- 公開日:2024.11.14
スキル不足で、薬剤師の仕事に自信が持てない...。努力不足? 環境のせい?【転職コンサルタントと考える!】vol.2
薬剤師として働く中で、「スキル不足で、仕事に自信が持てない...」と不安を感じていませんか?先輩から指摘を受けた、同僚と比べてしまったなど、様々な場面でスキル不足を感じることがあるかもしれません。
今回は、スキル不足の悩みの原因やその解決策について、転職コンサルタント3名と一緒に考えていきます。
薬剤師がスキル不足を感じる場面は?
- 薬剤師
- 毎日働く中でスキルが不足していると感じ、自信を持って働けません...。
- コンサルタント Kさん
そのような悩みを抱えた方は多くいます。まずはどのような場面でスキル不足を感じているか、振り返ってみましょう。
スキル不足を感じる場面の例
患者さまや先輩から指摘を受けた
- 処方箋の処理に時間がかかり、患者さまを待たせてしまい苦情に発展した
- 調剤ミスを先輩から指摘された
同世代の薬剤師との差を感じた
- 同僚がそつなくこなしている仕事に時間がかかってしまう
- 他の職場に勤めている友人の仕事内容や年収との差を感じた
経験のない業務の対応が必要となった
- 他店舗にヘルプ入った際、処方箋の応需科目が普段と異なり、スムーズな対応ができなかった
- 配属先の変更により、在宅業務やかかりつけ薬剤師の業務など、経験のない業務の対応が必要となった
長期間の休業後に職場に戻った
- 産休・育休中に医薬品の知識を忘れていないか、新薬の服薬指導が適切にできるか不安がある
調剤報酬改定の方針に、職場の方針が沿っていないと感じた
- 在宅医療に関する報酬体系が変更されている中、現在の職場では在宅業務を行っていないため今後に不安がある
- 薬剤師
- 振り返ってみると、複数の場面でスキル不足を感じていたことがわかりました。
スキル不足の原因は?自身の努力不足?環境のせい?
- コンサルタント Iさん
次にスキル不足を感じる原因を一緒に考えていきましょう。
- 薬剤師
- 努力不足だからでしょうか...?
- コンサルタント Kさん
勉強の方法がわからない、学びの機会(勉強会や研修、学会、委員会の参加など)がなかなかないために、適切な勉強が十分にできていないのは原因の一つとして考えられます。
- 薬剤師
- 心当たりがあります。ただ、毎日忙しくて、勉強の時間を確保するのが難しく、努力だけでは限界があるようにも思います。
- コンサルタント Oさん
そうですね。努力不足だけではなく、以下のように今の環境が原因となっていることもあります。
環境が原因となっている例
- 残業が多く、帰宅後に勉強の時間がとれない
- 職場が忙しいため、先輩や上司に質問しづらい
- 処方箋の枚数や応需科目が少なく、業務を通じて学べる機会が少ない
- 在宅業務やかかりつけ薬剤師の業務を行っていないなど、会社や配属先の方針により経験が積めない
- 人員不足で目の前の業務以外に挑戦する余裕がない
- 薬剤師
- 環境による原因もありそうです。どのように解決すればよいでしょうか?
スキル不足を解消して、自信を持つためには?
- コンサルタント Kさん
スキル不足の原因が自身か環境のどちらにあるのか、分けて解決策を考えてみましょう。
自身の努力不足に心当たりがある場合
- コンサルタント Iさん
毎日少しでも勉強時間を確保する、スキルアップの機会がある場に参加するなど、できることから実践していきます。
- 薬剤師
- 勉強してもなかなか身につきません...。
- コンサルタント Oさん
資格取得を目指すなど目標を立てる、勉強法を見直すのもおすすめです。
環境に原因がある場合
- コンサルタント Kさん
環境に原因がある場合は、異動や転職も視野に入れて解決策を考えてみるのがおすすめです。
- 薬剤師
- 振り返ってみると、忙しい職場なので上司や先輩に質問しづらいです...。
- コンサルタント Iさん
1人が対応する処方箋の枚数が少ない職場への異動や転職を考えてみるのはどうでしょうか。余裕がある環境であれば、周りからスキルを学ぶ機会が作りやすいと思います。
- 薬剤師
- 残業が多く、勉強の時間がとれなかったり、やる気が起こらなかったりする場合はどうでしょうか。
- コンサルタント Oさん
残業が少ない職場への異動や転職を考えるのも一案ですが、研修制度や資格取得支援がある職場を探してみるのもおすすめです。
教材がそろっていたり、周りに資格を持っている先輩や一緒に学んでいる同僚がいたりするため、モチベーションを保ちながら効率的に学ぶことができます。
薬剤師
- 業務を通じて学べる機会が少ない場合や、新しい経験が積めない場合はどうしたらいいですか?
