- 公開日:2022.07.14
『認知症研修認定薬剤師』とは?資格取得方法やメリットも紹介【薬剤師の資格入門】
高齢化が進むわが国において、認知症のケアは非常にニーズの高い分野です。薬剤師にとっても、認知症に関する専門性を磨くことはキャリアアップに役立つでしょう。
その方法の一つに、『認知症研修認定薬剤師』の資格取得が挙げられます。では、『認知症研修認定薬剤師』とはどんな資格なのか、取得方法やメリットなどと合わせて詳しくご紹介します。
『認知症研修認定薬剤師』とは
『認知症研修認定薬剤師』とは、日本薬局学会による認知症領域での認定資格です。薬物療法を中心として認知症のケアに携わるため、専門的な能力と適正を備える立場になります。認知症患者およびその家族に対して、薬学的な観点から助言や対応ができる薬剤師を育成するために設けられた制度です。
認知症研修認定薬剤師制度 日本薬局学会
『認知症研修認定薬剤師』の資格取得方法
ここでは、日本薬局学会のHPを参照しながら、『認知症研修認定薬剤師』の資格取得方法について解説します。
取得条件
『認知症研修認定薬剤師』の取得を目指すには、以下の資格・条件を満たしたうえで申請し、実行委員会の承認を得ることで取得できます。
取得方法
認定試験に合格後、申請書類に申請資格を有することを証明する書類と申請料を添え、申請のうえ所定の手続きを経ることで取得できます。
研修制度
研修制度については、以下の通り規定されています。
第1項:研修は、e-ラーニング、ワークショップを行う。
第2項:研修では、原則90分の受講に対して研修認定単位1単位を付与する。
第3項:e-ラーニングは、特定非営利活動法人医療教育研究所(以下、IMEと略記)の「メディカルナレッジ」を受講する。受講料金はIMEの規定に従う。
第4項:e-ラーニングの単位取得対象講座は、別途指定する。
第5項:e-ラーニングは、30分(1コマ)0.33単位 90分(3コマ)1単位とする。単位には確認試験も含まれる。
第6項:ワークショップは、90分(1コマ)1単位、1日3単位を上限とする。
第7項:ワークショップは基礎編、応用編を開催し、認定には基礎編、応用編を受講することを条件とする。
第8項:ワークショップの受講料金は、90分1単位あたり2,000円(消費税別)とする。日本薬局学会正会員以外は、3,000円(消費税別)とする。
第9項:e-ラーニング指定講座の開催情報、ワークショップの開催情報は、日本薬局学会ホームページに記載する。
認定試験
認定試験については、以下の通り規定されています。
第1項:認定試験の受付期間等、認定試験のスケジュールは日本薬局学会ホームページに公開する。
第2項:認定試験の申請には下記資料を添付すること。
①e-ラーニングの受講修了証または受講履歴証明書
②ワークショップ基礎編、応用編の修了証書の写し
③認知症の人への介入事例(本学会の定める書式)を3例以上。なお、3例の内、1例は施設訪問報告を含めてよい。
④認定試験受験料振込明細の写し 第3項 認定試験受験料は、10,000円(消費税別)とする。
第4項 認定試験は筆記試験及び面接試験を行う。
日本薬局学会 認知症研修認定薬剤師制度
『認知症研修認定薬剤師』を取得するメリット
日本では高齢化が進み、2020年現在で推定約600万人とされていた65歳以上の認知症患者は、2025年には約700万人にまで増えるといわれています。これは、高齢者の約5人に1人が認知症になるという予測です。
これにより2015年1月に厚生労働省から出された「認知症施策推進総合戦略〜認知症高齢者にやさしい地域づくりに向けて〜(新オレンジプラン)」では、薬剤師の認知症対応力の向上が期待されており、今後認知症領域における活躍の幅はますます広がっていくことが予想できます。
『認知症研修認定薬剤師』の資格を取得することで専門的知識・技能を持つものとして認められ、薬剤師として認知症領域におけるキャリアアップが目指せるほか、転職において有利に働くなどさまざまなメリットがあるでしょう。
今求められる認知症サポート薬剤師
国内における認知症患者の増加を受けて公表された新オレンジプランを背景とし、 strong>認知症に対して適切に対応できる認知症サポート薬剤師が求められています。認知症サポート薬剤師は、全国の自治体や団体等が開催する養成講座を受講することで取得できます。講座の受講料は無料なので、『認知症研修認定薬剤師』と合わせて取得しておくのもよいでしょう。
超高齢化社会で求められる薬剤師に
今回は、高齢化が進む日本で求められる認知症領域のスペシャリスト『認知症研修認定薬剤師』について詳しく解説しました。近年では、高齢化によるものだけでなく若年性認知症患者も増加傾向にあり、今後ますます期待がかかる資格です。
薬剤師は飽和状態といわれるなかで、自身の強みや専門性を高めるのはとても大切なこと。薬剤師として自分の武器を持つためにも、資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
ファルマラボ編集部
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