- 公開日:2022.12.21
薬剤師を辞めたい...退職を考える理由や辞める前に知っておきたい対処方法
薬剤師として働くことにやりがいを感じていても、「いっそのこと仕事を辞めてしまいたい...」と考えた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。なかなか表立って発言するのは難しい話題ではありますが、同じような悩みを抱えて乗り越えてきた薬剤師は大勢います。
そこで今回は、薬剤師が退職を考える理由、退職がよぎったときの対処法、それでも解決が難しかった場合の選択肢について解説します。
薬剤師が退職を考える理由は?
「自分は薬剤師に向いていないかもしれない」「薬剤師を辞めたい」など、仕事に対して後ろ向きになってしまう原因は数多くあります。ここではいくつか例を見ていきましょう。
業務で大きなミスをしてしまった
薬剤の取り違えなどの調剤ミスを起こして自信を失ってしまい、「薬剤師を辞めたい」と考えるケースは珍しくありません。調剤過誤を起こしたことでミスへの不安が拭えず、二次的要因によって薬剤師を辞めたいと考えてしまう場合もあります。
業務量が多い、労働時間が長い
毎日残業するのが当たり前なくらい業務量が多い場合も、薬剤師を辞めたくなる原因につながるでしょう。とくに地方や個人薬局などは薬剤師が不足している傾向にあり、1人あたりの業務量は多くなりがちです。日中だけでは業務が終わらず就業時間後に残業せざるを得ない状況から、ワークライフバランスが崩れてしまうこともあります。
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人間関係のトラブルがある
集団で働く以上、人間関係にまつわる悩みはどうしても生じてしまうもの。とくに薬剤師の職場は狭く人間関係も密なことから、職場内の人間関係とトラブルに頭を抱えている方は少なくありません。「先輩や上司からの風当たりが強い」「ハラスメントを受けた」などの理由でストレスを感じて退職を考えるのは、薬剤師も例外ではないのです。
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患者さまとの関係構築がうまくいかない
薬剤師の仕事は対人業務も大きなウエイトを占めているため、患者さまとの関係づくりが思ったようにできず、薬剤師を辞めたくなることもあるでしょう。とくに患者さま対応に慣れていない薬剤師は、患者さまやご家族にうまく説明できず自信をなくしてしまうケースもあるようです。
仕事がマンネリ化している
処方箋に則った調剤業務の繰り返しで毎日が単調に感じてしまい、「仕事を辞めたい」と考える原因になるケースがあります。また、門前薬局のように処方箋の種類が限定されがちな職場に勤務していると、薬と調剤に対する知識の偏りを不安視することもあるようです。
ドラッグストア勤務の薬剤師からは、「レジ業務が多すぎて本来の薬剤師の仕事に専念できないことを不満に感じている」という意見もあります。
給与が低い、待遇が悪い
労働時間も長く、仕事内容も責任の大きい仕事を担っているにもかかわらず、給与が低い、有休制度が使いづらい、福利厚生などの待遇が悪いといった理由から退職を考える方もいます。また、初任給の高さを魅力に感じて入社したものの、その後の昇給率が悪く給料がなかなか上がらないといった悩みを抱えている場合もあるでしょう。
退職を考えたときの対処法
薬剤師を続けていく自信がなくなったからといって、そのまま辞めてしまうのも考えものです。まずは対処法を模索しましょう。
信頼できる上司や先輩へ相談する
業務内容そのものや働き方についての悩み、退職したい気持ちを周囲に相談してみましょう。相談相手は、自分のマネジメントにも携わっている上司や信頼できる先輩などが良いでしょう。1人で悩んでいても堂々巡りしてしまう場合は、周囲の人に相談することで冷静さを取り戻せたり、自分の考えが整理されたりするため、悩みが解消できるケースもあります。
改善に向けたアクションを起こす
辞めたいと思った原因を分析して必要な対応をしましょう。原因には、自分自身の考え方や行動を変えることで改善できるものと、会社への働きかけが必要なものがあります。たとえば今抱えている悩みが「仕事で大きなミスをしてしまった」「患者さまとのコミュニケーションがうまくいかない」などの業務経験の浅さゆえに生じたものであれば、時間と共に業務に慣れれば解消される見込みがあります。また、「業務量が多い」「人間関係でトラブルが起きた」などのように、自身の考え方や行動を変えるだけではどうにもならない悩みであれば、上司や先輩に相談してみると良いでしょう。
