イミグラン錠
Q |
何のお薬? |
A |
適応症は「片頭痛」で、2001年に日本初のトリプタン系の内服薬として承認されました。前兆のない片頭痛・前兆のある片頭痛、どちらのタイプにも使用できますが、頭痛開始前(片頭痛の前兆期を含む)に投与しても効果は期待できません。片頭痛以外の頭痛への投与は、効果が期待できないばかりか、脳血管障害等の原因を見落とし必要な治療を遅らせることにつながりかねないので、問診、診察等を十分行い、頭痛の原因を確認してから投与することが必要です。 |
Q |
用法・用量は? |
A |
片頭痛発現時に1回50mgを服用します。痛み始め(頭痛早期)に服用することで最大限の効果が得られます。効果不十分な場合は2時間以上あけて追加投与できます(剤形により投与間隔が異なります)。1回50mgで効果不十分な場合は、次回から1回100mgを服用できますが、1日総投与量は200mg以内とします。 |
Q |
作用機序は? |
A |
片頭痛の病態生理には不明な点が多く、血管説では「何らかの誘因で過剰に放出された5-HTが、まず頭蓋血管を収縮し、その後5-HTが代謝されて頭蓋血管が拡張し、血管壁に浮腫および炎症が生じる結果、片頭痛が起こる」とされ、三叉神経血管説では「何らかの誘因により三叉神経軸索からCGRP(calcitonin gene-related peptide)やサブスタンスP等のニューロペプチドが遊離され、それらが三叉神経周囲の血管の透過性亢進や肥満細胞の脱顆粒を誘発し、神経原性の炎症が引き起こされる」と考えられています。本剤は、脳動脈に多く存在する5-HT1Bおよび5-HT1D受容体に作用し、頭痛発現時に過度に拡張した頭蓋内外の血管を収縮させるとともに、三叉神経終末からのCGRPなど起炎性ペプチドの放出を抑制し、片頭痛の緩解に効果を示すと考えられています。 |
Q |
服用上の注意点は? |
A |
重篤な副作用として、アナフィラキシーショックの他、不整脈、狭心症あるいは心筋梗塞を含む虚血性心疾患様症状、てんかん様発作の報告があります。血管収縮作用は脳血管系に対して選択的で、末梢血管系に対してはほとんど作用を示しませんが、少数の患者さまで一過性の血圧上昇や末梢血管抵抗の上昇がみられたとの報告もあります。 |
Q |
「眠気」について |
A |
本剤との関連性は明らかではないものの、海外では本剤にもっとも多い有害事象のひとつとして報告され、国内開発治験時においても傾眠としての報告があります。また「眠気」は片頭痛発作の回復過程にみられる症状としても知られています。そのため、本剤投与後には自動車の運転等の危険を伴う機械操作には従事させないよう十分注意する必要があります。 |
Q |
併用禁忌について |
A |
エルゴタミン製剤(かつての代表的な片頭痛治療薬)と併用すると薬理学的相加作用により血管収縮作用が増強され、血圧上昇・血管攣縮が増強される恐れがあります。他の5-HT1B/1D受容体作動薬と併用した場合も同様です。本剤投与後にそれらを投与する場合、あるいは逆の場合も、24時間以上の間隔をあけて投与します。 本剤はモノアミンオキシダーゼ(MAO)により代謝されるため、MAO阻害剤とも併用禁忌です。併用により本剤の代謝が阻害されて半減期が延長し、AUCが増加する恐れがありますので、MAO阻害剤投与中あるいは投与中止2週間以内の患者さまには本剤を投与してはいけません(一般的にMAO阻害剤の影響は2週間といわれています)。 |
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