ファルマスタッフ薬学生
  • 公開日:2020.09.04

【薬学部の奨学金支援制度】返済できないときの解決法はある?

【薬学部の奨学金支援制度】返済できないときの解決法はある?

2006年より薬学教育が4年制から6年生に移行し、薬学部の教育は以前よりもさらに高額な費用がかかるようになりました。 学費を納めるための手段として奨学金は欠かせないものとなっていますが、制度を利用するうえで奨学金についてしっかりと確認しておかなくては、返済時に支払いに悩まされることも...。

そこで、今回は薬学生のための奨学金制度について取りあげ、卒業後の返済方法などを詳しくご紹介いたします。

奨学金について理解しましょう

奨学金の運営機関

現在、薬学生の2人に1人が奨学金制度を利用しているといわれています。 奨学金を運営する機関にもさまざまな種類がありますが、大きく分けると「公的な機関」と「民間が運営する機関」の二つに分かれます

公的機関の代表的な運営先として挙げられるのは「独立行政法人 日本学生支援機構」。奨学金利用者の多くがこの機関を利用しています。また、地方公共団体の奨学金は都道府県ごとに行うものと市区町村ごとに行うものがありますが、すべての自治体で行っているわけではありません。

民間では、さまざまな企業や団体が運営を行っていますが、近年では私立大学が独自に奨学金の運営を行う例も増えつつあります。 また運営機関の中には、対象となる大学が指定されていたり、学部や学年が指定されているものも。都道府県や市区町村で実施している奨学金は、その地域に保護者が一定の期間以上居住していることが条件の場合が多いので、各自治体に奨学金制度があるかどうか確認してみましょう

奨学金の種類

奨学金には「貸与型」と「給付型」二つの種類があります

貸与型奨学金:大学卒業後に奨学金の返済が必要
給付型奨学金:大学卒業後に奨学金の返済が不要

貸与型の奨学金はローンのようなもので、ローンと異なるのは返済開始が大学卒業後であるという点です。一方、給付型の奨学金については返済が不要であるためこちらを選択したいところですが、日本の奨学金制度の多くが貸与型の奨学金制度であり、卒業後に返済をしなくてはなりません。また、貸与型の奨学金の場合は借りた金額だけを返せばいい「無利子タイプ」と、借りた金額に利息をつけて返さなくてはならない「有利子タイプ」があるのでこの違いも知っておきましょう。

一方、給付型の奨学金は基本的に返済の必要はありませんが、民間の企業などが運営する奨学金の場合、その会社に○年以上勤務することが条件...などといった制限のあるところも多いので、申請する際には必ず確認しましょう。

奨学金の返済について

日本学生支援機構の奨学金を利用した場合、貸与が終了した月の翌月から数えて7カ月目から奨学金の返済が開始されます返済額と返済年数は借りた総額によって決定されます

▼参考資料はこちら
参考資料:独立行政法人日本学生支援機構 奨学金返済期間(回数)

滞納したらどうなるの?

薬剤師は他の職種と比較して高収入といわれていますが、返済金が大きな負担であることにはかわりありません。また、病気や災害の発生など、突然奨学金を返済できない状況に陥ることも考えられます。

日本学生支援機構において奨学金の返済が滞ってしまった場合、滞納する月額に対して年率5%の滞納金が加算されます。さらに翌月の返済額と合わせて一括で支払うことが求められるので、数か月滞納してしまうと一度に支払うことが困難な状況になってしまうのです。 ただし、返済が苦しい人のために次のような救済制度も設けられているのでしっかりと確認をしておきましょう

減額返還
・災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に願い出できる制度です。
・一定期間、「当初割賦金を2分の1または3分の1に減額」して、減額返還適用期間に応じた分の返還期間を延長することにより返還しやすくなります。
※返還予定総額が減額されるものではありません。延滞している場合は願い出できません。

返還期限猶予
・災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に願い出できる制度です。
・一定期間「返還を猶予し先送りにする」事により、その後の返還がしやすくなります。
※返還すべき元金や利子が免除されるものではありません。
▼参考資料はコチラから
独立行政法人日本学生支援機構 延滞した場合
独立行政法人日本学生支援機構 返済が難しいとき

無理のない返済方法を探してみましょう

大学を卒業し、自分のなりたい仕事に就くことはまさに理想の形です。しかし、仕事は幸せな人生を送っていくための一部であり、これから先には結婚、出産、子育て、マイカーやマイホームの購入など、多くのことが想定されます。これから5年後、10年後のことを考え奨学金の返済と貯蓄のバランスを意識してマネープランを立ててみましょう

ここでは、無理のない返済方法について考えてみたいと思います。

奨学金返済の支援を行っている薬局・病院・企業への就職

近年、人材の確保を目的として薬学生への奨学金給付や若手薬剤師の奨学金返済支援に積極的に取り組む薬局・病院・企業が増えています。

それぞれで支援のパターンは異なりますが、薬学生へ奨学金や授業料を貸与し、卒業後に一定期間働くことで返済が免除される方法や、返済額を毎月の給料に上乗せして支給する方法などが具体的なものです。 このような支援のある薬局・病院・企業へ就職し、奨学金を返済していくことも一つの方法。ただし、一定期間転職ができないため、その職場が自分に合っているかどうか見極めることが大切。働いてから後悔することのないよう就職コンサルタントに相談するのがおすすめです。

比較的「高収入」の薬局・ドラッグストア・企業などに就職する

収入が多ければその分返済もスムーズになる。こうした観点から高い収入が得られるところへ就職するのも一つの考えです

就職情報サイトを利用し、自分に合った高収入の求人を探してみるのもよい方法かもしれません。また、比較的高収入といわれているのがドラッグストア。店舗によっては土日も勤務するところがありますが、OTC薬の知識も求められるなどやりがいのある職場です。高収入かつ、自分の理想に合った職場がみつかるかもしれません。また、化粧品メーカーや製薬会社など、医薬品の豊富な知識や資格を活かし働くことも薬剤師としての貴重な体験になるでしょう。

地方の薬剤師として就職する

首都圏と地方の人口を比較して、地方は明らかに薬剤師の数が不足しており、人材を確保するため薬剤師の収入が高いといわれています。薬学生の皆さんの中には地方出身の方もいらっしゃるのではないでしょうか?生まれ育った土地で落ち着いて働きたい。地方での暮らしに魅力を感じている。実際そういった方も少なくありません。地方の比較的高収入の薬局で働くことは、奨学金を返済するための考え方の一つです。ただし、見知らぬ場所や慣れない土地で暮らすのは思っている以上に大変なことです。その土地をよく理解しているコンサルタントに相談してみましょう。

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まとめ

今回は、薬学生のための奨学金支援制度について解説いたしました。奨学金の返済が決して簡単なものではないことを考えると、将来に対して不安を抱く方も多いでしょう。 しかし、薬剤師をめざし6年間学んできたことがまもなく実現されます。将来のライフプランを考え、着実に自分の理想の形に近づけていきましょう。

奨学金返済などで就職先・転職先にお困りの方。 数多くの求人を知るファルマスタッフのコンサルタントにご相談ください。

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記事掲載日: 2020/09/04