ラスビック錠
- 何のお薬?処方目的は?
- 用法・用量・薬物動態は?
- 相互作用は?
- 注意すべき副作用は?
- 既存のニューキノロン系抗菌剤との違いは?
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
「咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎」に適応を持ちます。ニューキノロン系に分類される合成抗菌剤で、肺・耳鼻咽喉科組織への移行性が高く、これら領域に限って適応を取得しています。 |
Q |
用法・用量・薬物動態は? |
A |
通常、成人にはラスクフロキサシンとして1回75mgを1日1回経口投与します。空腹時投与に比べて食後のほうがCmaxは少し高くなりますが、AUCはほとんど差がなく、食事の前後に関わらず服用可能です。若齢動物実験で関節軟骨障害が認められたことから、小児には投与しないこととされています。また、妊婦や妊娠の可能性のある女性への投与も禁忌とされ、授乳も避けることが望ましいと設定されています。 主にCYP3A4で代謝されます。肝機能障害がある場合には血中濃度上昇の恐れがありますが、投与不可ではありません。腎機能が低下していても薬物動態に大きな影響がなく、減量せずに投与が可能です。 |
Q |
相互作用は? |
A |
アルミニウム、マグネシウム、カルシウムなどの各種ミネラルとはキレートを形成し、効果が減弱する恐れがあるのでこれらを含む医薬品・食品との相互作用に注意が必要です。 |
Q |
注意すべき副作用は? |
A |
他のニューキノロン系抗菌剤同様に、下痢や好酸球の増加が報告されています。痙攣などの中枢神経障害や、QT延長などの循環器症状に関しては、頻度はまれですが注意が必要です。本剤に特徴的な副作用というものはありません。 |
Q |
既存のニューキノロン系抗菌剤との違いは? |
A |
本剤は、薬剤耐性(AMR)問題への対応に鑑み、肺炎などの治療に優れた効果を持ちつつ、副作用ならびに耐性菌発現リスクを低減することを目的に開発されています。そのため少ない投与量でも感染組織における有効な薬剤濃度を維持し、高い治療効果を示すという特徴を有しています。また、適応が呼吸器感染症および耳鼻咽喉科領域感染症に限定されています。
作用機序はDNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣの阻害であり、既存のニューキノロン系抗菌剤と変わりないものの、両酵素を同程度阻害することから既存のニューキノロン系抗菌剤と比べて耐性菌を作りにくいことも期待されています。
薬剤耐性(AMR)問題について
ニューキノロン系抗菌剤はグラム陽性菌からグラム陰性菌、非定型病原体、結核菌など広い抗菌スペクトルを有し、様々な領域の感染症に対して汎用されていますが、それに伴いニューキノロン系抗菌剤耐性大腸菌の増加が懸念されています。
本邦は諸外国と比較して経口の第三世代セファロスポリン系抗菌剤、フルオロキノロン系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤の使用量が多いことが指摘されており、多くは外来診療で処方され、その一定数は不適正使用と推測されることから、2016年4月に薬剤耐性アクションプランが策定され、これらの抗菌剤については2020年までに対2013年比で50%の削減、全体として33%の削減を目標としています。(2019年時点では全体として10.9%の削減状況)
◆総評として、既存のニューキノロン系抗菌剤と比較して適応領域が限られるものの、腎機能に関係なく投与可能で、耐性菌が発生しにくいことが期待される薬剤です。
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掲載日: 2021/11/11
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります
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