睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に上気道を開く筋肉が弛緩して、上気道が閉塞することで無呼吸の状態が繰り返し起こる閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と、脳からの呼吸指令が一時的に出なくなることで起こる中枢性睡眠時無呼吸(CSA)に分けられています。 ベンゾジアゼピン(BZ)系睡眠薬には、筋弛緩作用があるので、上気道を開く筋肉が弛緩するとOSAが悪化する恐れがあります。 唯一、長時間作用型のクアゼパムが、「睡眠時無呼吸症候群の患者」に禁忌となっていますが、他のBZ系睡眠薬でも注意した方が良いでしょう。ただし、悪化しないという見解もあるので、すべての患者にBZ系睡眠薬を避ける必要はありません。 また、エチゾラムなどのBZ系抗不安薬にも筋弛緩作用があるので、夜に服用する場合は注意が必要です。 OSAの患者が初めて睡眠薬を服用する場合、非BZ系睡眠薬またはオレキシン受容体拮抗薬の使用を第一に考えるべきです。 医師の判断によりますが、非BZ系睡眠薬では、依存性の問題が生じる恐れがあるので、依存性のリスクが極めて低いオレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ、デエビゴ)の使用を先に考慮された方が良いと考えます。 処方監査・服薬指導のPOINTBZ系睡眠薬を処方された患者が睡眠時無呼吸症候群の治療をしている場合、疑義照会を検討しても良いと考えます。 CPAPによる治療をしていれば、マイナンバーカードと連携した薬剤等情報でも確認できます。診療情報に、在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算(CPAPを使用)の記載があれば、薬歴に残しておくと良いでしょう。 また、CPAPによる治療をしている患者は、寝る前に飲酒をすると上気道を開く筋肉が弛緩することで、OSAが悪化する恐れがあります。飲酒を控えるよう医師から指導されている場合、寝る前の飲酒を控えているか定期的に確認した方が良いでしょう。 |
Q |
睡眠時無呼吸症候群のある患者に禁忌と添付文書に記載されている睡眠薬はどれでしょうか? |
掲載日: 2024/08/23
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります
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