服薬指導に活かす医薬品情報

ロナセンテープ

Q

何のお薬?処方目的は?

A

効能は「統合失調症」で、日本初の経皮吸収型抗精神病薬です。

1日1回、皮膚に貼付することにより24時間安定した血中濃度を維持できるため、良好な有効性および安全性が期待できます。テープ製剤の特長である貼付の有無や投与量を視認できるメリットに加え、食事の影響を受けにくいことから、食生活が不規則な患者さまや経口服薬が困難(嚥下困難など)な患者さまへも投与可能な製剤です。

Q

用法・用量は?

A

通常、成人にはブロナンセリンとして40mgを1日1回貼付しますが、患者の状態に応じて最大80mg/日まで増量が可能です。

胸部、腹部、背部のいずれかに貼付し、24時間ごとに貼り替えます。

Q

内服との切り替え方法は?

A

ブロナンセリン経口剤からテープ剤へ切り替える場合には、次の服用予定時刻に切り替えが可能です。テープ剤の用量は下記を参照し、患者の状態に合わせて設定します
 
ブロナンセリン内服最終投与量 本剤開始貼付量
8mg/日 40mg/日
12mg/日 60mg/日
16mg/日 80mg/日

成人における内服の最大投与量は24mg/日ですが、テープ剤は80mgまでなので注意しましょう。ブロナンセリンのテープ剤から経口剤へ切り替える場合には、経口剤の用法・用量に従い1回4mg、1日2回食後より開始し、徐々に増量します。

ブロナンセリン経口剤と本剤を同時期に投与することにより過量投与にならないよう注意します。

Q

併用禁忌は?

A

テープ剤ではありますが、内服と同様の併用禁忌が設定されている点に注意が必要です。

アドレナリン投与中の患者においては、アドレナリン反転のリスクがあることからアナフィラキシーの救急治療に使用される場合を除き、併用禁忌とされています。

また、アゾール系抗真菌剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、コビシスタットを含む製剤は、ブロナンセリンの主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、ブロナンセリンのクリアランスが減少、血中濃度が上昇して作用が増強するおそれがあるため併用禁忌とされています。

Q

使用方法について

A

・ハサミなどで切って使用しない

・傷や湿疹・皮膚炎などのある部位には貼らない。

・皮膚刺激を避けるため、貼付部位を毎回変える。

光線過敏症のリスクがあるため、貼付中及び貼付後1~2週間、貼付部位が直接日光に当たらないよう衣服で覆うなど対策する。

・水分や汗を取り、清潔にしてから貼付。


●入浴について

貼付したままの体温変化による血中濃度推移への影響はありません。ただし、外側は水分を弾く素材ですが、粘着部に水分が入り込むとはがれやすくなるため注意が必要です。

そのため、入浴前にはがし、入浴後清潔な状態で水分をふき取り、新しいテープを貼付するサイクルが望ましいとされています。


●はがれた場合の対応

ロナセンテープが皮膚から一部はがれた場合は、サージカルテープなどでロナセンテープのふちを押さえます。完全にはがれて貼り続けることが難しい場合は、新しい薬を貼付します。


●貼り忘れた場合の対応

2回分は一度に貼付しません。気づいた時に1回分を貼付し、次の貼りかえは、いつもの貼りかえ時間を目安に24時間以内に貼りかえます。


掲載日: 2023/02/09
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります