服薬指導に活かす医薬品情報

ケレンディア錠

Q

何のお薬?処方目的は

A

一般名はフィネレノンで、「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病 (ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)」の適応を有する唯一の非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)です。本剤はミネラルコルチコイド受容体の過剰活性化を抑えることで、慢性腎臓病(CKD)や心血管疾患の進行要因の1つである、炎症・線維化を抑制します。2022年5月25日に薬価収載され、2023年6月より長期処方が可能となりました。


Q

2型糖尿病を合併するCKD

A

近年は糖尿病を起因とする透析導入が増加しており、糖尿病を合併するCKDにおいて、①血圧などの血行動態、②高血糖などの代謝、そして③炎症・線維化が、心血管・腎臓障害の発症や進展に関与すると考えられています。既存のACE阻害薬、ARBは代謝や血行動態に関する因子を標的とし、SGLT2阻害薬は血糖改善や糸球体過剰濾過の改善等により腎保護作用を示しますが、炎症・線維化を標的とするフィネレノンは新たな治療選択肢となります。なお、既存のMR拮抗薬であるスピロノラクトン(アルダクトンA)※、エプレレノン(セララ)、エサキセレノン(ミネブロ)にCKDの適応はありません。
※腎性浮腫の適応はあり


Q

用法・用量は?

A

1日1回次の用量を経口投与します。eGFR(mL/min/1.73m2)の値が


・60以上:20mg
・60未満:10mgから開始。血清カリウム値、eGFRに応じ投与開始4週間後を目安に20mgへ増量


投与開始・再開・増量から4週間後、その後も定期的に血清カリウム値、eGFRを測定し、添付文書に従い用量を調節します。ACE阻害薬/ARBが投与されている患者に投与します(治療が適さない場合を除く)。
※10mg錠と20mg錠の生物学的同等性は示されておらず、20mg投与の際10mg錠は使用できません。


Q

副作用や注意点は?

A

重大な副作用に高カリウム血症(8.8%)があり、投与開始時に血清カリウム値が5.5mEq/Lを超えている 患者は禁忌です。また、イトラコナゾール(イトリゾール)、クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)など強いCYP3A阻害剤とは併用禁忌、弱い~中程度CYP3A阻害剤、中程度~強いCYP3A誘導剤、グレープフルーツ含有食品、カリウム製剤などとは併用注意です。


Q

服薬指導実践編~チャレンジしてみよう!

腎臓内科を受診したAさま(56歳 男性)が以下の処方箋をお持ちになりました。


【Rp1】ケレンディア錠20mg 1錠
1日1回朝食後 28日分 ※オルメテック、血糖降下薬(フォシーガ含む)服用中

検査値:eGFR70mL/min/1.73m2、血清カリウム値 4.0mEq/L


Aさまは長年2型糖尿病と高血圧症の治療をしていましたが、3ヵ月前から蛋白尿があり腎臓内科を受診しています。Aさまから「腎臓病が進行しないうちに、腎臓や心臓を守る新しい薬を飲んでみることになりました。何か注意点はありますか?」と質問がありました。あなたならどう答えますか?


A

【回答例】

ケレンディア服用中は、血液中のカリウム値が高くなる高カリウム血症に注意が必要です。服用中のオルメテックによってもリスクが上がるので、カリウム値をみながら服用していくことになります。


  • カリウムを多く含むバナナなどの果物の取りすぎには注意し、野菜はゆでこぼすなど工夫する

  • 高カリウム血症の原因となる脱水や便秘予防の為、こまめな水分摂取や適度な運動を行う

  • といった、カリウムを増やしにくい生活習慣を心掛けましょう。高カリウム血症の症状である脱力、疲労感、痙攣、吐き気、手足や唇のしびれなどがあればご相談ください。


    掲載日: 2024/07/25
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります