服薬指導に活かす医薬品情報

フィコンパ細粒

Q

何のお薬?処方目的は?

A

「てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」及び、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法」に用いられます。
2020年1月に適応拡大となり、部分発作を有する4歳以上の小児から投与が可能となりました。また、部分発作に対してのみ単剤療法が認められています。

Q

用法・用量は?

A

部分発作と強直間代発作で用量や患者に違いがあります。用法は1日1回就寝時服用のみで、用量は基本的に小児と成人で同じです。

部分発作に用いる場合
4歳以上の小児から投与可能ですが、4歳以上12歳未満の小児では漸増間隔が2週間以上である点に注意が必要です。
単剤療法 併用療法
カルバマゼピン・
フェニトインの併用
なし あり
開始用量 2mg/日 2mg/日
漸増間隔 2週間以 1週間以上(4歳以上 12歳未満の小児→2週間以上)
漸増用量 2mg/日 2mg/日
維持用量 4~8mg/日 4~8mg/日 8~12mg/日
最高用量 8mg/日 12mg/日

強直間代発作に用いる場合
単剤療法は不可です。また、12歳未満の小児への投与は適応がありませんので注意が必要です。
併用療法
カルバマゼピン・フェニトインの併用 なし あり
開始用量 2mg/日
漸増間隔 1週間以上
漸増用量 2mg/日
維持用量 8mg/日 8~12mg/日
最高用量 12mg/日

Q

作用機序は?

A

ペランパネルはシナプス後膜グルタミン酸受容体のひとつであるAMPA受容体を阻害します。 成分名の由来でもあります(Perampanel)。
AMPA受容体はグルタミン酸神経系を担う受容体の一つで、グルタミン酸が結合することによりNa+が細胞内に流入、脱分極を起こすことで興奮作用を示します。その働きを非競合的に阻害するのがAMPA受容体拮抗薬のペランパネルです。

Q

薬物動態の特徴は?

A

フィコンパはTmaxが短く(0.75~1.0時間)眠気が出やすいため就寝時服用とされています。眠剤を服用している患者さまであれば、傾眠に特に注意が必要です。
半減期は105時間と長く、定常状態に達するまで21日ほどかかります。
これらの特徴から、飲み忘れに気づいた際も日中服用はせず、次回の就寝時服用で問題はないとされています。

Q

注意すべき相作用は?

A

併用されやすい薬剤として注意が必要なのがカルバマゼピンフェニトインです。フィコンパはCYP3A4にて代謝される薬剤ですが、これらの薬剤はCYP3A4を誘導し、フィコンパの血中濃度を大きく下げることが知られています。
ただ、一般的には他の抗てんかん薬と比べて相互作用が少ないといわれており、使いやすい薬剤とされています。

抗てんかん薬の催奇形性について
バルプロ酸をはじめとして、抗てんかん薬は催奇性が気になるところかと思います。小児期から用いられることの多い抗てんかん薬は特に女性において注意が必要です。新世代の薬剤についてはデータが不十分であり、フィコンパにおいても実態は明らかになっていません。
てんかん診療ガイドライン2018では「妊娠が可能な女性には十分なカウンセリングを行 い、妊娠前からラモトリギンやレベチラセタムといった催奇形性リスクの少ない薬剤の単剤 投与を目指すこと」が推奨されています。

掲載日: 2023/01/26
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