ツムラ牛車腎気丸エキス顆粒(医療用)
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
虚証の方の頻尿、尿失禁などの排尿障害、糖尿病神経障害によるしびれ、下肢痛、脊柱管狭窄症などに用いられます。最近では、がん化学療法に伴う末梢神経障害(顔面の紅斑や冷感、手足末端の冷感・熱感・痺れ感)の改善のため用いられることもあります。整形外科や泌尿器科、眼科など幅広い診療科から処方される可能性がありますので、具体的にどのような症状が現れているか、合併している症状なども含め情報収集しましょう。 |
Q |
作用機序は? |
A |
脊髄内κオピオイド受容体刺激及び痛覚感知部位における一酸化窒素(NO)産生促進の二つの機序により鎮痛作用を示し、NO産生促進により末梢性の血流増加作用や皮膚温上昇を示すと考えられます。また、κオピオイド受容体を活性化することで、膀胱反射に関わる伝達刺激が抑制され、頻尿に効果を発揮すると考えられています。 |
Q |
注意する食物アレルギーは? |
A |
牛車腎気丸に含まれる「サンヤク」は普段私たちがよく口にする「山芋」です。山芋アレルギーの方が服用してアレルギー症状が現れたという報告は今のところありませんが、念のため確認しましょう。 |
Q |
類似した方剤とその使い分けは? |
A |
類似方剤に、八味地黄丸や六味丸があります。牛車腎気丸は八味地黄丸を基本処方として、牛膝(ゴシツ)と車前子(シャゼンシ)が加わったことから命名されました。八味地黄丸も脊柱管狭窄症に用いられることがありますが、しびれや浮腫が強い場合や頻尿など泌尿器系の病態を合併している場合は牛車腎気丸の方が適しています。六味丸はケイヒとブシを含まず、冷えがなく暑がり体質であれば適しています。ただし、効能・効果は「排尿困難、頻尿、むくみ、かゆみ」のみで、腰痛や下肢痛、かすみ目の効能・効果はありません。 |
Q |
適した飲み方は? |
A |
ケイヒ、ブシなど体を温める生薬が含まれますので、温めて服用した方が吸収がよいとも言われています。味はわずかな甘味と酸味があり、これは主にジオウによる甘味とブシによる辛み、サンシュユによる酸味からきています。 |
Q |
注意が必要な人は? |
A |
著しく胃腸の虚弱な患者さまに投与するとジオウの影響で食欲不振や悪心・嘔吐、腹痛などが現れる恐れがあります。また、ブシが含まれるため、体力の充実した方が服用すると副作用が現れやすく、特に暑がりでのぼせが強く、赤ら顔の患者さまへの投与で、心悸亢進などの症状が現れやすいため注意が必要です。また、ブシの主成分はアルカロイドであり、胃内pH上昇により吸収率が高まります。併用薬(PPI・H2ブロッカーなど)の確認もきちんと行い、実際併用されている方や胃酸分泌低下している方(特に高齢者)には、吐き気や心悸亢進、のぼせなどブシによる中毒症状への注意喚起を行いましょう。 |
Q |
注意する併用薬は? |
A |
他の漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意しなければなりません。ブシを含む製剤との併用には特に注意します。1日の上限量は決められていませんが、前述のような中毒症状が現れていないか確認しましょう。 |
Q |
注意すべき重大な副作用は? |
A |
重大な副作用として、間質性肺炎と肝機能障害が報告されています。発熱、咳嗽、呼吸困難、黄疸などの症状がみられる場合は、すぐに医療機関を受診するよう指導します。 |
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