服薬指導に活かす医薬品情報

プレバイミス錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

同種造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制」を適応症とします。

Q

用法・用量は?

A

通常、成人にはレテルモビルとして1日1回480mgを経口投与します。シクロスポリンと併用する場合は1日1回240mgを経口投与します(相互作用参照)。食事の影響は受けません。 同成分薬には注射薬もありますが、医師の判断で切り替えて使用することも可能です。

Q

作用機序は?

A

ヒトには存在しないDNAターミナーゼ複合体(サイトメガロウイルスのウイルスゲノムDNAの切断及びパッケージングに必要な蛋白質)を選択的に阻害することでウイルスの増殖を抑制します。 レテルモビルは有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1/3、P-糖蛋白(P-gp)、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1/3(UGTA1A1/3)の基質となります。また、CYP3Aの時間依存的な阻害作用、乳癌耐性蛋白(BSRP)及びOATP1B1/3の阻害作用を有します。その他、CYP2C9、CYP2C19の誘導作用を有する可能性があります。そのため、併用薬との相互作用が多く注意が必要です(相互作用参照)。

Q

服用上の注意点は?

A

同種造血幹細胞移植の移植当日から28日目までを目安として投与を開始します。投与期間はサイトメガロウイルス感染症の発症リスクを考慮しながら、移植後100日目までを目安としています。

Q

注意すべき副作用は?

A

主な副作用には、吐き気、下痢、嘔吐等があります。

Q

相互作用は?

A

前述のとおり、本剤は、様々な酵素の基質となり、阻害・誘導作用を有します。そのため、薬物相互作用が多く注意が必要です。

併用禁忌

ピモジド
CYP3Aの阻害が予測され、治療域の狭いCYP3Aの基質であるピモジドの血漿中濃度が上昇し、QT延長及び心室性不整脈を引き起こすおそれがある
エルゴタミン含有製剤、ジヒドロエルゴタミン、メチルエルゴメトリン、エルゴメトリン
CYP3Aの阻害が予測され、治療域の狭いCYP3Aの基質であるこれらの血漿中濃度が上昇し、麦角中毒を引き起こすおそれがある

併用注意

併用薬の血漿中濃度が上昇するおそれがある薬剤
・CYP3Aの基質となる薬剤
(フェンタニル、キニジン、ミダゾラム等)
レテルモビルの併用によりCYP3Aが阻害される
併用薬の血漿中濃度が低下または低下するおそれがある薬剤
・ボリコナゾール
・CYP2C9又はCYP2C19の基質となる薬剤
(フェニトイン、ワルファリン等)
レテルモビルの併用によりCYP2C9及びCYP2C19が誘導される
本剤の血漿中濃度が低下する薬剤
・リファンピシン リファンピシンの併用によりP-gp及びUGT1A1/3が誘導される
併用薬の血漿中濃度が上昇または上昇するおそれがある薬剤
・アトルバスタチン
・シンバスタチン
レテルモビルの併用により、CYP3A、OATP1B1/3及び腸管のBCRPが阻害される
・ロスバスタチン
・フルバスタチン
レテルモビルの併用により、OATP1B1/3及び腸管のBCRPが阻害される
・プラバスタチン
・ピタバスタチン
レテルモビルの併用により、OATP1B1/3が阻害される
本剤及び併用薬の血中濃度が上昇する薬剤
・シクロスポリンレテルモビルの併用により、CYP3Aが阻害される
シクロスポリンの併用により、OATP1B1/3が阻害される
併用薬のの血中濃度が上昇する薬剤
・タクロリムス レテルモビルの併用により、CYP3Aが阻害される
掲載日: 2021/06/03
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