爪白癬治療薬、ネイリン(ホスラブコナゾール)と併用すると血中濃度が上がる恐れがある薬はどれでしょうか?

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爪白癬治療薬、ネイリン(ホスラブコナゾール)と併用すると血中濃度が上がる恐れがある薬はどれでしょうか?

    ネイリンはCYP3Aを中程度阻害する作用があるため、CYP3Aにより代謝されるニフェジピンの血中濃度を上げる恐れがあります。では、ネイリンとニフェジピンを併用すると、どれくらいニフェジピンの血中濃度が上がるのか、PISCS(CR-IR法)の計算式を用いて考察してみます。

    PISCS(CR-IR法)の計算式
    AUC(○倍)=1 / (1−CR×IR)

    添付文書の相互作用によると、ネイリンはCYP3Aで主に代謝されるミダゾラム(経口)と併用した場合、ミダゾラムのCmaxは2.384倍、AUCは3.01倍に上昇しています。ミダゾラムのCR寄与率は0.92なので、PISCSの計算式[3.01=1 /(1−0.92×IR)]より、ネイリンのIR阻害率は0.73とわかります。ニフェジピンのCR寄与率は0.78なので、PISCSの計算式[AUC=1/(1−0.78×0.73)]より、ネイリンと併用したとき、ニフェジピンのAUCは約2.32倍に上がるとわかります。

    参考として、ニフェジピンCR錠は、20mgから40mgに増量すると、AUCは2.07倍に上昇しているので、ネイリンとニフェジピンを併用すると、倍量にしたくらいの効果が出る恐れがあります。併用中は血圧が下がる恐れやふらつき等の副作用に注意するよう伝えた方がいいでしょう。また、アムロジピンもCYP3Aにより代謝される薬ですが、CYP3A阻害薬による影響は軽微だと考えられています。

    ネイリンと同様にCYP3Aを中程度阻害する薬として、エリスロマイシン、ベラパミル、ジルチアゼム、フルボキサミン、トフィソパムはよく処方されているので、同様に注意が必要です。なお、CYP3AのIR阻害率はそれぞれ違うので、ネイリンと同じようにニフェジピン等の血中濃度を上げるとは限りません。

    処方監査・服薬指導のPOINT

    ニフェジピンなどのカルシウム拮抗薬はCYP3A阻害薬の影響を受けやすいので、ネイリンなどと併用する時は注意が必要です。併用された場合、患者に注意喚起をするとともに、医師に情報提供をしておくといいでしょう。もし、降圧効果が過剰に現れたり、副作用が現れた場合、影響の少ないアムロジピンへの変更を提案すると良い。

    濱本 幸広(はまもと・ゆきひろ)さん
    京都薬科大学卒、薬剤師。
    調剤併設ドラッグストア、調剤薬局、派遣薬剤師など、数多くの経験をしながら処方鑑査の腕を磨く。
    2022年10月、4分類法を活用した処方鑑査の指南書『達人の処方鑑査術』を出版、好評発売中。
    ▼運営サイト
    https://kusuri-shidousen.com
    掲載日: 2024/10/01
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります

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