- 公開日:2024.04.18
第109回薬剤師国家試験受験生113名から学ぶ国試勉強法! 第110回国試で失敗しないための「3原則」とは!?【薬剤師がおが解説】
薬剤師国家試験の勉強をこれから本格的に始めようと思っているあなた!!とりあえずなんとなくで勉強を始めようとしていませんか?
薬剤師国家試験は短期間の勉強でも結果が出せる定期試験とは異なり、1年間を通した勉強時間がモノをいう「長距離マラソン」のような試験です。
そんな長期的な勉強が必要な試験でうまくいかない学生に多い特徴は
1.勉強のスケジュールが決まっていない
2.自分の勉強法が確立していない
3.受かる人の特徴を取り入れていない
が挙げられます。
もし1つでも心あたりがあれば本記事を読む価値アリです!
本記事は第109回薬剤師国家試験で「235点以上」取れた、点数にある程度余裕を持って合格できた先輩113名へのアンケート結果から※、第110回国試で失敗しないために押さえておきたい3原則をまとめています。
また、現役時には卒業延期となってしまい、そこから自身の勉強への戦略を確立して模試で全国4位をとれるまでとなり、国試も無事合格した経験を持つ筆者の考察もお伝えします。
原則1:早くから勉強の習慣を確立する
国試の準備を1週間、2週間のような短期間で終わらせることはできません。毎日コツコツと勉強を続けて、習慣化させることがポイントとなります。
先輩へのアンケートによると習慣づくりの第一歩として、場所を決めて勉強していた人が大半でした。
Q. あなたが主に勉強していた場所は?
大学の施設(自習室や研究室、図書館):52%
自宅:35%
カフェ:7%
地域の施設(図書館や公民館):3%
その他:2%
そしてさらに「上記の環境を固定していた?」に関する回答です。
アンケートによると、勉強する場所に関しては人それぞれのようです。確かに大学で仲間と一緒に勉強する方が合っている人もいれば、家やカフェで黙々と一人で勉強する方が合っているという人もいるでしょう。
しかし!大事なのはその環境を固定しているかどうかです。国試で235点以上取れた学生のうち約74%が「週5日以上」場所を固定していました。
何度も同じことをしている場所に行くと、自然といつもの行動を取ろうとすることがあるかもしれません。場所を固定すると習慣化しやすいといわれています。まずは勉強する場所の固定から始めてみましょう!
原則2:必須問題への取り組み方を確立する
国試の必須問題は7割取らないと問答無用で足切りとなってしまいますので、対策が必要です。また、必須問題は試験の最初に出題されるため、ここの出来がよいとその後の試験も前向きに取り組むことができます。国試合格のために、必須問題の攻略は必須でしょう。
そんな必須問題を先輩はどのように対策をしていたのか?確認しましょう。
Q. あなたの必須問題に対する対策は?
過去問や必須問題集を毎日解く:59%
理論問題や青本を解くこと:26%
特にやっていない:13%
その他:2%
6割の学生は毎日必須問題を解くことで対策をしていたようです。一方で理論問題を解くことで必須問題の対策をしていた学生もいました。
この結果で大事なことは「必須問題を解きつつもバランスよく様々な問題を解く」ことです。必須問題の対策としては、必須問題を解くことも、理論問題を解くことも重要です。
理論問題では複数の分野を組み合わせた複合問題や、必須問題よりも深い知識が求められる問題が出題されます。複合問題は、選択肢一つ一つでみると必須問題と同じくらいの難易度である場合もあります。また、深い知識が求められる問題でも正誤を判断するためには必須問題で問われる基礎知識が必要となります。
理論問題を解くことで知識を体系化して深く理解することができるため、必須問題で様々な角度の知識を問われても答えることができるようになっていくのです。そのため理論問題を解くことは必須問題を攻略する上でも重要といえるでしょう。
また、必須問題を解くためには、解答時間の短さから「1分以内」でポンポンと答えていく「瞬発力」も必要となります。この能力は理論問題のようにじっくりと考える問題を解くだけでは身につきません。よって、必須問題の攻略には「必須問題を解きつつもバランスよく様々な問題を解く」ことが必要なのです。
私のおすすめの勉強法は「毎日勉強始めに10問必須問題を解く」です。これを行うことで年間を通してかなりの数の必須問題を解くことができますし、勉強始めにハードルの低いルーティンを行うことでスムーズに集中状態に移行できます。何にせよ必須問題を解く時間を確保する勉強スケジュールを立てましょう!
