エドルミズ錠
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
適応症は「下記の悪性腫瘍におけるがん悪液質:非小細胞肺癌、胃癌、膵癌、大腸癌」です。 |
Q |
投与対象となる患者さまは? |
A |
以下の5 項目を満たすこととされています。 ・切除不能な進行・再発の上記癌のがん悪液質患者 ・栄養療法等で効果不十分ながん悪液質患者 ・6ヵ月以内に5%以上の体重減少と食欲不振有 ・消化管閉塞等、食事の経口摂取が困難又は食事の消化吸収不良の患者ではない ・以下の①~③のうち2つ以上を認める ①疲労又は倦怠感 ②全身の筋力低下 ③CRP値0.5mg/dL超、ヘモグロビン値12g/dL未満又はアルブミン値3.2g/dL未満のいずか1つ以上 本剤の製造販売元である小野薬品のホームページでは「投与前チェックカード」「体調チェックシート」「体調管理のための症状・体重日誌」等の資材が用意されていますので活用しましょう。 |
Q |
用法・用量は? |
A |
通常、成人には100mgを1日1回、空腹時に経口投与します。食事の摂取によりアナモレリンの血漿中曝露量は低下します。食事の影響を避けるため、空腹時に服用し、服用後1時間は食事をしないよう指導します。 がん悪液質(cancer cachexia)とは?
欧州緩和ケア研究共同研究会(EPCRC)では「従来の栄養サポートでは完全に回復することができず、進行性の機能障害に至る、骨格筋量の持続的な減少(脂肪量減少の有無にかかわらず)を特徴とする多因子性の症候群」と定義し、前悪液質、悪液質、不応性悪液質の3つのステージに分類しています。 食欲不振、体重減少、サルコペニア、早期膨満感、味覚や嗅覚の変化、うつや不安、悪心・嘔吐、疼痛、疲労などの症状を呈します。がん薬物療法への忍容性に影響するだけでなく、身体面、精神面への影響から問題が生じ、QOLを低下させます。がんの種類にもよりますが、進行がんでは発症頻度は高く、予後にも影響を与えるとされています。 |
Q |
作用機序は? |
A |
グレリン様作用を有し、グレリン受容体であるGHS-R1a(成長ホルモン放出促進因子受容体タイプ1a)を作動します。GHS-R1aは、脳下垂体ではGH(成長ホルモン)の分泌を促進し、視床下部では食欲を亢進させます。脳下垂体より分泌されたGHは、肝臓からIGF-1(インスリン様成長因子-1)を分泌させて筋蛋白の合成を促進します。これらにより筋肉量及び体重を増加させます。 |
Q |
重大な副作用と注意点は? |
A |
刺激伝導系抑制(10.7%)が報告されており、心血管イベントや心電図異常の発現が予想されます。特に投与初期(14日以内)の発現率が高いとされていますが、休薬や投与中止により管理可能とされています。血圧低下、脈拍の変化、動悸等副作用と思われる症状はないかを確認します。 肝機能障害(6.4%)が報告されているため、倦怠感や発熱等の有無を確認し、AST、ALT、ALP、γ-GTP、血中ビリルビン等の上昇等、検査値をフォローアップします。 高血糖や糖尿病の悪化(各4.3%)は、本剤の作用機序や食欲亢進に伴う摂食量の増加から発現が報告されているため、口渇や頻尿等の症状はないか聴き取ります。糖尿病患者は禁忌ではありませんが、血糖値のコントロール状況を確認します。 |
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