ワーファリン錠
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
服用開始の原疾患は患者さまにより様々ですので(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症等)、まずは既往歴を確認しましょう。確認できた場合には、プロフィールにも忘れず記載します。 |
Q |
飲み忘れはないか? |
A |
本剤に対する感受性は個体差が大きく、同一個人でも変化することがあるので、定期的に血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)を行い、投与量を調節することが必要です。飲み忘れが続くと血中濃度が不安定となり薬効発現にも悪影響が出ますので、医師の指示通りきちんと服用することが特に重要な薬剤です。 PT-INR (プロトロンビン時間国際標準比) PT(プロトロンビン時間)は出血傾向の予備検査として、また肝疾患の診断や抗凝固療法のコントロールに用いられます。血液の凝固しにくさを、各試薬間の差を補正して国際的に統一された基準で標準化した値がPT-INRで、正常を1.0と規定し、正常に比べ何倍凝固しにくくなっているかを表現します。 PT-INR=( 患者さまのPT 正常血漿のPT )ISI ※ISI=試薬に付けられている補正値 日本循環器学会のガイドラインではワーファリン投与におけるPT-INRの目標値は、70歳未満では2.0~3.0、70歳以上では1.6~2.6です。ただし高齢者では、1.5程度でも加齢により血管が弱くなっているため皮下出血がくり返してみられることがあります。70歳以上では、PT-INR2.2を超えると重篤な出血性合併症がみられ始め、2.6を超えると急激に増加します。また高齢者では夏季に食欲不振になりやすく、同一の量でも効果が増強することがあるため注意が必要です。 |
Q |
出血性の副作用は出ていないか? |
A |
重篤な副作用として「出血」に注意が必要です。早期発見のため、歯ぐき出血、鼻血、血痰、皮下出血の他、頭痛、めまい、しびれ、うまく話せないなどの初期症状がないか確認しましょう。日常生活での出血予防が大切ですが、過度に行動を制限して普段通りの生活を送れなくならないように注意が必要です。ひげは電気シェーバーで剃る、やわらかめの歯ブラシを使うなど指導します。 |
Q |
薬物性肝障害について |
A |
これも本剤で報告されている重篤副作用のひとつです。倦怠感、食欲不振、かゆみなどないか確認しましょう。 |
Q |
他科受診、併用薬の確認 |
A |
本剤は主にCYP2C9により代謝されます。他の薬剤との相互作用が多く知られており、併用薬の確認は必須です。薬剤ではビタミンK製剤が併用禁忌なのは有名ですが、カペシタビンとの併用で出血が発現し死亡に至ったとの報告があり、警告が出ています。併用禁忌ではありませんが、併用する場合は定期的に凝固能検査を行う必要がありますので、病院で血液検査をきちんと受けているか、確認するとよいでしょう。 |
Q |
飲食物との相互作用 |
A |
ビタミンKを多く含む納豆、クロレラ、青汁は禁止です。時間をずらしても摂取してはいけません。ただし納豆を禁止することで、味噌などの大豆食品や、オクラなどのネバネバした食品も禁止だと勘違いされることがありますので、誤った思い込みがないか確認することが重要です。緑黄色野菜や海藻類にもビタミンKは多く含まれますが、こちらは多量摂取を控えてもらい、栄養が偏らないようにします。セント・ジョーンズ・ワート含有食品は代謝酵素誘導により、本剤の作用を減弱することがあります。食品だけではなく、サプリメントの摂取についても確認しましょう。 |
Q |
飲酒の習慣は? |
A |
アルコールも併用注意です。慢性的な飲酒により代謝酵素が誘導されると本剤の作用が減弱し、逆に肝機能が低下すると本剤の作用が増強してしまいます。通常の量であれば問題ありませんが、血中にアルコールがあるとP-450が抑制され本剤の効果が増強されるため、飲酒後は7時間以上あける必要があります。晩酌をする場合は、服用を朝に設定してもらうとよいでしょう。 |
Q |
その他の注意 |
A |
胎盤を通過するため、妊婦には投与禁忌です。 |
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