異動や配置転換を希望する
退職を考えた原因が、自分自身が変わることでも解消できない場合、異動や配置転換を申し出る方法があります。とくに、人間関係で行き詰まっている、職場の雰囲気が合わない、将来を考えたスキルアップで不安を感じている場合には、積極的に相談してみましょう。
そのほかワークライフバランスの改善を目指す方法として、パートやアルバイトとして働く選択肢もあります。ただし、待遇面が大きく変化する場合もあるため、よく考えてから決断しましょう。
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解決が難しい場合には転職も視野に
薬剤師を辞めたい原因の解消が難しい場合、思い切って転職を検討したほうが良いこともあります。長期にわたって転職を検討している場合やどうしても悩みが解消できない場合は、転職活動を本格化させて良いでしょう。
薬剤師の転職活動には、求人誌や求人サイト、企業のWebサイトなどを通じて自身で求人に応募する直接応募、転職コンサルタントを通した応募などさまざまな方法があります。直接応募の場合は自身で情報収集から応募、企業とのやり取りを行う一方で、転職コンサルタントを介した転職活動では、これらの選考過程に発生する作業の多くを代理で行ってくれます。
担当の転職コンサルタントがつき、自身の要望に合った求人を紹介してもらえるのはもちろん、書類や面接対策など転職活動に関する相談ができ、転職のプロからの客観的なアドバイスがもらえることも大きな特徴です。条件面の交渉も依頼できるので、よりスムーズな転職活動につながるでしょう。
同じ悩みを抱えないために。転職活動の際に気をつけること
転職活動には時間とエネルギーが必要になるほか、短期間で転職を繰り返すことがマイナスのイメージにつながる可能性もあります。ここでは転職活動で気をつけたいポイントについて詳しく解説していきます。
何に対してストレスを感じやすいのかを明確にする
現在の職場を辞めたいと感じた原因を明確にし、自分がとくにストレスを感じやすいポイントをしっかり見極めましょう。「ちょっとした雑談もできないくらい激務」「マニュアル対応は窮屈」など、どのようなことでも構いません。新しい職場で同じストレスを抱えないためにポイントをおさえ、転職活動に生かしましょう。
職場に求める条件の優先順位を決めておく
仕事を通じて得たいものや譲れない条件の洗い出しも行いましょう。ただし、すべての要望を満たす職場を見つけるのは難しいため、優先順位をつけることも重要です。ライフスタイルやキャリアパスも考慮しながら、ポイントを絞って検討しましょう。
どのようなキャリアを形成したいのか考える
目先の希望だけではなく、5年後、10年後、さらにその先、自分はどのようなキャリアを歩みたいのかを考えることも重要です。病院薬剤師としてチーム医療に携わりたいならコメディカルとの連携に力を入れている病院、特定の診療領域の薬剤と処方箋を網羅したいなら門前薬局といったように、将来も見据えて転職活動を行えるとベストです。
薬剤師にキャリアプランは必要?キャリアプランの立て方と選択肢
事前に情報収集や職場見学を行う
入社後のミスマッチを減らすためにも、事前の情報収集や職場見学はしっかりと行っておきましょう。給額面や福利厚生などを確認する以外にも、転職サイトの口コミチェックや、職場見学で働いている方たちの雰囲気を直接確認すると、求人票だけではわからない実態が見えてくる場合もあります。情報収集や職場見学が難しい場合には、企業と直接やり取りをしている転職コンサルタントに確認し、気になることや不安なことは解消しておきましょう。
転職も視野に、自分に合った働き方を模索しましょう
薬剤師として働くのが辛くて「辞めたい」と思うようになったら、まずは一度自分自身のことを見つめ直してみましょう。今の職場に感じている不満を洗い出して整理するだけでも、思考が冷静になります。職場に信頼できる上司や先輩がいるなら、話を聞いてもらうだけでも気持ちが軽くなるはずです。
退職したい理由が自分ではどうにも解決できないものなら、転職活動を前向きに検討しましょう。薬剤師は、調剤薬局、病院の調剤部門、在宅医療や訪問診療、ドラッグストアなど、さまざまな職場で活躍できます。キャリアアップへの第一歩になることもあるので、情報収集を念入りに行い後悔のない転職をしてくださいね。
ファルマラボ編集部
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