- コンサルタント Kさん
今とは異なる環境で働いてみるとスキルアップしやすいかもしれません。
例えば、複数店舗を展開している大手の調剤薬局では、様々な店舗で経験を積むことができ、研修制度も充実している傾向にあります。
地域密着型の中小規模の調剤薬局では、健康サポートイベントや相談会の開催などにより、患者さまとより密接に関われる機会が多い可能性があります。
- 薬剤師
- 服薬指導のスキルを身につけたくても、製薬企業に勤めているなど、現状の環境で学ぶのが難しい場合はどうですか?
- コンサルタント Iさん
平日は企業で働きながら、終業後や土日に調剤薬局で勤務するWワークを行う方もいます。
Wワークで勤務できる調剤薬局は希少ですが、条件が合えば現在の仕事を続けながら、臨床現場での経験を積むことができます。
転職したらスキルアップできる?
- 薬剤師
- 転職したら必ずスキルアップできるのでしょうか?
- コンサルタント Iさん
スキルアップできるかは転職先の選び方が重要になりますね。
なりたい薬剤師像と、転職先が求める薬剤師像との間でギャップがあると、スキルアップしづらいかもしれません。また、配属先が未定であるなど、スキルを磨ける環境で働けるか不確定の場合は、スキルアップできるか予想しづらいため、転職先の状況を把握することが重要です。
- コンサルタント Kさん
なお、転職活動自体がスキルアップにつながることもあります。
結果的に今の職場に残ることになっても、転職活動で自身や現在の職場を振り返ることで、良い点や改善点を再発見する機会になるでしょう。
他の職場の情報や薬剤師の転職市場、調剤報酬などの新しい情報を得るタイミングもあると思います。
- コンサルタント Oさん
転職でのスキルアップを目指す場合には、どのようなスキルを身につけたいか、現在の職場でそれが叶わない原因を把握した上で、転職先を探すのがおすすめです。
転職コンサルタントに相談いただければ、原因や転職先を一緒に考えることもできます。
スキルアップが目的の転職例
- 薬剤師
- 実際にはどのように転職先を見つけていますか?
- コンサルタント Kさん
様々な方がいますので、一人ひとりに合わせて転職先を考えています。以下はスキル不足の悩みで、転職コンサルタントに相談いただいた例です。
調剤薬局勤務の薬剤師Aさん(20代)
●悩み
在宅業務の経験が積めない
●原因
新卒で在宅業務に注力している調剤薬局に入社したが、在宅業務を行っていない店舗に配属された。在宅業務に注力している店舗は自宅から遠く、異動も難しい
●解決策
グループ施設の処方箋を応需している施設在宅専門薬局に転職
病院勤務の薬剤師Bさん(30代)
●悩み
緩和医療や在宅医療に興味があり、緩和薬物療法認定薬剤師の資格を取りたいが、まだ取れていない
●原因
DI業務の部署にいるため病棟業務がほとんどなく、部署異動も叶わない。資格取得希望者も多く、すぐの取得は難しい
●解決策
資格取得支援や、勉強会が豊富にあり、スキルアップできる機会がある病院に転職
- 薬剤師
- 悩みと原因によって、解決策が全然違いますね。一緒に考えてくれるのはありがたいです。
- コンサルタント Oさん
「病院勤務の経験がある薬剤師が多い調剤薬局」など、会社の特徴や風土などは、求人から読み取れないことがあります。
転職コンサルタントに自分の希望の働き方を伝えて相談することで、効率的に情報を得ることもできると思います。
- コンサルタント Iさん
毎日忙しい中で転職を考えるのは大変だと思いますので、できる限りご相談内容に合った解決策を提示できるよう心がけています。ぜひお気軽にご相談ください。
監修者:町田 あやか
2012年よりメディカルリソースに勤務。
薬剤師や登録販売者の転職サポートに従事。現在は転職に限らず、ファルマラボ編集部にも所属し、学びという切り口で『薬剤師の方が前向きに働く』為の無料サービスの企画・運営を担当。
2016年にキャリアコンサルタント(国家資格)、2018年に登録販売者を取得。
薬剤師業界の発展と薬剤師の方一人ひとりのエンプロイアビリティの向上に役立つような情報発信を目指しています。