- 公開日:2022.07.13
新卒の薬剤師の初任給は? 勤務先別に解説
今年の4月から薬剤師として社会にデビューされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。この時期になると仕事にもだいぶ慣れて、気持ちに余裕が出てくる頃です。
そんなときに気になってくるのは、やはり収入面。実際の初任給は職場によって異なりますが、一般的に新卒薬剤師の初任給はどれくらいなのでしょうか。
今回は、他の医療系の職種と比較しながら、薬剤師の初任給を紹介していきます。また、新卒入社後に年収アップを目指すための方法も取り上げますので、今後のキャリアを考えるうえでもぜひ参考にしましょう。
新卒薬剤師の初任給は他の業種に比べて高い?
同じ医療職の中で、新卒薬剤師の初任給はどの程度なのか。まずは独立行政法人国立病院機構の職員給与規程から、代表的な医療職の初任給を確認しておきましょう。
独立行政法人国立病院機構においては、比較すると医療職の中で薬剤師の年収は高い水準ではありません。ただし、上記は国立病院における規定です。これ以外に勤務する場合は大きく異なり、例えば日本看護協会の「2020年病院看護実態調査」では看護師の初任給平均が26~27万円となっています。薬剤師も同様に、職場によって初任給が上記を上回ることが考えられるでしょう。もちろん薬剤師には医療機関以外の勤務先もあり、詳しい初任給については後ほど詳しく解説します。
続いて人事院「令和3年職種別民間給与実態調査」や内閣人事局「国家公務員の給与(令和3年度)」から、医療職以外の初任給もご紹介します。なお、厚生労働省の「令和2年度 賃金構造基本統計調査」によれば、新規学卒全体で初任給の平均は大卒で22万6,000円です。
こうした他職種と比較しても、国立病院における薬剤師の初任給は高い部類ではないことが分かります。一方、職場によっては上記を上回る初任給が期待できるケースもありますので、後ほど詳しく解説しましょう。
独立行政法人国立病院機構 職員給与規程 - 国立病院機構
医療職基本給表(第10条関係)
(9) 新規学卒者の学歴別にみた賃金【新規項目】
民間給与の実態(令和3年職種別民間給与実態調査の結果)(人事院)
国家公務員の給与(令和3年版)(内閣官房内閣人事局 )
勤務先別!薬剤師の初任給
薬剤師とっても、勤務先によって初任給は異なります。ここでは薬剤師のおもな勤務地別で、初任給の目安額を見ていきましょう。
ドラッグストア
ドラッグストアで働く薬剤師の仕事は、店舗にいらっしゃるお客さまに対して薬に関する情報提供を行ったり、販売業務を行うなどです。初任給は月30万円前後が多いでしょう。大手ドラッグストアを例に見ると、以下のようになっています。
調剤薬局
調剤薬局で働く薬剤師は、おもに処方箋をもとにした薬の調剤を行います。初任給は25~30万円前後が目安となるでしょう。具体的に、大手調剤薬局では以下のように初任給が設定されています。
医療機関
医療機関で働く薬剤師は、調剤や製剤、服薬説明などがおもな仕事です。国立病院であれば、前述した月18~20万円程度が初任給として規定されています。しかしそれ以外では月20~25万円程度と、やや高くなることが多いでしょう。例えば以下のような初任給の病院があります。
製薬会社
製薬会社では研究職や開発職などで薬剤師が働いています。また、製薬会社ではありませんが、関連機関では新薬開発に関わるCRCやCRAなどの職種に就くこと可能です。以下に、代表的な企業における初任給をまとめました。
公務員薬剤師
公務員薬剤師には、国家公務員と地方公務員とに分けられます。
国家公務員薬剤師は総合職として厚生労働省に勤め、薬事行政や食品衛生、研究開発などさまざまな分野で業務に携わります。地方公務員は公立病院や保健所、分析・検査センターなど配属先が幅広く、業務内容が広いのが特徴です。
初任給は21万円前後と高くありませんが、公務員という安定性は魅力の一つでしょう。
【人事院】公務員薬剤師、初任給1500円引上げ‐6年連続増で官民差も縮小
初任給以外にもチェックしたい福利厚生
初任給は大切ですが、待遇面を決めるもう一つの要素として福利厚生も重要なポイントになります。職場によって福利厚生が異なりますので、事前に確認しておいてください。ここでは具体的にどのような福利厚生が考えられるのか、いくつか例を挙げて解説します。
この他、レジャー施設やスポーツクラブの利用、あるいは育児支援などを行ってくれる福利厚生のパッケージサービスを社員に提供しているケースもあります。初任給が低い場合でも、こうした福利厚生が充実していることで満足度が上がる可能性が考えられるでしょう。
薬剤師が年収アップを目指すには?
初任給が高くなくとも、少しずつ年収をアップさせていくことは可能です。薬剤師であれば以下のような方法が考えられますので、キャリアを考えるうえで参考にしてください。
●経験を積む
新卒入社時は、誰もが右も左も分からない状態です。しかし経験を積むことで出来ることが増え、一人前として認めてもらえます。多くの職場では段階的な昇給を設けており、経験年数や評価等によって給与が少しずつ上がっていくはずです。どのように昇給制度が設定されているのかは、あらかじめ職場に確認しておきましょう。また、昇格して役職に就くことでも、給与アップが期待できます。
●資格取得
薬剤師にはさまざまな専門資格が存在します。そして資格取得者に対し、別途手当を付与しているケースも少なくありません。手当の有無や対象となる資格を確認し、取得を目指してみるのも一つの方法です。資格手当は経験年数にかかわらず付与されるため、まだ経験の浅い段階からでも給与アップに繋がります。
●転職
一定の経験を積んだら、より自分のスキルや経験を評価してくれる職場へ転職することで、年収アップを目指すことも可能です。その際は、薬剤師採用に特化した転職コンサルタントの活用がおすすめ。初めての転職でも、条件面の交渉など代わりに行ってくれます。
総合的に見て、満足のいく職場を選びましょう
新卒薬剤師の初任給について、詳しく解説しました。国立病院を除けば、薬剤師の初任給は一般的な職種に比べて高い水準といえます。特にドラッグストアでは、35万円以上の給与も期待できるでしょう。一方、公務員薬剤師のように給与水準は決して高くなくても安定していたり、大手製薬会社では福利厚生面が充実していたりということも考えられます。
また、初任給はあくまで入社初期の給与です。経験を積むことで昇給・昇格したり、資格を取得することで手当てが付与されたりと、入社後に年収アップを狙うこともできます。もちろん努力が必要ですが、初任給が高くなくてもそれ以外の手当が充実していたり、早期に昇給できるキャリアプランが用意されていたりすることもあるでしょう。初任給の金額は職場選びの大切なポイントですが、総合的に見て満足できる就職先を探すことが大切です。
ファルマラボ編集部
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