- 公開日:2022.08.12
薬剤師は退職金をもらえる?業種別の相場や退職金額を左右するポイントを解説
転職や定年退職などで会社を辞める際に気になるのが、退職金の支給です。ある程度の期間勤務をすれば退職金は支払われるのが一般的ですが、薬剤師が働く環境ではどうでしょうか。この記事では、雇用業態/業種別の退職金相場や金額を左右するポイントなど、「薬剤師の退職金事情」について解説いたします。
退職金の種類は?
会社を辞める際にもらえる退職金は、主に以下の4種類があります。所属企業の場合、以下のどれに当てはまるか、就業規則等で確認しておきましょう。
退職一時金制度
従業員が退職する際に、会社が退職金を一括で支給する制度です。勤続年数に応じた額を支払う定額制、給与に支給率を乗じた額を支払う給与比例制、資格・給与・職務能力などをポイント化して算定した額を支払うポイント制の3つの算定方法があります。
自由な設計が可能なため、勤務先によっては多くの退職金がもらえる可能性があるでしょう。一方、会社側の情勢によっては想定額からの減額や支給なしといった事態に陥る可能性もある点がデメリットです。
中小企業退職金共済制度
中小企業の採用が多く、従業員の退職時に共済機構から退職金が支給される制度です。ここで支給される退職金は、会社が共済と契約を結び積み立てた掛金になります。
メリットは、会社側が退職金制度のリスクを負わず、従業員への退職金が保証される点です。ただし、掛金の変更が難しいため勤続年数が短い場合は金額が少なくなってしまう点に注意が必要となります。
確定給付企業年金制度
会社が外部に積み立てた掛金を、一定期間にわたって退職金として支払われる制度です。会社運営のため不足分は会社が負担し、個人リスクがない点がメリットと言えるでしょう。
企業型確定拠出年金制度
会社積み立ての掛金を、退職後の従業員が年金として運用します。掛金の運用方法は従業員が決定し、運用結果によって支給額が変動するため従業員側にリスクが伴う方法です。
退職金がもらえる雇用形態は?
退職金がもらえるかどうかは、雇用形態で異なってきます。正社員の薬剤師として働いているなら、もらえる可能性が高いでしょう。
通常は、勤続年数に応じてもらえる金額も増えていきます。一般的な相場では、勤続年数5年で50万円ほどが目安です。3年未満での転職など勤続年数が短い場合、また小規模な会社では退職金が出ないケースもあります。
しかし、中小企業退職金共済制度に加入していれば、共済から退職金が支給されます。また、退職金自体は少ない場合でも、キャリアチェンジしてより好条件の職場で働くことで収入のカバーが可能です。広い視野で考えて、自分に有利な選択をしましょう。
退職金制度は会社によって制度が異なるため、転職を考えているのであれば退職金規定を調べておくと良いでしょう。
業種別の退職金相場
病院
国公立病院の薬剤師は、公務員として扱われます。公務員規定に沿って退職金が決まり、平均より高めの設定です。35年働いたとすると1000万円台になることもあり、安定した職場で長く働き退職金をもらいたいのであれば適した職場と言えるでしょう。
民間病院は規模に左右されることもあり、国公立病院よりは低い水準となる場合が多いものの、人材の流動性が高いというメリットがあります。より年収が高い職場にステップアップしていくことで、退職金のギャップをカバーできるでしょう。
調剤薬局・ドラッグストア
調剤薬局やドラッグストア勤務の薬剤師は、一般企業と同程度退職金をもらえると考えると良いでしょう。大卒で中小企業程度の調剤薬局に勤務している場合は、5年で45万円ほど、10年で118万円ほどが相場と言われています。
大手ドラッグストアなどでは、水準がこれ以上の場合もあります。勤続年数によって金額が変わるため、退職金を多くもらいたい場合は長く勤められる職場を選ぶと良いでしょう。
月々の月収や手当などの水準が高い職場が良いのか、退職金が高い職場が良いのかは個人の好みによるところです。定年退職したあとにどのような生活を望むかでも変わってきます。老後の生活までふまえたうえで考えてみましょう。
退職金の金額を左右するポイント
転職回数が多い(1社の勤続年数が短い)
多くの場合、退職金は勤続年数に応じて支給額が変わるため、転職を繰り返すと退職金は少なくなります。退職金を多くもらいたいのであれば、一つの職場で長く働くことが大切です。また、長く働いて役職や年収があがれば、そのぶん退職金も増えていきます。
自身のキャリアプランや思い描く薬剤師像と照らし合わせて、今の職場にいるべきか、転職すべきかを慎重に判断しましょう。
自己都合退職か、会社都合退職か
自己都合退職とは、転職や引っ越し、結婚など従業員の都合で退職した場合を指します。一方で、会社都合退職にはリストラや退職勧奨、早期退職者募集など、名前の通り会社側の都合によって退職したケースが当てはまります。薬剤師は比較的安定した職種ですが、会社都合退職になるリスクはゼロではありません。
退職金だけで見ると、基本的には会社都合退職のほうが退職金が高くなる場合が多いでしょう。突然職をなくすことに対する償いの意味が込められています。会社都合退職の場合は、自己都合退職よりも失業給付の時期も早いのが特徴です。
まずは自分のキャリアプランを立てておこう
今回は、薬剤師の転職事情について、雇用形態別、業種別に見たうえで、退職金の額を左右するポイントについて紹介しました。
正社員で働いていれば、ほとんどの場合退職金を受け取れるでしょう。もらえる金額を高くするためには、一つの職場で長く働いたほうが良いでしょう。転職を繰り返していると、まとまった額の退職金をもらうのは難しい傾向にあります。
一方で、現状より年収や手当が充実した職場へ転職し、月々の収入が増えたほうが良いと考える方もいます。いずれにしても、自身のキャリアプランや目指す薬剤師像をよく考えたうえで、定年後の暮らしについてもイメージしてみると良いでしょう。
ファルマラボ編集部
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