メルカゾール錠
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
甲状腺のペルオキシダーゼを阻害し、ヨウ素のサイログロブリンへの結合を阻止し、ヨードサイロシンのトリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4)への縮合を阻害することによって甲状腺ホルモンの生成をおさえます。適応症は「甲状腺機能亢進症」です。代表的な病気であるバセドウ病は甲状腺を異常に刺激する抗体が体内に作られ、この抗体が甲状腺を刺激することで過剰に甲状腺ホルモンを作る自己免疫疾患の1つです。症状は甲状腺腫、眼球突出(2~3割)、全身の新陳代謝が活発になることによる症状(動悸、息切れ、手足や体のふるえ、暑がり、発汗、疲れやすい、微熱、体重減少、イライラ感、集中力低下、不眠等)です。短期間での治療を希望する場合や薬物治療で症状が軽快しない場合、甲状腺の腫れが大きい場合、副作用で服用できない場合等はアイソトープ(放射線ヨウ素)治療や手術を考えます。 |
Q |
注意すべき事項は? |
A |
重篤な無顆粒球症が投与開始から2ヶ月以内に発現しやすく、死亡例も報告されているため安全性情報が出ています。投与に先立ち、患者さまに下記内容を指導する必要があります(添付文書の警告にも記載あり)。 1. 無顆粒球症の症状(咽頭痛、発熱等)があらわれた場合には、速やかに主治医に連絡 2. 少なくとも投与開始後2ヶ月間は、原則2週に1回、定期的な血液検査を行う必要があるので、受診日を守り通院すること。 |
Q |
用法・用量は? |
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A |
初期量を成人、妊婦は1日3~4回、小児は1日2~4回投与し、機能亢進症状がほぼ消失したら1~4週ごとに漸減し、維持量を1日1~2回投与します(適宜増減)。妊婦は、正常妊娠時の甲状腺機能検査値を低下しないよう、2週間ごとに検査し、必要最低限量を投与します。 対象と初期量、維持量は以下の通りです。
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Q |
他剤の併用について |
A |
ホルモン値が正常になるまでの間、動悸等つらい症状を緩和するためにβ遮断薬(プロプラノロール、アテノロール等)を併用することがあります。また、抗甲状腺剤により甲状腺機能低下となった場合はホルモン値調整のために甲状腺ホルモン剤(レボチロキシンナトリウム)を併用することがあります。 |
Q |
妊娠中、産後の服用について |
A |
甲状腺ホルモンが過剰な状態で妊娠すると、流産や早産の危険が高くなるため、正常値にしておくことが大切です。妊娠中の本剤服用により、出生児に頭皮欠損症・頭蓋骨欠損症、さい帯ヘルニア、さい腸管の遺残、後鼻孔閉鎖症等の先天異常が報告されているため妊娠中の治療はプロピルチオウラシル(チウラジールまたはプロパジール)又はヨウ化カリウム丸の服用が中心です。産後はバセドウ病が悪化して薬の調節が必要になることがあります。 |
掲載日: 2018/03/05
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります
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