服薬指導に活かす医薬品情報

セロクエル錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

適応症は「統合失調症」です。第二世代の非定型抗精神病薬で、陽性症状のみならず陰性症状にも比較的効果が高い薬剤です。

Q

用法・用量は?

A

通常、1回25mgを1日2または3回から開始し、状態に応じて徐々に増量します。


通常、1日投与量は150~600mg とし、2または3回に分けて経口投与します。年齢・症状により適宜増減しますが、1日最大量は750mgです。

                

Q

作用機序・特徴は?

A

本剤はドパミンD1 及びD2 受容体、セロトニン5HT1及び5HT2受容体、ヒスタミンH1受容体、アドレナリンα1及びα2受容体に対して親和性を示し、ドパミン及びセロトニン受容体拮抗作用を示します。ドパミンD2受容体よりもセロトニン5HT2受容体に対する親和性が高く様々な受容体に対して親和性があることが薬理学的な特徴で、主作用に加え鎮静作用や睡眠改善・気分安定化作用があり、錐体外路症状や高プロラクチン血症の頻度が低いことも特徴です。

Q

警告、禁忌、慎重投与について

A

高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡による死亡例平成14年11月緊急安全性情報)が報告されており、警告及び禁忌が設定されています。昏睡状態・バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者さま、アドレナリン投与中の患者さまと並び、糖尿病及びその既往歴のある患者さまは投与禁忌です糖尿病の家族歴や、高血糖・肥満等、糖尿病の危険因子のある患者さまも慎重投与です


その他の慎重投与として、肝障害、心血管・脳血管障害、低血圧、てんかん等の痙攣性疾患、自殺企図・念慮を有する患者さまが挙げられます。これらの既往の有無の確認や、こまめな血糖値の確認に加え、口渇・多飲・多尿等の初期症状に注意し、万一発生した場合は直ちに服用を中止して受診するよう、患者さまだけでなくご家族にも説明するようにしましょう。

Q

注意すべき副作用は?

A

先述の高血糖関連の副作用以外に、重大な副作用として、低血糖、悪性症候群、横紋筋融解症、痙攣、無顆粒球症・白血球減少、肝機能障害、麻痺性イレウス、遅発性ジスキネジア、肺塞栓症・深部静脈血栓症等があります。主な副作用は不眠、易刺激性・神経過敏、傾眠等です。眠気や注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので運転その他の危険を伴う機械の操作は禁止です。


また、治療開始初期の起立性低血圧に注意することや、服用により体重が増加することがあるため、糖尿病や高血糖に繋がらないよう、肥満に注意し食事療法や運動療法等の適切な実施を支援しましょう。

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派遣薬剤師のススメP
掲載日: 2019/08/29
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります