ドボベット軟膏
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
本剤の適応症は「尋常性乾癬」です。 乾癬は、銀白色で厚い鱗屑を伴う紅色局面を特徴とする、原因不明の慢性炎症性角化症です。免疫系の異常により表皮・真皮の炎症と表皮角化細胞の過剰増殖が生じると考えられており、遺伝的素因に加えストレスや喫煙、アルコール、感染症、肥満等の環境因子が関係すると考えられています。病変は肘や膝、頭部等の外的刺激を受けやすい部位に多く、掻痒を伴うこともあります。日本の乾癬患者数は約43万人で、そのうち約90%を占めるのが尋常性乾癬です。尋常性乾癬の治療は外用療法が基本で、効果不十分例や皮疹が広範囲に及ぶ場合は内服療法、注射療法(生物学的製剤)等を考慮します。外用療法では、本剤をはじめとするビタミンD3製剤や、副腎皮質ステロイド剤を用います。 本剤はビタミンD3製剤であるドボネックス(一般名:カルシポトリオール水和物)と副腎皮質ステロイド剤であるリンデロン-DP(一般名:ベタメタゾンジプロピオン酸エステル)の配合剤です。ビタミンD3製剤は安全性・有効性が高く軽症から重症まで幅広く使用され、寛解導入だけでなく寛解維持にも使用されます。一方、ステロイド剤は寛解導入を目的にビタミンD3製剤と併用されることが多く、症状の改善とともに減量・休薬します。 |
Q |
用法・用量は? |
A |
通常、1日1回、患部に適量を塗布します。副腎皮質ホルモンの吸収が高くなる場所であること、局所性の刺激感が強く感じられることから、顔や粘膜には使用しません。塗布量の目安として、1FTUが手のひら2枚分の面積に相当し、1週間に90gを超えて使用しないようにします。 軟膏を塗る際は強く擦り込まず、皮膚の流れに沿って指や手のひらで優しく塗り広げます。朝・夜どちらに塗布してもかまいませんが、実際には夜に塗布することが多いようです。十分な効果を得るため、塗布直後のシャワーや入浴は避けます。塗り忘れた場合は、気づいた時点で塗布します。 |
Q |
注意すべき副作用は? |
A |
重大な副作用として高カルシウム血症、急性腎障害があります。高カルシウム血症は特徴的な症状に乏しく、軽度の場合は無症状であることが多いですが、高度になると倦怠感、食欲不振、筋力低下、口渇、多飲、多尿、悪心、嘔吐等の症状が現れます。高カルシウム血症はビタミンD3製剤に認められる副作用で、本剤の使用に際し血清カルシウムや腎機能(クレアチニン、BUN等)の検査を投与開始2~4週後に1回、その後は適宜行います。 |
Q |
他剤との混合可否は? |
A |
原則、他剤との混合は不可です。有効成分のうちカルシポトリオールはアルカリ条件下で、ベタメタゾンジプロピオン酸エステルは酸性下で安定性を保つため、本剤は非含水性基剤に両剤を配合し安定性を保持しています。他剤との混合により安定性が崩れる可能性があるため混合は避けます。 |
掲載日: 2021/07/29
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります
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