服薬指導に活かす医薬品情報

レイボー錠

Q

何のお薬?処方目的は

A

2022年に発売された薬で、一般名はラスミジタンコハク酸塩錠。適応症は「片頭痛」です。世界初のジタン系薬剤であり、セロトニン1F受容体に選択的に結合して中枢では疼痛情報の伝達を抑制し、末梢では三叉神経からの神経原性炎症や疼痛伝達に関わる神経伝達物質の放出を抑制することで、片頭痛発作に対する作用を発揮する点が特徴です。


Q

用法・用量は?

A

1回100mgを片頭痛発作時に服用。状態に応じて1回50mgまたは1回200mg投与も可。

頭痛の消失後に再発した場合は24時間あたりの総投与量が200mgを超えない範囲で再投与できます。

発作開始1時間未満に服用した場合も、1時間以降に服用した場合も、頭痛改善効果が認められます。

・片頭痛発作時にのみ使用し、予防的には使用しません。


Q

主な副作用は?

A

眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意が必要です。


Q

トリプタン系薬剤とジタン系薬剤の違い

A

①トリプタン系薬剤はセロトニン1B/1D受容体に作用するため血管収縮作用があり、狭心症や脳血管障害などがある方には投与禁忌だが、ジタン系薬剤は血管収縮作用がなく投与可能。


②トリプタン系薬剤は片頭痛の発現時(片頭痛開始から20~30分以内)に服用しないと十分な効果が期待できなかったが、ジタン系薬剤は片頭痛の発現1時間後に服用しても頭痛改善効果が期待できる。


③トリプタン系薬剤は投与間隔を2時間以上(イミグラン皮下注は1時間以上、ナラトリプタンは4時間以上)空ける必要があったが、ジタン系薬剤は投与間隔の規定がなく、24時間あたりの総投与量が200mgを超えない範囲で服用出来る。


(※トリプタン系薬剤とジタン系薬剤の同時併用による上乗せ効果は検討されていない)


Q

服薬指導実践編~チャレンジしてみよう!

頭痛外来を受診しているAさま(39歳男性)が以下の処方箋をお持ちになりました。


【Rp1】 レイボー錠100mg 1錠

1回1錠 頭痛発現時 5回分
(※前回はスマトリプタン錠50mg 1回2錠 頭痛発現時 10回分)


Aさまは片頭痛の症状で3年前から治療を続けています。Aさまから「今までの薬では頭痛がおさまらな いことがある。最近は仕事が忙しく、会議中などすぐに薬が飲めないこともあると相談したら、あなたの状況には新しい薬のほうが合うだろうと言われた。「そんなに効き目に違いがあるのか?」と質問がありました。あなたならどう答えますか?


A

【回答例】

レイボーは2022年に発売された新しい片頭痛の薬で、Aさまが今まで使用していたトリプタン系の薬とは違った効き目を持つ片頭痛治療薬です。

今までの薬は片頭痛の発現時にすぐ飲まないと十分な効果が期待できませんでしたが、レイボーは頭痛が起きてから1時間経過した後に服用しても効果が期待できるというデータがあるので、会議で忙しくてすぐに薬が飲めないことがあるAさまには今までの薬より合うと思います。

1回100mgが標準量ですが、効き目が十分でない場合は増量することも可能な薬なので、頭痛が十分におさまらなかった場合は医師に相談するようにしましょう。

注意点として、服用後1時間以内に眠気やめまいが起こることがあるので、車の運転や機械の操作などには注意が必要です。数時間でおさまることが多いですが、初めて使うときは特に注意してくださいね。


掲載日: 2024/06/20
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります