服薬指導に活かす医薬品情報

ラツーダ錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

統合失調症、双極性障害におけるうつ症状』の治療に対して効果・効能を有します。

Q

用法・用量は?

A

統合失調症に対しては、通常、成人にはルラシドン塩酸塩として40mgを1日1回食後に経口投与します。年齢や症状によって適宜増減しますが、1日量は80mgを超えないこと、となっています。

双極性障害におけるうつ症状の改善に対しては、通常、成人にはルラシドン塩酸塩として20~60mgを1日1回食後に経口投与します。なお開始容量は20mg、増量幅は1日量として20mgとし、年齢や症状によって適宜増減しますが、1日量は80mgを超えないこと、となっています。

Q

作用部位・作用機序は?

A

ルラシドン塩酸塩はドパミンD2受容体に対してアンタゴニストとし作用します。この拮抗作用によって幻覚、妄想などの陽性症状を改善すると考えられています。また、ルラシドン塩酸塩はセロトニン受容体の5-HT2A、5-HT7受容体に対してもアンタゴニストとして、セロトニン5-HT1A受容体にはパーシャルアゴニストとして作用します。これらの作用によって感覚の鈍麻、意欲の減退などの陰性症状や認知機能の改善効果を示すと考えられています。

Q

禁忌・併用注意は?

A

昏睡状態の患者、中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者、CYP3A4を強く阻害または誘導する薬剤、アドレナリンを投与中の患者(アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)、過敏症の既往歴を有する患者には禁忌です。また、中枢神経抑制剤、レボドパ製剤やブロモクリプチンなどのドパミン作動薬、CYP3A4を阻害または誘導する薬剤、アルコール、グレープフルーツ含有食品は薬剤の効果に影響を及ぼす可能性があるため、併用に注意を要します。

Q

注意すべき副作用は?

A

重大な副作用として、悪性症候群、遅発性ジスキネジア、痙攣、高血糖、肺塞栓症、深部静脈血栓症、横紋筋融解症、無顆粒球症、白血球減少などがあります。

統合失調症における陽性症状と陰性症状
統合失調症は脳内のドパミンなどの働きに異常が生じ、幻覚や妄想などの陽性症状が出現するだけでなく、感覚の鈍麻や意欲の減退などの陰性症状や認知機能の低下が見られます。初期の抗精神病薬は陽性症状に対して効果がありました(定型抗精神病薬)が、時代の変遷とともにD2受容体のアンタゴニストとしてだけでなく、各種のセロトニン受容体に対してアンタゴニストやアゴニストとして作用する非定型抗精神病薬が開発され、錐体外路症状を抑制し、陰性症状の改善にも効果がみられるようになりました。

Q

基本的注意事項は?

A

血糖値が高くなる可能性があるので、糖尿病患者や糖尿病の危険因子を有する患者には注意が必要です。口渇・多飲・頻尿などの症状発現に注意し、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、場合によってはインスリン投与を行います。

肝機能・腎機能障害を有する患者には投与量の調整が必要です。中等度の肝機能・腎機能障害があると、ルラシドン塩酸塩の血中濃度は健康成人と比べそれぞれ1.8倍と1.9倍になります。

また、空腹時に服用するとルラシドン塩酸塩の吸収が低くなるので、食後の服用を指導します。

掲載日: 2022/10/18
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります