アジレクト錠
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
効能・効果は「パーキンソン病」です。レボドパ含有製剤併用の有無を問わず使用できます。 |
Q |
規制区分は? |
A |
アンフェタミン骨格構造を持たず、覚醒剤原料の規制対象ではありません。 セレギリンでみられる不眠症、異常な夢、心臓障害・神経障害などのリスク軽減が期待されます。 |
Q |
用法・用量は? |
A |
通常、1日1回1mgを経口投与します。軽度の肝障害の患者さま、低体重の患者さま、高齢者では低用量の投与も検討します。 空腹時と比べ食後投与では、AUCが約20%低下することが示されていますが、各種臨床試験結果等より食事の規定はされていません。 |
Q |
作用機序は? |
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A |
非可逆的なMAO-B阻害作用を示し、線条体における細胞外ドパミン濃度を増加させます。ドパミン濃度の上昇により、ドパミン作動性運動機能障害を改善します。
表:主なMAO-B阻害薬一覧
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Q |
注意すべき副作用は? |
A |
ジスキネジア(8.0%)、転倒(3.7%)、鼻咽頭炎(3.2%)等が報告されています。レボドパ含有製剤との併用によりジスキネジア等のレボドパ由来の副作用が増強されることがあります。 重大な副作用として、起立性低血圧があらわれることがあります。パーキンソン病患者では運動機能障害による転倒のリスクが高く、骨折又は外傷に至るおそれがあるため、注意が必要です。 日中の傾眠や前兆のない突発的睡眠があらわれることがあるため、自動車の運転等危険を伴う作業には従事させないようにします。 ほかに幻覚、衝動制御障害、セロトニン症候群、悪性症候群等の報告があります。 |
Q |
注意すべき患者さまは? |
A |
中等度以上の肝機能障害のある患者さまに禁忌です。また、主として肝薬物代謝酵素CYP1A2により代謝されるため、喫煙によるCYP1A2誘導に注意が必要です。喫煙者における全身クリアランス(CL/F)は非喫煙者及び元喫煙者と比べ約40%高いと推定されています。 |
Q |
相互作用は? |
A |
三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI、SNRI、ミルタザピン、アトモキセチン、トラマドール等、多数の併用禁忌薬があります。 チーズ等チラミン含有量の高い飲食物を摂取した患者において、高血圧クリーゼを含む血圧上昇が報告されています。 |
Q |
同効薬からの切り替えは? |
A |
片方の薬剤の投与を中止してから少なくとも14日間の間隔を置く必要があります。日本医療機能評価機構より、必要な休薬期間が設けられていなかったケースが報告され注意喚起されています。 |
Q |
ガイドライン上の位置づけは? |
A |
日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」では、早期パーキンソン病に対しドパミン補充療法を行うことが推奨されています。運動合併症の発現リスクが高い場合は、ドパミンアゴニストあるいはMAO-B阻害薬が選択肢とされています。
パーキンソニズムの定義変更
「パーキンソン病診療ガイドライン2018」では、パーキンソニズムの定義が変わりました。従来は、安静時振戦、筋強剛、運動緩慢、姿勢保持障害のいわゆる4大症候のうち2つが存在することとしていました。新しいガイドラインでは、運動緩慢が見られることを必須とし、静止時振戦か筋強剛のどちらか、あるいは両方が見られるものとし、姿勢保持障害を除外しています。そしてパーキンソン病の診断基準は、パーキンソニズムの存在に加え、いくつかの基準が設けられています。姿勢保持障害が早期に出現する場合は、他の疾患の可能性が高いことが分かってきたためです。
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掲載日: 2022/02/17
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります
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