易怒性、攻撃性などの副作用に最も注意する必要がある抗てんかん薬はどれでしょうか?

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易怒性、攻撃性などの副作用に最も注意する必要がある抗てんかん薬はどれでしょうか?

    レベチラセタム(イーケプラ)による精神症状(易怒性、攻撃性など)は、起こり得る副作用として注意する必要があります。

    レベチラセタム(イーケプラ)はこれらの副作用が、他の抗てんかん薬に比べて有意に多かったと報告されています。

    精神症状が疑われる時は、減量または変更するなどの対応が必要です。抗てんかん薬の副作用として、眠気やふらつきは服薬指導でよく確認しますが、薬剤ごとに特徴的な副作用もあるので覚えておくとよいでしょう。

    部分発作(焦点発作)のてんかんに処方される機会が多い第一選択薬(カルバマゼピンなど)について各薬剤の処方鑑査における注意点と副作用についてまとめました。


    ・カルバマゼピン
    :CYP3Aを強く誘導するため、相互作用に注意する必要があります。併用薬がある患者さまに投与する時は注意が必要です。副作用として、薬疹、複視、音感低下に注意する必要があります。

    ・ラモトリギン
    :併用薬により、初回用量などが複雑なので、添付文書を確認して必ず用法・用量を鑑査しましょう。添付文書に記載されている用量を超える増量がある場合は、必ず疑義照会を行ってください。副作用として、薬疹(とくに服用開始2ヵ月以内)に注意する必要があります。

    ・レベチラセタム(イーケプラ)
    :薬物相互作用や重篤な副作用が少ないため、第一選択薬としてよく処方されています。腎機能障害がある患者さまには用量調節が必要です。副作用として、精神症状(易怒性、攻撃性など)に注意する必要があります。

    ・ラコサミド(ビムパット)
    :薬物相互作用や重篤な副作用が少ないため、処方されています。重度の肝機能障害のある患者さまには禁忌です。副作用として、動悸や不整脈に注意する必要があります。

    ・ペランパネル水和物(フィコンパ)
    :CYP3Aで代謝が促進されるため、カルバマゼピンなどと併用する場合は、注意が必要です。高度肝障害のある患者さまには禁忌とされています。副作用として、レベチラセタム(イーケプラ)と同様に精神症状(易怒性、攻撃性など)に注意する必要があります。

    処方監査・服薬指導のPOINT

    レベチラセタム(イーケプラ)やペランパネル水和物(フィコンパ)が処方されている患者さまには、眠気やふらつきといった副作用だけでなく、精神症状(易怒性、攻撃性など)がないか確認する必要があります。

    ただし、患者さまを不安にさせないように「ご気分はいかがですか?イライラすることはありませんか?」など、言葉選びには注意しましょう。

    濱本 幸広(はまもと・ゆきひろ)さん
    京都薬科大学卒、薬剤師。
    調剤併設ドラッグストア、調剤薬局、派遣薬剤師など、数多くの経験をしながら処方鑑査の腕を磨く。
    2022年10月、4分類法を活用した処方鑑査の指南書『達人の処方鑑査術』を出版、好評発売中。
    ▼運営サイト
    https://kusuri-shidousen.com
    掲載日: 2025/01/23
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります

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