小児の夜尿症(おねしょ)に適応外処方として使用されることがある薬はどれでしょうか?

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小児の夜尿症(おねしょ)に適応外処方として使用されることがある薬はどれでしょうか?

    べオーバは、小児の夜尿症に適応外ですが処方されることがあります。選択的β3受容体作動薬は、膀胱の蓄尿機能を改善させて、夜間の蓄尿量を増大させることで夜尿症にも効果があると考えられています。小児に対するベオーバの安全性は確立していませんが、米国ではミラベグロン(ベタニス)が小児の夜尿症に適応があります。ただし、日本ではラットにおいて生殖毒性が認められたため、小児への使用は推奨されていません。

    夜尿症(夜尿のみ)の治療では、第一選択治療としてデスモプレシンとアラーム療法が推奨されています。アラーム療法とは、水分を感知してブザー等で知らせる装置をつけて寝ることで、アラームを鳴らしたくないという意識を促すトレーニング療法です。

    これらで効果不十分や副作用等の問題が起こった場合、他剤への変更や併用療法が検討されます。第二選択として、適応外で抗コリン薬(ソリフェナシンなど)が処方されています。

    ただし、単独治療での効果はあまり期待できないため、デスモプレシンとの併用療法が推奨されています。第三選択として、三環系抗うつ薬(アミトリプチリン塩酸塩など)の使用が考慮されます。また、べオーバや漢方薬(小建中湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、抑肝散など)が使われることもあります。

    処方監査・服薬指導のPOINT

    夜尿症の治療では、薬物治療やアラーム療法だけでなく、就寝前の排尿習慣や夜の飲水制限など、生活習慣の改善に取り組んでいるケースも多く見られます。

    夕方以降に、カフェインが含まれる飲料、塩分が多く含まれるお菓子、牛乳・乳製品を飲食すると夜間頻尿に繋がる恐れがあります。牛乳は抗利尿ホルモンの分泌を抑制する恐れが指摘されているので注意が必要です。

    ただし、これらを一律に禁止するのではなく、医師からの指導内容を確認しつつ、家族の生活スタイルに応じて柔軟な指導をしていくことが大切です。

    濱本 幸広(はまもと・ゆきひろ)さん
    京都薬科大学卒、薬剤師。
    調剤併設ドラッグストア、調剤薬局、派遣薬剤師など、数多くの経験をしながら処方鑑査の腕を磨く。
    2022年10月、4分類法を活用した処方鑑査の指南書『達人の処方鑑査術』を出版、好評発売中。
    ▼運営サイト
    https://kusuri-shidousen.com
    掲載日: 2024/09/18
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります

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