ツムラ柴苓湯エキス顆粒(医療用)
Q |
何のお薬?どのような方に適している? |
A |
小柴胡湯と五苓散の2処方を合わせた合方であり、両者の"柴"と"苓"から一文字ずつ取って柴苓湯と名付けられました。適応症は「吐き気、食欲不振、のどのかわき、排尿が少ないなどの次の諸症:水寫性下痢、急性胃腸炎、暑気あたり、むくみ」です。特異なにおいがあり味は「わずかに渋い」とされています。漢方製剤では最も薬価が高くつけられています。
体力が中等度の方で、心窩部より季肋部にかけての苦痛や抵抗・圧痛があり、尿量減少、浮腫、口渇などを伴う方に用います。
構成生薬からみると、小柴胡湯由来の生薬ではサイコ、オウゴンが熱を冷ます(清熱)、ハンゲ、ショウキョウが胃腸の働きを整える(理気・制吐)、ニンジン、カンゾウ、タイソウが気を補い胃腸機能を高める(補気)の役割があり、五苓散由来の生薬には水の分布調整の機能があります。多様な疾患に対して用いられますが、ネフローゼ症候群やIgA腎症、下痢、胃腸炎、滲出性中耳炎、外傷や手術によるむくみなどに対して処方されます。 |
Q |
作用機序は? |
A |
遠位尿細管のナトリウムチャネルを阻害し水の再吸収を抑制することにより尿量を増加させます。また、血漿ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)濃度の上昇などによる抗炎症作用や、メサンギウム細胞の増殖因子に働きかけDNA合成を抑制します。 |
Q |
類似した方剤とその使い分けは? |
A |
小柴胡湯の使用目的は本剤と似ていますが、口渇、尿量減少、浮腫などが見られない場合に良いとされています。
五苓散は柴苓湯処方の一部です。口渇、尿量減少、浮腫などがあり胸脇苦満のない場合に良いとされています。 茵蔯五苓散は五苓散に茵蔯蒿を加えた処方で、体力が中等度で、口渇、尿量減少、浮腫みなどがあり黄疸を伴う場合に良いとされています。 胃苓湯は体力中等度で、水様性下痢、口渇、尿量減少、心窩部不快感、腹部膨満感などがあり、胸脇苦満がない場合に良いとされています。 |
掲載日: 2020/10/22
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります
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