テリルジーエリプタ
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
テリルジー200は『気管支喘息』の治療にのみ、テリルジー100は『慢性閉塞性肺疾患(COPD)』と『気管支喘息』の治療に適応を有します。 |
Q |
用法・用量は? |
A |
『COPD』、『気管支喘息』どちらの治療でも、成人に対して1日1回1吸入投与です。なるべく決まった時間に使用することが望まれるので、ライフスタイルを考慮して投与時間を設定しましょう。過量投与でQT間隔延長が認められているため、1日1回を超えて吸入しないよう、指導が必要です。小児の使用適応はありません。 |
Q |
どのような患者への使用を想定しているか? |
A |
LAMAの使用に関しては、『気管支喘息患者』では低~中用量のICSによる維持療法を受けているコントロール不十分な成人の喘息患者(ステップ2)や、中~高用量のICS及び複数薬剤による維持療法を受けている成人喘息患者(ステップ3及びステップ4)への追加治療の選択肢として挙げられています。また、『COPD患者』には『LAMA+LABAでも増悪を繰り返す患者』あるいは『ICS/LABAでの治療でも強い症状が認められる患者』にはICS+LAMA+LABAの3剤併用療法を行う必要があると考えられます。週1回以上咳や息苦しさで目覚める未治療患者や、治療ステップ2でコントロール不良の患者を想定しています。 |
Q |
禁忌は? |
A |
有効な抗菌剤が存在しない重篤な感染症(VRE:バンコマイシン耐性腸球菌やMDRP:多剤耐性緑膿菌)の患者、閉塞性隅角緑内障の患者、前立腺肥大などによる排尿障害がある患者、過敏症の既往歴がある患者には禁忌です。
テリルジーの作用機序と3剤合剤のメリット
ICSのフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)はグルココルチコイド受容体に結合して「好酸球性気道炎症」を抑制します。LABAのビランテロールトリフェニル酢酸塩(VI)はβ2受容体への選択性が高く、結合すると長時間気管支を拡張する作用を有します。また、LAMAのウメクリジニウム臭化物(UMEC)もM3受容体への選択性が高く、M3受容体に結合して気管支平滑筋の収縮を抑制します。さらにM3受容体は気道の分泌にも関与しているため、UMEC は痰などの気道分泌を抑えます。
in vitro レベルの話ですが、ICSとLABAの併用はグルココルチコイド受容体の核内移行を促進させ、ICSとLAMAの併用は相互的に気管支収縮を抑制する可能性が示唆され、LABAと
LAMAの併用は相互的に気道を拡張させるという報告があります。
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Q |
併用注意は? |
A |
FFとVIは主にCYP3A4で代謝されるので、CYP3A4を強く阻害する薬剤であるリトナビルやエリスロマイシンとの併用はFFやVIの血中濃度の上昇を招きます。β遮断薬を併用すると、β受容体においてVIと競合し、VIの作用が減弱します。また、三環系抗うつ薬や抗不整脈薬との併用はQT間隔の延長を招く可能性があり、注意が必要です。 |
Q |
注意すべき副作用は? |
A |
重大な副作用としてアナフィラキシー、肺炎、心房細動が設定されています。皮膚のかゆみ、蕁麻疹、紅斑、喉のかゆみ、息苦しさが出現した場合はすぐに救急車を呼ぶよう指導が必要です。その他の副作用には口腔咽頭カンジタ症が1%以上の確率で報告されています。吸入後には毎回うがいや口腔内をすすぐようにと指導しましょう。 |
Q |
使用上の注意は? |
A |
吸入を忘れた場合、気づいた時点で1回分吸入をしてもらい、その後は通常の時間帯に吸入してもらいます。1日2回吸入にならないよう指導しましょう。また、発作時や息苦しい時に使用しても、すぐに症状が改善しない吸入薬であることを事前にお伝えすることが重要です。 |
掲載日: 2022/11/10
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります
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