服薬指導に活かす医薬品情報

プルゼニド

Q

何のお薬?処方目的は?

A

排便コントロールの為に用いる下剤です。下剤は大きく機械性下剤、刺激性下剤、浣腸薬に分類されます。プルゼニドは刺激性下剤であり、なかでもアントラキノン系に分類され、大腸を直接刺激して腸の運動を亢進させ、水分吸収を抑制することで排便を促します。その代表的な生薬がセンナですが、センナの有効成分であるセンノシド製剤がプルゼニド、センナ葉とその実を成分としたのがアローゼンです。本剤は比較的効果が強力で、効果発現は約8~10 時間後のため、通常翌朝の効果を期待して寝る前に服用します。


Q

妊婦には使えない?

A

妊婦または妊娠している可能性のある人への投与は本剤の服用により子宮収縮が誘発され、流早産の危険性があるため「原則禁忌」です。やむを得ず服用する場合には大量服用は避け、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ用います。


Q

下剤のなかでどう使い分ける?

A

便秘治療には病歴が重要となるため、患者さまからの情報収集が重要です。また、便秘があっても苦痛がなければ下剤を服用する必要はありませんが、下剤を用いる場合もそれぞれの作用機序と禁忌を理解し、乱用は避けるべきです。

プルゼニドは弛緩性便秘や直腸性便秘に使用され、速やかで強力な効果が患者さまに好まれることも多い薬剤です。しかし、長期投与によって習慣性や電解質異常・脱水等が生じるため、長期連用は避けるべきです。慢性便秘に対しては、習慣性の生じにくい緩下剤が用いられますが、機械性下剤でも電解質の変動は多少みられるため、腎・心疾患等では注意が必要です。


表1. 下剤の主な分類とその特徴

分類 主な薬剤 特徴
塩類下剤(機械性下剤)

マグミット

マグラックス

慢性便秘に有用

心・腎不全患者では要注意

糖類下剤(機械性下剤)

ラクツロース

D-ソルビトール

副作用が少なく子どもの便秘にも使用可能
刺激性下剤

プルゼニド

ラキソベロン

弛緩性・直腸性便秘に用いる

連用により効果減弱、増量必要

浣腸薬 グリセリン浣腸液

弛緩性・直腸性便秘に有用

習慣性により効果減弱

流早産の可能性があるため妊婦への使用は要注意




新規作用機序の下剤「アミティーザ」発売

2012 年11 月に、新規作用機序を持つ慢性便秘症治療剤であるクロライドチャネルアクチベーターのアミティーザ(一般名:ルビプロストン) が発売されました。腸管上皮のClC-2 クロライドチャネルを活性化することで、腸管内への水分分泌を促進し便の水分含有量を増加させることにより、腸管内の輸送を高めて排便を促進する薬剤です。長期にわたり効果を維持し、長期服用が可能であることが確認されており、米国では慢性特発性便秘症及び便秘型過敏性腸症候群の治療への適応が承認されています。


Q

オピオイド投与時の排便コントロール

A

オピオイド投与中の患者さまにおける排便コントロールは投与開始時からの対策が重要です。オピオイド投与時は腸の蠕動運動が低下することが多く、高頻度で便秘が発生します。また、耐性形成がほとんど起こらないため、アドヒアランス低下防止のためにも便秘発現前からの予防的対応が重要です。そのため、下剤の継続服用が重要であり、本剤が用いられるケースも多くなります。


Q

排便コントロールはうまくいっているか?

A

下剤は服用回数や服用量を排便状況に応じて調節することが重要です。便の硬さなどに関して、ブリストルスケール(「教育情報部ポータルサイト→ビデオライブラリ→病気と薬剤→IBS」参照)等を用いて排便状況を確認し、排便をコントロールできているか把握しましょう。


掲載日: 2023/11/16
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