカルボフィルが配合されたDDS製剤です。強い粘性を有する為、キャップをしたまま点眼容器を下に向け、数回振ってから薬液を振り落とし、キャップを開けます。適量を点眼できるよう、できるだけ容器を真下に向けて1滴点眼します。

点眼剤の基本的な指導ポイント
○点眼前に石鹼で手をきれいに洗う。
○薬液が汚染されないよう、点眼容器の先端が直接目やまつ毛に触れないように。
○点眼後1~5分はまぶたを閉じるか、涙嚢部(目頭のやや鼻より)を指先で軽く押さえる。
○2種類以上の点眼剤を使用する場合は、5分以上間隔をあける。
○使用中は点眼剤に異常(変色、異物、濁り)がないか確認する。
○保管方法(室温、冷所、遮光等)に注意する。
○開封後1か月を超えた場合は使用しない。

掲載日: 2023/01/05
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