服薬指導に活かす医薬品情報

フィコンパ錠

Q

何のお薬?用法・用量は?

A

他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者さまの部分発作(二次性全般化発作を含む)、硬直間代発作に対する、抗てんかん薬との併用療法に用います。国内外の臨床試験において、フィコンパ単独投与での使用経験はありません。通常の成人及び12歳以上の小児では、開始用量として1日1回2mgを就寝前に服用し、その後1週間以上の間隔を空けて2mgずつ漸増します。本剤の代謝を促進する抗てんかん薬(カルバマゼピンなど)を併用しない場合の維持用量は1日1回8mgで、併用する場合は8~12mgとなります。最高用量は1日12mgです。

Q

作用機序は?

A

本剤はシナプス後膜に主として存在するAMPA(α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid)型グルタミン酸受容体に選択的な拮抗薬です。AMPA受容体は、グルタミン酸が結合すると開口し、Na+が細胞内に流入することで興奮が伝播します。


既存のグルタミン酸競合的拮抗薬は、グルタミン酸の濃度が上昇するとグルタミン酸が拮抗薬と置き換わり、Na+が流入してニューロンの興奮に至ります。しかし、本剤はグルタミン酸結合部とは異なる部位に作用するので、グルタミン酸の濃度に影響されることなくニューロンの興奮を抑え、抗てんかん作用を発揮します。

Q

使用上の注意点は?

A

本剤は肝代謝型の薬物です。そのため、重度の肝機能障害がある患者さまへの使用経験はなく禁忌となっています。軽度及び中等度肝機能障害患者さまでは、健康成人と比較してAUCはそれぞれ81%及び228%増加し、t1/2はそれぞれ2.4倍及び2.1倍延長したとの報告があります。

Q

注意すべき副作用は?

A

発現頻度が高い副作用は傾眠と浮動性めまいです。その他、発疹、悪心・嘔吐、頭痛、易刺激性、攻撃性、不安、怒り、霧視、複視などの症状が現れることがあります。自殺念慮(自殺という能動的な行為で人生を終わらせようと考えること)や自殺企画(実際に自殺を企てること)もあります。

Q

相互作用は?

A

本剤はCYP3Aで代謝されます。そのためCYP3Aを誘導する薬剤(カルバマゼピンなど)と併用すると血漿中濃度は低下し、CYP3Aを阻害する薬剤(イトラコナゾールなど)と併用すると血漿中濃度は上昇する可能性があります。

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派遣薬剤師のススメP
掲載日: 2020/05/14
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります