服薬指導に活かす医薬品情報

エフメノカプセル

Q

何のお薬?処方目的は?

A

適応症は「更年期障害及び卵巣欠落症状に対する卵胞ホルモン剤投与時の子宮内膜増殖症の発症抑制」です。卵巣欠落症状は、卵巣摘出等の外科的閉経、また抗がん剤や放射線療法のダメージによりエストロゲンレベルが急激に減少した場合に現れる更年期と同様の症状(更年期症状)です。

ホルモン補充療法における黄体ホルモン製剤併用目的は、エストロゲン製剤投与による子宮内膜過形成や子宮内膜癌等のリスクを増加させないこととされています。ただし、子宮を摘出している場合、黄体ホルモン製剤による子宮内膜保護を必要としないため投与しません。

Q

用法・用量は?

A

【持続的投与法】1日1回100mgを就寝前に投与。

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【周期的投与法】エストロゲン製剤の投与開始日を1日目として、エストロゲン製剤の投与開始15日目から28日目まで1日1回200mgを就寝前に投与。

これを1周期とし、以後この周期を繰り返す。

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いずれかの投与法を選択します。また、本剤は食後投与によりAUC、Cmaxが上昇するため食後の服用は避けます。


Q

重大な副作用と初期症状、注意点は?

A

血栓症(頻度不明)に注意が必要です。国内臨床試験において関連する報告はなく因果関係は明らかではないものの、海外の製造販売後、性ホルモン剤の血液凝固・線溶系に対する影響から心筋梗塞、脳血管障害、動脈又は静脈の血栓塞栓症(静脈血栓塞栓症又は肺塞栓症)、血栓性静脈炎、網膜血栓症等、種々の血栓症等が報告されています。血栓症関連事象の初期症状やリスク因子は確実かつ適切に情報提供し、異常が認められた場合には、すぐに服薬を中止し医療機関を受診するよう指導します。

【初期症状】下肢の疼痛・浮腫、突然の呼吸困難、息切れ、胸痛、中枢神経症状(めまい、意識障害、四肢麻痺等)、急性視力障害等

【リスク因子】長時間同じ姿勢、身体を動かせない状態(術前)、顕著な血圧上昇がみられた場合等

Q

主な副作用は?

A

不正子宮出血(33.5%)、乳房不快感頭痛、下腹部痛、浮動性めまい(各1%以上)等があります。

不正性器出血等は服用開始から3ヵ月頃まで起こることがありますが、服用継続により徐々に減少し、およそ半年から1年以内で消失することが多いです。しかし、出血量が多い、頻発する、長期間にわたり続く等の場合、他の疾患が隠れている可能性もあるため医師に相談するよう伝えます。



ホルモン補充療法と黄体ホルモン製剤

HRT(Hormone Replacement Therapy)は欠乏したエストロゲンを、エストラジオール(ジュリナ錠、エストラーナテープ、ディビゲル他)やエストリオール(エストリール錠、ホーリン錠他)等として体内に補充する治療法です。経皮吸収型製剤として卵胞・黄体ホルモン配合のメノエイドコンビパッチ(外用)がありますが、前述の適応を有する黄体ホルモン製剤なく、適応外でデュファストン錠等の合成製剤が使用されていました。本剤は黄体ホルモン単剤として適応を有する初めての内服薬です。


掲載日: 2023/05/25
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