- 公開日:2019.07.19
服薬指導と薬歴管理に活きる!<患者さまの情報収集のコツ>
医薬分業が進むにつれて、薬剤師の役割の中でも対人業務が重要と考えられるようになりました。対人業務で大切なのは、医薬品の有効性と安全性を確保し、良質な服薬指導や薬歴管理を行うこと。そのためには、患者さまからの情報収集か欠かせないものとなっています。
そこで、この記事では【情報を引き出すコツ/情報収集で意識すべきポイント】などを詳しく解説していきます。「患者さまによってコミュニケーションを変えられない」「用法・用量の説明や副作用の確認だけで手一杯」などの悩みを抱えた薬剤師さん、必見です。
服薬指導における情報収集の重要性
より良い薬物治療を提供するには、"良質な服薬指導"が大切です。様々な情報を総合的に判断し、患者さま一人ひとりのニーズに適した服薬指導を行う必要があります。
しかし、処方箋から得られる情報や検査値データだけでは、患者さまが抱えている問題や疑問を拾い上げることは難しいでしょう。
たとえば、同じ病気の患者さまでも、年齢・職業・生活習慣・家庭環境の違いにより、問題が生じるポイントが異なる場合が。だからこそ、患者さまの状態を多角的に判断し、一人ひとりに適した服薬指導を行う必要があるのです。
そこで重要なのが、薬剤師が丁寧に情報収集すること。患者さまの治療継続に向けた意欲を高めますし、コンプライアンスの低下を防ぐことにも繋がります。これからの薬剤師には欠かせないスキルと言えるでしょう。
薬歴管理における情報収集の重要性
情報収集は、服薬指導だけでなく薬歴管理においても重要です。
薬物治療を成功させるには、薬をきちんと飲むこと(=服薬指導)、薬がよく効くこと(=有効性管理)、薬の害を防止すること(=安全性管理)の3つの視点で情報を管理しなければなりません。また、薬歴による情報の一元管理が求められていることからも、薬剤師による情報収集は欠かせないものであると分かるでしょう。
1枚の処方箋から判断するより、情報収集を行った上で判断する方が、患者さまの現状を具体的に理解できます。そうすれば、処方意図も的確に把握でき、一人ひとりに合わせた服薬指導ができるようになるでしょう。つまり、情報収集を行えば薬歴は充実し、良質な服薬指導や有益な薬物治療の提供につながるのです。
また、薬歴は医療の記録であり、医療行為に基づく報酬算定の証拠にもなります。以上のことから、情報収集による充実した薬歴管理は、"薬剤師の使命"と言えるでしょう。
【情報収集のコツ】パターン別!情報収集の流れ
ここでは、患者さまが来局されるタイミング別の情報収集のコツをお伝えします。<パターン1>初回患者さまの場合、<パターン2>再来患者さまの場合を見ていきましょう。
<パターン1>初回患者さまの場合
▼症状や治療目的など受診理由を確認する
まずは、受診理由を確認しましょう。「治療目的は?」「患者さまが治したい症状は?」「何故この薬が処方されたのか?」などをお聞きします。薬歴に記載する場合、専門用語を用いる方法だけでなく、患者さまの言葉をそのまま記録する方法もおすすめです。
▼病気や処方薬など医師の説明を確認する
医師から病気や処方薬についてどのような説明を受けたのか確認しましょう。処方箋には治療方針も書かれていないため、患者さまに伺う必要があります。服薬指導の際、医師の説明と食い違うと混乱させてしまうため、お聞きした情報はしっかり薬歴に記載してください。
<パターン2>再来患者さまの場合
▼処方内容の変更理由を確認する
処方内容の変更には、かならず何かしらの理由があります。患者さまのニーズ、治療状況の変化など、その理由には服薬指導に必要な患者情報が含まれているのです。そのため、なぜ処方内容が変わったのか、しっかりと情報収集を行いましょう。
▼具体的な服薬状況を確認する
薬物治療では、薬を正確かつ確実に服用することが大切です。正しく服用できなければ、治療効果を判断できないだけでなく、重篤な副作用を引き起こしてしまうこともあります。具体的な服用状況を確認することで、コンプライアンスの把握に努めましょう。
▼病状や副作用の有無を確認する
症状の変化や副作用の有無について確認することも、薬剤師の重要な役割です。経過を確認した上で指導すれば、より安全かつ適正な薬物治療を提供することができます。処方内容に変わりがなくても、毎回欠かすことなく確認するようにしましょう。
【情報収集のコツ】質問&薬歴記載のポイント
上記、「【情報収集のコツ】パターン別!情報収集の流れ」では手順を解説しました。ここでは、実際に質問をする際&薬歴を記載する際に気を付けるべきポイントをお伝えします。
情報収集の際は具体的に質問する!
お話を伺う際、【具体的に質問すること】がポイントです。たとえば、症状の経過や副作用の有無を確認する場合、体調が良い/悪いという漠然とした確認だけでは不十分です。「口が渇くことはありますか?」「薬を飲んだ後に眠くなることはありますか?」など、患者さまが答えやすいように聞くことを心がけましょう。
薬歴を記載する際はより具体的に!
お聞きした情報を薬歴に記載する際、【より具体的であること】がポイントです。たとえば副作用の場合、症状のある/なしではなく、「口渇なし」「眠気なし」など具体的に書きましょう。"自分以外の第三者が見ても分かるように記載すること"を心掛けると良いでしょう。
日々意識した「情報収集」が大切
【情報を引き出すコツ/情報収集で意識すべきポイント】などを解説していきました。
情報収集は、服薬指導や薬歴管理など薬剤師にとって大切な業務に欠かせないものです。さらに、今後は対人業務の重要性が高まることが考えられるため、情報収集のスキルを磨くことは必要不可欠であると言えるでしょう。
薬剤師の中には、患者さまに適した服薬指導がなかなか出来ず、コミュニケーションに苦手意識を持っている方もいらっしゃいます。この記事を参考にして、上手に情報収集が行えるように、日々意識していきましょう。
ファルマラボ編集部
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