クラリチン錠
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
適応症は「アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒」です。鼻炎症状での処方なのか、皮膚症状で痒みがあるのか、処方された他の薬剤や患者情報から判断し、患者さまに適した指導をします。もし花粉症などのアレルギー性疾患であれば、プロフィールにも記載します。長期にわたり投与される可能性がありますが、効果が認められないまま漫然と長期投与されないよう、効果の有無をきちんと確認しましょう。 |
Q |
患者さまの年齢をチェック! |
A |
錠剤は7歳以上のみ適応です。ドライシロップは3歳以上からとなりますので、患者さまの年齢をまず確認しましょう。投与量は、7歳以上は1回10mg、3歳以上7歳未満は1回5mg、どちらも1日1回です(持続性のH1受容体拮抗薬です) |
Q |
服用方法は?飲み忘れたら? |
A |
添付文書には「食後服用」とありますが、これは臨床試験がすべて食後投与で実施されたことが理由で、ロラタジンの活性代謝物DCLには食事の影響がないことがわかっています。1日1回服用ですが、もし飲み忘れたら食後でなくても気づいたときにすぐ服用してもらってください。ただしもちろん1度に2回分服用してはいけません。 |
Q |
レディタブ錠って? |
A |
口腔内で「速やかに崩壊する錠剤」で、rapidly disintegrating tablets の頭文字から命名されました。口腔内で1~2秒で崩壊するので水なしでも服用可能ですが、口腔粘膜からは吸収されないため唾液で飲み込む必要があります。寝たままで服用すると食道に付着して炎症を起こす可能性があるため、水なしでも体を起こした状態で服用します。凍結乾燥の錠剤で柔らかく、吸湿性が高いので、服用直前にブリスターシートから取り出します。爪を使わず指の腹で押し出すとよいですが、もし割れたり欠けたりしても効果には影響しないため、欠片を含めた全量を服用するよう指導します。 |
Q |
注意すべき副作用は? |
A |
H1受容体拮抗薬の代表的な副作用に「眠気」があり、本剤では成人で6.35%、小児で3.6%報告されています。しかし、国内ではパソコンでの数字入力作業について、海外ではサーキット上での自動車運転能力やパイロットの航空機操作能力について、それぞれプラセボと比較して影響がないことが確認されており、添付文書にも「運転を避ける」旨の注意の記載がありません。眠くなりにくいお薬だといえるでしょう。ただしまったく眠くならないわけではありませんので、誤解のないよう指導してください。 |
Q |
重篤な副作用は? |
A |
ショック、てんかん、肝機能障害・黄疸が報告されています。このうち「てんかん」ですが、国内の承認時までの臨床試験において20mg(通常の倍量)を投与した1例でてんかん発作が認められています。後にこの被験者にてんかん発作の既往があることが判明しましたが、本剤により発作が誘発された可能性が否定できなかったこと、国外で市販後に同様の報告があったことを考慮して添付文書に記載されています。てんかん発作の既往がないか確認し、プロフィールにその有無を記載しておくとよいでしょう。なお、国内での小児 の臨床試験では、てんかんの報告はありません。 アトピー性皮膚炎の痒みに対する全身療法 アトピー性皮膚炎の主な臨床症状は、皮膚の炎症・湿疹、皮膚の機能異常、そして痒みです。年齢によって症状や発症部位は大きく異なりますが、共通して最も苦しめられる症状は激しい痒みです。痒みは患者さまのQOLを低下させるだけでなく、掻破することで病変が悪化し、さらに痒みが増すという悪循環が起こります。そのため痒みへの対策は非常に重要です。 痒みに対する全身療法として本剤のような抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬が用いられることもありますが、アトピー性皮膚炎の薬物治療の主役はあくまで外用薬です。内服薬を投与する目的は、自覚症状としての痒みによる苦痛の軽減と掻破による悪化の防止であり、あくまでも外用療法の補助としての効果を期待するものです。日本人は特に、外用薬より内服薬を重視する傾向にあるようですが、内服薬は単独でアトピー性皮膚炎の炎症を抑制しうるものではありません。それぞれの薬剤の位置づけを正しく理解していただけるよう、服薬指導で情報提供していきましょう。 |
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