原則3:過去問への取り組み方を確立する
薬剤師国家試験の攻略の第一歩は過去問を解くことである。このような言葉もあるほどに、過去問を解いて、問題の難易度を把握することと、問われている知識を自分のものにすることが重要な意味を持ちます。
まずはみなさん気になる「先輩はどれぐらい過去問を解いたのか?」確認していきましょう!
過去問を何年分解いたのか?個人差があるようですが、7割以上の先輩は5年分以上解いているようです。過去問を何周解いたのか?については1〜3周と答えた先輩が多かったようです。まとめると平均値は「7年分を3周」ぐらいになりそうです。
国試対策として過去問を解くことが重要である理由は2つあります。
理由1:傾向を掴むことができるため
国試では参考書を一から読んでいくような勉強法ではなく、傾向を把握しその傾向に合わせて対策をしていくことが重要です。過去問を解くことで、どんな問題の正答率が高いのか(ライバルが取れているのか)、どんな分野が多く出ているのか(頻出の分野はどこか)といった傾向を掴むことができます。傾向をわかっている学生とそうでない学生とでは学習効率に雲泥の差が出ます。
傾向を掴むための具体的な過去問の解き方に関しては、次回の記事で詳しく取り上げようと思います!
理由2:アウトプット学習で効率よく勉強できるため
様々な研究から効果が高い勉強法はアウトプットを含む勉強といわれています。すなわち頭の中から知識を捻り出すことや、解説を読んで他の人に説明できるようになるまで理解することが効率のよい勉強法といわれているのです。過去問を解くことはアウトプット学習の代表例といえます。他にも模試の問題を解くことや他の人に理解したことを説明することもアウトプットですが、「理由1」に記載したことと併せて考えると、やはり最初に行うべきアウトプット学習は過去問を解くことといえるでしょう。
以上の理由から、過去問を解くことが国試対策の第一歩であるといえるかと思います。現時点で過去問を解く時間を十分に確保できていないと思う人は、その優先順位を上げ勉強スケジュールに取り入れてみてください。
第109回薬剤師国家試験(2024年)の結果は?合格率や合格基準、難易度を解説
最後に:先輩が国試で最も大事だと思うことは〇〇!!
さて、いよいよ最後になりました。
最後は「結局国試合格に大事なものって何なの?」という問いです。
そう、最後にモノをいうのは「メンタル」なのです。
本番が差し迫っている時に点数が取れてないと、焦る→集中できない→点数が取れない→焦る......といった負のスパイラルに入り込んでしまう受験生は毎年少なくないようです。
だからこそ。だからこそ早期に取り組む必要があるのです。
逆説的かもしれませんが、メンタルを安定させるには点数が必要です。国試の勉強が佳境に差し掛かっている時期に、集中して勉強できる安定したメンタルを維持するには、早めに国試対策を始めて点数にある程度余裕が持てるようになることが必要なのです。
国試対策を始めるのに早すぎるということはありません。ぜひ明日から国試攻略に取り組んでみてください。
薬剤師国家試験を控えたみなさんへ。心を整えて当日を迎えるには?
次回予告
次回は本記事内でも少し扱った「過去問攻略」についてお伝えします。
過去問を漫然と解くだけでは、演習効果が半減してしまうといっても過言ではありません。今回お伝えしきれなかった先輩の過去問対策も併せてお伝えしますのでお楽しみに!!
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※アンケート概要
集計日:2023年2月21日~2023年3月5日
調査方法:WEBでのアンケート調査
対象:第109回薬剤師国家試験を受験し、その自己採点が235点以上の男女113名
執筆者:がお さん
九州の大学を卒業。学生時の薬剤師国家試験の模試では全国4位の経験を持つ。卒業後は現場薬剤師、薬局の採用担当といった幅広い活動の傍ら、学生支援活動を広く行っている。X(旧Twitter)やYouTubeでは薬剤師国家試験の範囲からまとめ投稿や動画講義を行う。2023年11月に自身のチームで独自開発した薬剤師国家試験過去問演習ツール「Emery」をリリースし、リリース2ヶ月で約4000ダウンロードを達成。薬学生に信頼される薬剤師国試対策の発信者。
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ファルマラボ編集部
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